令和4年(2022年)・第29回

令和4年度最優秀賞は、以下の3作品です。各作品について、蓮見審査員長より講評を頂きました。

守り橋

つくば市立学園の森義務教育学校 渡壁 太智 さん
<製作者の作品アピール>
ぼくは、アカハライモリを飼っています。
アカハライモリは、日本固有の準絶滅危惧種で、みんなに知って欲しいと思いました。
イモリの名前には「守る」という意味があります。
みんなを守ってくれるようにこの名前にしました。
橋をイモリの体のようにS字に曲げるところがむずかしかったです。         
<審査員長の講評>
目も足も体の色も、自分でそだてているアカハライモリにそっくりな橋ができあがりました。
その口の中に入り、出口が見えないようにS字のかたちに曲がった橋をわたることで、スリルいっぱいの体験ができそうです。
この橋は、まわりの川や山、森の守り神として、多くの人に注目され愛されることでしょう。


ゆかいなあおむしアーチ

つくば市立島名小学校 髙橋 涼 さん
<製作者の作品アピール>
普通に見るとかわいいあおむしだけど、逆さにするとアーチ橋になることです。
        
<審査員長の講評>
青虫のかたちをした橋は、せなかの面とおなかの面でまったくちがった橋になります。
せなかを上にすると「つり橋」のようになり、おなかを上にすると「たいこ橋」のようになります。
ひとつの橋を2度楽しめるゆかいなアーチがたの橋は、それぞれの部品がささえ合って強度をたもつ、なかよしの橋でもあるのです。


左右あげあげ橋

つくば市立島名小学校 髙橋 佑季 さん
<製作者の作品アピール>
橋げたは、トラス構造で強度をもたせています。
橋は、レバーを上にあげると左右に開き、大きな船が渡れる仕組みになっています。
        
<審査員長の講評>
橋のまん中の柱が上に上がると、あらふしぎ!左右のゆかがはね上がって、大きな船が通れるようになります。
とても美しい橋ですが、その動きも手品を見るようにふしぎです。
船が通る度に、多くの観客が集まって、拍手をすることでしょう。
橋は、通るためだけでなくシアターにもなるのです。





令和4年度構造デザイン賞は、以下の5作品です。作品について、福田審査員、星隈審査員より講評を頂きました。

シンプル イズ ベスト

つくば市立手代木南小学校 千葉 宏志郎 さん
<製作者の作品アピール>
2kgの重さにもたえられます。
        
<審査員の講評>
一見アーチが細くて弱そうに見えますが、けたと橋脚(きょうきゃく)は横つなぎの部材でしっかりと補強された構造となっています。
実は、本物のアーチ橋でもメインは強く補強したけたで橋を支え、アーチは補助的な役割として設計される橋もあり、「ランガー橋」と呼ばれています。
この作品はそのような「ランガー橋」の構造コンセプトがデザインされ、作品名のとおりシンプルでも構造的にベストな強さをかね備えています。


理想橋(ユートピア)

つくば市立手代木南小学校 渋谷 健吾 さん
<製作者の作品アピール>
橋の裏側を三角形をつなげて作ったことです。
スロープを折りたためるようにしました。
家にあるミニカーを乗せられるようにしました。
     
<審査員の講評>
橋のうら側が三角形状に加工された紙をハチの巣状につなげることで補強されており、そのハニカム効果でとても強い橋に仕上がっています。
橋のうら側は目立たないところですが、本物の橋でも、橋を強くするためにいろいろな工夫が隠されています。
この橋はそのような目立たないところに工夫をこらしていることが、構造デザインとしての魅力を高めています。
また、スロープの部分を折りたためるアイデアもユニークです。


エコ発電橋

つくば市立大曽根小学校 小島 壮一郎 さん
<製作者の作品アピール>
発電ができるところです。
        
<審査員の講評>
橋のかかる場所の自然条件をうまく活用し、橋に太陽光・風力・川の水力で発電するという新しい価値を加えたすばらしい発想で、カーボンニュートラルの実現に向けて未来の橋のコンセプトを提案している作品です。
この橋のように、道路を活用して新しいエネルギーを生み出すことができるようになれば、温室効果ガスの排出削減にも貢献できるようになりますね。


ドレミ散歩橋

つくば市立春日学園義務教育学校 小笠原 悠 さん
<製作者の作品アピール>
絵の具で木をリアルにしたところや、ドレミが書いてあるようにひくと、トトロの音楽が流れる所です。
        
<審査員の講評>
木をリアルに再現した棒状の部材をひもでしっかりと連結することで、橋げたとしての強度を確保した構造となっています。
板を連結するひもは縦と横に多重に配置されており、強度の信頼性を高めています。また、棒状の部材の断面はびみょうに異なっている中で、たたく位置を調整することで音色を作り出し、トトロのメロディーを再現しています。
これは、理科で学習する音のでる仕組みが応用されていますね。


stegosourus

つくば市立吾妻小学校 坂本 海 さん
<製作者の作品アピール>
恐竜のステゴサウルスからアイデアを出しました。
上部の三角の所にストリップライトを設置して夜もこの橋が美しくライトアップします。
        
<審査員の講評>
アーチがうすく見えますが、複数枚の厚紙を重ねてアーチを強くした上で、X状の補強部材をアーチの下側にななめに配置することで橋全体の強度を高めています。
ステゴザウルスを着想に制作されており、その特徴的な背びれをアーチ上に再現している点が構造的にもユニークです。
アピールとして書かれているように背びれ部分に照明を設置することで、夜には美しい白い橋の姿がうかび上がり観光スポットになりそうです。





令和4年度美術デザイン賞は、以下の5作品です。各作品について、佐山審査員より講評を頂きました。

リュウのはし

つくば市立吉沼小学校 飯岡 崇真 さん
<製作者の作品アピール>
うろことかねに丸く切った紙を一枚ずつていねいにはりました。
        
<審査員の講評>
龍の猛々しい(たけだけしい)存在感を表すデッサン力と彩色、そしてていねいな作りこみに目をうばわれました。
雷紋柄(らいもんがら)のやぐらとカラフルなちょうちんが下がる橋は、ある夜の山間の谷川にげん想的にあらわれた中華飯店のような印象です。
将来の夢がラーメン屋さんというのが納得しました。


橋 de Sky(はしですかい?)

つくば市立要小学校 飯村 李恩 さん
<製作者の作品アピール>
ぼくは飛行機が好きです。なぜなら飛行機から見える景色が大好きだからです。
そこで飛行機に乗っている気分になれる橋を作りました。
        
<審査員の講評>
将来の夢がパイロットの作者らしく、飛行機の特徴をよく観察し表現しています。
青と白のツートンカラーでまとめたスタイリッシュなデザインとプライベートジェット機のようなコンパクトなサイズが美しいです。
自然災害地に飛んできて橋の役割もになう未来の飛行機ですね。


グリーン・ブリッジ

つくば市立竹園東小学校 岡部 稜央 さん
<製作者の作品アピール>
丈夫にするため、三角の柱を三本入れました。
ニュースなどで地球温暖化の事を知りCO2を減らす橋にしました。プロペラは風力発電用です。
        
<審査員の講評>
自然環境にやさしい橋は、風力発電のためのプロペラをもっています。そして温暖化の原因となるCO2をへらしてくれる草原のようなかたちをしています。
地上と地下と中空を自由に行き来できる橋は、空間を感じる力を育ててくれることでしょう。
人工物である橋を自然物に近づけようと試みたすてきな作品です。


ブルーライトブラック

つくば市立竹園東小学校 西川 緒美 さん
<製作者の作品アピール>
ボタンを押すと、光るところです。
        
<審査員の講評>
とてもシックな色と形に、きっとこういうのを大人っぽいとかプロ好みとか言うのでは?と感じました。
凛(りん)とした直線美とおおらかな曲線美をシンメトリーにまとめ上げた組み合わせは余計なものを一切なくした、無駄のないデザインですね。
ライティングの仕かけもざん新です。


エコヤンマ橋

つくば市立並木小学校 新井 那奈 さん
<製作者の作品アピール>
三角柱を3本使って強い橋にしたことです。羽がはばたく力で風力発電をして、トンネル内の電気もようが光り、残りの電気はみんなのお家へ届きます。
羽に付いているソーラーパネルで太陽光発電もできるエコな橋をイメージして作ったことです。
橋を渡った人の夢がかなうよう7色の羽にして、心がおだやかになるように願いをこめて、羽のパステルカラーと細かいもように注意して作ったことです。
        
<審査員の講評>
大きなエコヤンマは人の気持ちがおだやかになり地球のエネルギー資源の節約にもなる大切な役割を果たしています。
なんてそう大でせん細でやさしい発想でしょうか。生物の有機的なすがたを機能的にデフォルメした造形と彩色が秀逸ですね。





令和4年度努力賞は、以下の5作品です。作品について、横山審査員、中島審査員より講評を頂きました。

オロチ

つくば市立大曽根小学校 下瀬 航一 さん
<製作者の作品アピール>
おもしろい橋を作りたく、調べていると折りたたみ橋という可動橋がある事を知り、この橋を作りたいと思い設計と試作をくり返しました。
けれども、構造はできていても強度がなく、色々と考えた結果、両わきに直角三角形の部品をつけて補強しました。
デザインは折りたたむ形がオロチに見えたので、オロチをモチーフにしました。
        
<審査員の講評>
一見、普通の橋のようですが、折りたたむことができ、形が変わる面白い橋です。
強度も考えながら何度も試作を重ねたことで、橋としても完成度の高いものとなりました。
オロチのようなデザインのこの橋が近所にあったら、毎日ワクワクしながらわたることができそうですね。


自然の色の運ぱんきょう

つくば市立九重小学校 宮原 啓 さん
<製作者の作品アピール>
車などをのせる所を作って、運べるようにした事です。(乗せるところはひもでつるしました。)
        
<審査員の講評>
この橋は、歩行者や自動車がわたる橋ではなく、ゴンドラをつり下げて運ぱん橋にしたことが、特徴の一つとなっています。
また、はしごを上がったところに自然があるので、歩行者が自然の中でリラックスしている間に橋をわたることができそうです。
自然の心地よさを感じられそうな良い橋ですね。


公園橋

つくば市立竹園東小学校 七澤 龍明 さん
<製作者の作品アピール>
太陽光パネルをつけました。
電気自動車が増えて、空気がきれいになったらこんな橋あってもいいなと思いました。
        
<審査員の講評>
今ある美しい環境を守るために必要なことを考え、太陽光パネルや電気自動車など、クリーンな環境作りに焦点を当てて作られた橋です。
細部までていねいに作られており、仕上がりも、作者のイメージに合わせシャープで都会的な美しさがあります。
つくば市の新しい街作りのために、すぐにでも設置できそうな橋だと感じました。


ドリームワールドブリッジ

つくば市立学園の森義務教育学校 久保田 彩雪 さん
<製作者の作品アピール>
私が想像する夢の世界を橋にしました。
ペガサスの近くで雲のぶらんこに乗ったり、天の川の上を歩いたり、にじの上を渡ったり、本当にできたら楽しいだろうなと思って作りました。
あと階段の上を本物の星空に見えるように工夫しました。
        
<審査員の講評>
カラフルな色やデザインなど、一つ一つていねいに作りこまれた橋です。
星空の部分も、まるで本物の星空にいるかのようにげん想的です。虹や星空を歩いたり、ペガサスの近くで雲のブランコに乗りながらこの橋を渡ったりした人は、夢の世界を楽しんで、幸せな気持ちでいっぱいになりそうですね。


ドローン橋

つくば市立春日学園義務教育学校 常陸 克行 さん
<製作者の作品アピール>
災害でこわれた橋の所に飛んでいって新しい橋ができるまで、ドローン橋がかわる所です。
        
<審査員の講評>
ここ数年、災害に役立つ橋というアイディアがふえました。
どんな橋を作ろうか考えるみなさんの心の中に、困っている人を助けたいという思いが根付いていることが分かります。
この橋は、災害地にもすぐ対応できるようにという考えからドローンをモチーフに作られています。
みなさんに未来をたくす私たちにとって、心強くたのもしい橋だと感じました。