【総合評価】
本研究は、大きなテーマであると同時に市民の関心が非常に高く、また東京湾以外の他の閉鎖性内湾に対しても展開が可能となることから、良好な環境の保全と創造に大いに資する重要な研究と認められるので、重点的に実施されるべきと評価する。
【研究を実施するにあたっての留意事項】
本研究の目的や目標像が具体的に示されていないので、研究を進めるにあたってはどのような施策を組み合わせれば環境基準を満たすものになるのか、どの程度の規模の浄化施設をつくれば東京湾の浄化につながるのか等について、量的に把握できるようにしていただきたい。
また、本研究においては物質循環モデルの構築が重要であることから、河川、湾内の年間を通じた物質循環、及びその中に施設をつくるとどうなるか等のモデル化を行うことにより定量的に評価できるようにすべきである。
さらに、最終的なグランドデザインを提言する時に利用する側の意見が反映されたものとなるよう、研究体制として東京湾を利用する側の参画も考慮すべきである。
なお、研究を進めるにあたっては、以下の点についても配慮されたい。
- 本研究は、環境面だけが考慮されているが、高潮や地震時の津波、液状化等東京湾の防災管理要因についても併せて考えていくべきである。
- 本研究の途中段階で公募も視野に入れた研究発表会等の討議の場を設けることにより、具体的な参加の方針が明確になっていくものと思われる。
- 国総研は、過去のデータ、これから採るデータをとりまとめて蓄積していく役割も期待されていることから、データの集約・管理も研究の一環としてやっていただきたい。
平成14年1月17日
国土技術政策総合研究所
研究評価委員会
港湾空港分科会
分科会長 森杉壽芳
|