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平成16年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会議事要旨





平成16年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会議事要旨

1.日   時: 平成16年6月15日(火)9:30〜11:35
   
2.場   所: 虎ノ門パストラル 新館6階 ロゼ
  (東京都港区)
   
3.出席委員: 虫明委員長、石田委員、磯部委員、小谷委員、見城委員、平島委員、堀委員、村上委員、森杉委員
   
4.配付資料:  
資料1 国土技術政策総合研究所研究評価委員会名簿
資料2 国土技術政策総合研究所における研究開発評価の進め方
資料3 本日の評価の方法等について
資料4 平成15年度の研究開発活動に係る自己点検及び今後の方向
資料4−1 7本の柱とプロジェクト研究(一覧)
資料4−2 国総研研究マップ
資料4−3 「施策への反映」一覧表(平成15年度)
資料4−4 平成17年度新規研究開発課題(案)
資料5 国土技術政策総合研究所における研究開発課題の中間評価・事後評価の方法(案)
資料5−1 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会 中間評価シート(案)
資料5−2 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会 事後評価シート(案)
  【参考資料】
  国土技術政策総合研究所研究評価委員会設置規則
  国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会設置規則
  平成15年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会報告書
  国土技術政策総合研究所研究方針(平成15年度改訂)
  国総研アニュアルレポート2004
  NILIM News Letter No.5,6,7,8
  Project Concept 2004(要覧)
  なるといいな研究所(子供向けパンフレット)
  平成15年度「国土技術政策総合研究所年報」(暫定版)
5.議事次第:  
1. 開会
2. 国総研所長挨拶
3. 委員長挨拶
4. 議事
(1) 評価の方法について
(2) 平成15年度研究開発活動の成果と今後の方向の評価
(3) 中間評価・事後評価の進め方について
5. その他
6. 国総研所長挨拶
7. 閉会
6.議事内容:  
(1) 国土技術政策総合研究所の研究開発評価の方法について
   国総研の研究開発活動の評価の方法について、事務局より説明した後、委員の了解を得た。
(2) 「平成15年度の研究開発活動の成果及び今後の方向」についての評価委員の評価、意見及びそれらに対する国総研の回答
評価、意見等は、分けたり、重復のものをまとめて、話題ごとに整理した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価、→:国総研の回答
  <施策への反映について>
他機関と連携して研究等を行うことによって、総合化され良い成果が得られたという視点で自己点検できるのではないか。
制度や基準としてとりまとめることばかりに労力を使っていると研究意欲をそぎかねない。他機関と連携したり本省が中心となってまとめたりする際に、これをリードする形で、研究的なところに国総研が出て行って取りまとめるのが良い。そのような部分に国総研が関与していることを明らかにしていくことが非常に重要であり、積極的に評価していくべきである。
委員委嘱の数が非常に多いが、単に委員として出席するのでなく、事務局の役割を担っている場合も多いと思われるが、そのような場合、研究成果がすぐさま施策へ反映されることが多いが、それが示されていない。
  <他機関との連携について>
本省にある建設技術開発研究の助成制度は、国総研とは独立した形で進められているように感じる。国総研で行われている研究と関連する研究が多いと思うので、関連分野の研究者による情報交換や共同研究を実施したり、助成制度による成果を国総研の方に持ち帰ったりする方法を考えていくと国費の有効利用になるのではないか。
昨年度までは、同制度に総プロに関連する研究への助成枠があり、国総研で実施している総プロに関して積極的に関与していた。今年度からはその枠が取り払われたが、ご指摘の通り、助成制度による研究と協力できるところは協力していきたい。また、助成制度による研究の情報を積極的に所内研究者に提示していきたい。
  <知的財産権について>
特許の出願等が多数に上るが、どのようなものが、どのように活用されているか。また、使用料はとっているか。それは妥当なものか。使用料は個人の研究者に対して支払われるのか。
特許の名称と発明者等についてのリストを年報に掲載している。使用料もとっているが、国が取得する特許については、あまり高い使用料を取ることを想定していない。基本的には、工事に関係する特許であれば工事費の常識的な比率のもとに決めている。
また、特許を取得するまでの研究の経緯それぞれによるが、最近は、発明意欲が湧くよう、貢献割合等に応じて、補償ということで発明者個人に還元している。
  <国際的活動について>
外国人研究者の受け入れについては、他省庁では、研究者が帰国後にどのようなポジションに就いて後々の日本と上質の関係を築いてもらえるかというところを、受け入れる段階でしっかり目的を持って明快にしていこうという動きがあるが、外国人研究者の受け入れに際してのコンセプトはどうなっているか。また、大学で特にアジアの研究者を受け入れるよう動いているが、受け入れた外国人の研究者が日本に滞在している間に、大学との連携が大切だと思う。
アジア地域土木研究所長等会議で作られたコネクションを通じて連携していくパターンや、個々の研究室が情報収集を通じて優れた研究を実施している国と提携していくパターンがある。外国人研究者の滞在中に大学と連携というのは、(初めから意図してではなく)結果的に、各研究室がそれぞれの研究テーマをベースにコンタクトするパターンが多いと思う。
観光で来日する外国人だけでなく、研究者等を受け入れて日本を好きになってもらいたいという国の方針がある中で、実際に受け入れる現場として、国総研で外国人受け入れにかかる予算や体制は十分といえるか。
現状では競争的資金等の中で賄っていると思うが、これは全部外のプロジェクトについている。国総研で国際貢献を掲げるならば、それなりの予算措置を考える必要があると思う。関連して、独法土研では国際センターを立ち上げるという動きもあり、それと連動させるような工夫も考えられる。
国総研では独自予算はなく、JICA等他機関の予算システムを活用し工夫しているが、十分とは言えないかもしれない。例えば、アジア地域土木研究所長等会議はJICAの研修の一環ということで行っている。2国間の研究協力では、お互いの研究者を派遣しあうことが多いため、双方の派遣予算を使っている例もある。また、日本学術振興会の受け入れ制度においては、日本における受け入れ研究所として国総研が要請を受けることがある。他にも、相当数のJICAの研修を受け入れている。
  <研究者の育成について>
研究者へチャンスを与え、そのチャンスを生かした研究者には、評価して報いていくということが原則だと思う。職務発明規程の明確化等、インセンティブを与えることも重要だと思うが、全般的な研究者の育成について、具体的に、どのようなことをチャンスとして与え、評価することで目指しているのか。
萌芽的な研究を支援するシステムがあるか、また、留学制度について具体にどのように進めているか等の観点で何かないか。
客観的な指標となりうる受賞等による特別昇給があり、また、留学については人事院等の制度を活用し、希望する研究者がいれば所として応援している。研修については、数年前から話題になっているコンピテンシー・マネジメントに着目し、バーチャルOJTの手法を参考にした研究者の研修を実施するよう考えている。若手の研究者育成のための特別な予算はないが、英会話研修は実施している。その他、使えるものを使っている。
国総研として、ジェネラリストとスペシャリストのどちらを養成するのか。また、それぞれの路線を選んだ場合の将来の処遇はどうするかといった大きな方針はあるか。国総研は大学や独立行政法人と違って、徹底したジェネラリストとしての研究者の養成を若い頃に目指すという方針で、はっきりさせた方が所のミッションにかなうのではないか。日本では若いうちからジェネラリストとして研究者のトレーニングを積んだ人が少なく、そうしたことが求められている。
明確に記述した研究者養成方針はないが、独立行政法人は要素技術の開発が主たる取り組みであるのに対し、国総研は政策につなげる研究が多く、コーディネーター的な部分が多くなる。ただ、人の面でいうと、やはり要素技術をきちんと自らの素養として持ちつつ、幅広い行政的、政策的な部分も両方持つというのが目標と考えている。これは個別の人事配置やローテーション等と密接に関連する話であり、個別の人事の中である程度長い期間をかけてできあがっていくものであると考える。現在のところ、独立行政法人とも人事交流を進めながら、いろいろなキャリアを積むという面では一体的にやっているといえる。
国総研は政策課題を担うが故に、人事も本省との関係で異動するケースが多いため、研究の継続性の面で支障が出ている。行政分野と同じ2年でどんどんポストが変わるような人事異動ではうまくいかない。研究をリードしていた人が突然変わることがあり、それは例えば大型プロジェクトを他機関と連携して実施している場合には、研究所としての信用を失うことにつながる。難しい問題であるが、研究所として研究推進体制を持たないということは、研究所の体をなさなくなることが危惧される根本的な問題であるので、本省とも調整して研究所としての人事のあり方をきちんと検討して欲しい。
  <研究成果の発信及び広報について>
施策に反映された研究とは別に、基礎研究はどうかという視点も必要である。大学では21世紀COEプログラム(文部科学省による研究拠点形成費補助事業、COE:Center of Excellence:優れた研究者を擁し,最先端の設備を備えた研究機関)が始まり、分野間で研究論文の中身の競争が激しくなった。日本の学会に日本語論文で投稿するより、ネイチャーやサイエンス等の英語専門雑誌やサイテーションインデックスへ登録されるような論文投稿でないと他分野の方からは認められない。我々の分野でいうと、TRL(Transport Research Laboratory:イギリス交通研究所)は他からよく引用され、引用が分かるようになっている。そのような姿を狙っていくための準備を始める必要があるのではないか。研究業績をそういう形で示さないと、人員と予算に見合った成果が出ているかが疑われかねない。
国総研資料等が2倍になったとあり、大変な成果だと思うが、その要因は何と考えているか。
国総研発足後3年が経過し、研究体制が軌道に乗って成果が出てきたと理解している。
(自己点検書は)施策への反映実績に焦点を当てて整理されており大変分かりやすい。さらに、どんな人がどんな形で貢献しているかを示すと、なお一層PRできるのではないか。国総研のスペシャリストで、ジェネラリストでもある方が、直接本省に来て陣頭指揮を執ってマニュアル作成に大きな貢献をした実績を知っているが、そのような実績に世間が注目するのではないかと思う。
「評価の視点」には国民に対する説明責任が含まれており、支障がなければ、個別の研究予算をできるだけ公開した方が責任を果たしていると言えるのではないか。
研究課題として予算要求する行政部費事項立ての課題については、それぞれの予算を年報に掲載している。
全体的に着々と活動していると評価でき、特に子供向けパンフレットを作ったことは大変評価できる。また、環境教育や理科教育に役立つよう、アニュアルレポートの内容から取り出して(子供向けパンフレットに)盛り込んで詳しいものにするという方向で、強化していただきたい。
土木学会では、生涯教育の一環として、例えば小学校の総合学習の時間に専門家を派遣しての講義や、学校の先生に使ってもらえるようなプログラムの作成・提供を行っている。社会資本のあり方について理解してもらいたいことは共通の希望であるため、他の機関とも協力し、どのように進めるか検討してはどうか。
副読本等については、先生方には専門家と一緒に作っていきたいという意向・意欲があるようである。土木学会では、まだ小規模ではあるが、専門家を紹介して、学校の先生と協力していくことを始めている。ただし、これもかなり濃密な人間関係が必要であり、手間暇がかかることなので、その辺りに配慮しつつ進めるべきものと考えている。
情報発信が弱いという自己点検結果だったが、よく発信されているという印象がある。
ホームページの維持更新は大変な仕事であり、担当でも置かないとうまくいかないものであるが、既にそのようなものはあるか。
ホームページ全体の管理を担当する部局はあるが、中身(個々のコンテンツ)は、それぞれ各部・センターで作ってもらっており、見方によってはその辺りも十分ではない面もあると思われる。
非常に多様な研究が実施されているが、一つ一つの研究をどのようにグルーピングすると分かりやすいかを考えれば、例えば、個人の研究者がどんな研究を行っているかという観点で整理すると、それぞれの研究者の守備範囲、研究成果が分かる。それによって、プロジェクト研究や施策への反映について、どのような実績・力を持った人がその力を発揮しながら、他の人々の力を借りて一つの施策へ反映していったということが分かり、実績を持った研究者が取りまとめをしているという迫力が出てくる。具体的には、ホームページに個々の研究者がどのような研究を行い、どのような成果を出しているかを示すことによって、所内に様々な研究者がいて、国総研がどこまでカバーできるところかが明確になるではないか。個々の研究者という視点からアプローチすることで、全体を支える多くの基礎研究があることを示すとともに、実務への反映には時間を要する研究と、プロジェクトのように施策に反映できるような研究との仲立ちができるのではないかと思われる。このような視点も長期的に検討して欲しい。
大学でも、教官が何をしているか(ホームページに)1ページ程度で出すということに取り組んでいるが、それほど労力のかかるものでもないので、できれば始めていただきたい。
  <委員長総括>
国総研の研究開発活動について、必要性、効率性、有効性の視点からみて、必要な研究が効率的に行われ、それらが有効に活用されているという点では、全体として評価できる方向で動いている。評価の視点にある、社会の動向や要請という視点からみても、まさに社会の要請にこたえるということを踏まえて研究を進めていると評価できる。説明責任という視点からみると、関連すると思われる指摘として、個々の研究者情報も含めてホームページで示すことについての提案や、教育に対する関与についての提案があり、今後検討していただきたいが、年報に多くの情報を整理する等色々な努力がなされており、説明責任を果たすことが良く行われていると評価できる。
(3) 「中間評価・事後評価の進め方について」の評価委員の意見及びそれらに対する国総研の回答
評価、意見等は、分けたり、重復のものをまとめて、話題ごとに整理した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価、→:国総研の回答
  <評価の方法について>
第1部会担当分科会は評価する課題数が多く、また、事前評価と違い、中間・事後評価はエビデンス・実績について時間をかけじっくり評価する必要があると考えている。効率的に評価を実施するため、事前に少数の委員に資料をしっかりみていただき、その結果を基にして会議で議論する方法を考えている。
事前にしっかりみていただくならば、複数の委員に担当していただく方が良い。
事前に議論の論点を整理する役割の委員がいると効率的であるが、部会毎に事情が異なる面もあると思われるので、具体的な進め方については各部会で決めていただきたい。
評価シート(案)について、各委員に事前に意見を求める際にはこのシートをそのまま使うのか。
事務局では、中間・事後評価の際もこれまでの事前評価の際と同じく、自由意見を記載していただくよう考えている。段階評価については会議でのみ行っていただくことを考えている。
会議に出席して議論した場合の評価と、会議に出席しないで出された意見とはかなり違うので、会議に出席しない委員の意見を会議の場での議論に反映させながらも、最終的な評価は会議(出席者)で行うこととする。
  <評価の視点について>
評価の視点のうち、有効性の視点には、「国土交通政策を通じ」とあるが、このような視点を強調し過ぎると、研究によっては国土交通政策から離れたものもあり、間接的な活用はされてもテーマが基礎的であるため、正当な評価がされないものが出てくることが危惧される。国総研のミッションを考えれば政策への反映ということになるのであるが、個々の研究者をエンカレッジするような視点も含めるべきである。研究者のレベルを維持し、要求された国土に関する研究を指導できる、あるいは対応できる研究者を養成しておくということも重要である。
評価者の立場としては、専門家としてなのか、タックスペイヤーとしての立場なのか、主としてどちらの視点で見れば良いのかという問題があるが、経験ある専門家とタックスペイヤーとしての両方の視点から意見し、誘導する役割があるのではないか。
評価の視点については、議論されているような面もあるが、文章としては国総研らしいと思うので、もし何か工夫があれば考えていただきたい。
  <評価シート(案)について>
エンカレッジという話があったが、特に事後評価では、目的が重要な研究であれば、今後こういうところを伸ばしていくと良いといったことも非常に重要だと思う。そのようなことについてはその他特筆すべき事項に書くということで、例えば、「その他特筆すべき事項」の欄に、例えば今後の発展性についても書いて欲しいという一文を入れておいてどうか。評価の結果の中に入れるのは難しいが、どのような課題が残されたのか、また、今後どのように発展するのかということが重要であり、それが出てくるような事後評価にした方が良いと思う。
評価シート(案)の評価の視点はよく理解でき、資料2の評価の目的とも整合するが、評価の視点の必要性に相当する内容が、評価の結果の項目に入っていないようにも見える。評価項目の単語を工夫して、必要性・効率性・有効性の観点が全て入るようにする等工夫されたい。
必要性という視点は研究を始める時に特に重要と考えられるが、今回は中間・事後評価であるため、効率性、有効性の視点にウェイトをおいてご審議いただきたいと考えた。このため、必要性という視点が、文言上分かりにくくなっている面があるので、工夫したい。
  <評価の公表・とりまとめについて>
公表・評価のとりまとめについての事務局補足説明
評価指標の公表には二通りの案があり、ひとつは段階評価の結果を人数分布で公表する方法、もうひとつは分科会の総意としてひとつの評価結果を決めてそれを公表する方法である。他機関では、どちらのタイプの公表も見られる。
評価指標の公表については、時間が限られていることもあり、分布を示す方が良い。点数分布を踏まえた議論をし、その結果をフィードバックできるようにすればよい。
意見分布が分かった方が良い。
むしろコメントの公表が課題である。事実認識が間違っている場合もあり得る。建設省土木研究所の評価委員会では、委員から出たコメントに対しては各研究者が応える機会が与えられていたので、間違った解釈については反論するというようなことで整理し、コメントも含めて公表する方式がとられていた。誤解に基づく批判的な意見が一方的に出されるのは好ましくなく、反論もできる体制であった方が良い。なお、どのように整理をするかについては、全体として統一することも必要である。また、コメントのしかたについては委員の個人名は伏せ、集計結果とコメントは整理した上で公表するのが良いと考えられる。
国総研の従来の評価では、各委員の意見を委員長ないし分科会の主査が整理した上で公表してきた。事実認識に誤りがあれば、それも含めた再整理が公表前に行われた。また、委員からの意見に対する国総研としての対応方針についてもまとめた上で、資料として合わせて公表してきた。事務局としては、このような従来のやり方を踏襲することを考えている。
段階評価の集計分布は示すが、いずれにせよ総合評価が必要で、これは各主査が取りまとめることになる。
(4) 本日の評価結果のとりまとめについて
   本日の議論を事務局において整理し、各委員に確認した上で、「平成15年度の研究開発活動の成果及び今後の方向」の評価については、委員長の責任において評価結果をとりまとめることとした。