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研究マップに示されているように、国総研は大学と行政の間にあって、研究課題は手法開発――外部経済評価と不確実性の問題に焦点を絞って取り組んだという点は非常に良かった。 |
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外部経済評価については、技術的課題を挙げて、研究をレビューし、ケーススタディが行われているが、いろいろな技術的なポイントが資料の12ページ目に指摘されている。しかし、過去の研究のレビューをすれば分かる結果なのか、それとも国総研でオリジナルなデータ収集や解析を行い、当該手法を検討することで新たに得られた科学的な知見なのかが区別されていない。成果公表時には、その辺を明確にする必要がある。地方整備局等での利用を想定した別冊資料の「外部経済評価の解説(案)」は、極めて有用であり、広く世の中に公表して大学等で活用してもらうと良いのではないか。このような成果は、国総研の特徴が非常に出ており、高く評価したい。 |
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将来の不確実性に関する研究では、事例調査で事業の遅延やコスト増の要因を分析しようとしており、非常に貴重なデータが集められており興味深い。ただし、結果として、データの不足から要因の抽出には至らなかったということは残念である。更に努力して分析を進め、結果を公表していただきたい。また、データの不備で分析が出来ないとすれば、それを論理的に示して、データの整備を提案する形での成果発表を是非していただきたい。行政での利用を想定した「感度分析評価の手続」についても興味深く、役に立つと思う。 |
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「事業評価カルテ」も現場で役立つ仕組みが提案されていると思う。ただし、このカルテでどのように事業評価をして、次に結び付けていくかははっきりしていない。後継プロジェクトにおいて、このようなカルテを適切に利用する方法や、合意形成上どう役立てていくかということを研究していただきたい。 |
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得られている成果に対して研究発表が少ない印象を持つ。オリジナルな研究成果が出た部分は学会発表を是非していただきたい。研究者のインセンティブを高めるため、学会発表を奨励し、個人の研究成果ができるだけわかるようにしてほしい。行政文書も執筆分担を示してほしいが、日本ではそのような習慣がないため難しいのかもしれない。諸外国では行政文書を誰が執筆したかを示すような仕組みができつつある。本研究プロジェクトの責任者についても、誰がいつからいつまでを担当したのかを明確にすべきではないか。 |