平成17年度 第1回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会
議 事 録


1. 開会
2. 国総研所長挨拶
3. 委員長選出
4. 委員長挨拶
5. 議事
(1) 平成16年度研究開発活動の成果と今後の方向の評価
(2) 研究開発課題の評価について
6. その他
7. 国総研所長挨拶・閉会

(事務局) 大体皆さんお見えのようですので、ただいまから平成17年度の第1回国総研の研究評価委員会を始めさせていただきます。

 私、事務局を務めさせていただきます研究評価推進課長の○○と申します。どうぞよろしくお願いします。

それでは、初めに配付資料の確認をさせていただきます。

まず、議事次第と配付資料一式とじてございまして、それぞれ下に一覧がございますように、資料1から資料5までが一式とじてございます。それから別に座席表が置いてございます。それから参考資料といたしまして、参考資料1から参考資料10まで、その下にそのまま配付してございます。不足している資料がございましたら、事務局の方までご連絡をお願いいたします。

また、参考資料9の一番厚い国総研の「年報」というものがございますけれども、これにつきましては若干暫定版ということで、今後修正がございますので、委員会終了後に一たん回収をさせていただきたいと存じます。

それでは、議事次第に従いまして、まず国土技術政策総合研究所長の○○より、ごあいさつを申し上げます。よろしくお願いします。

(国総研) それでは、平成17年度の第1回の国土技術政策総合研究所研究評価委員会を開催するに当たりまして、ごあいさつさせていただきます。本日は委員の皆様方、大変お忙しい中、この評価委員会のためにお集まりいただきまして大変ありがとうございます。

国総研は、平成13年度に発足しました比較的新しい組織でございまして、今年度で5年目でございます。

本日、評価をお願いいたしますのは、主としまして昨年度、平成16年度の研究開発活動の成果と今後の方向の評価ということでございます。丸4年目の成果ということでございます。私どもの国総研としましては、プロジェクト研究というものを重点にして仕事を進めておりますが、発足のときにスタートしておりましたこのプロジェクト研究が、本年度で全部終了するという形になっておりまして、そういう意味で本年度は一つの節目の年ではないかと思っております。今後のあり方におきまして、いろいろな検討も必要なのではないかと思っておりますが、その際に、この平成16年度の研究活動の評価が大変大きな要素になってくるのではないかと思っております。そういう意味で、ぜひ忌憚のないご意見をいただきまして、今後どういう姿があるべきか、あるいは不足しているところはどういうことかということにつきまして、ご意見をいただければ幸いでございます。それではどうかよろしくお願いいたします。

(事務局) それでは次に、本年度国総研の研究評価委員会の委員につきましては、改めてご選出させていただいておりますので、委員の皆様の紹介をさせていただきたいと思います。資料1の委員名簿をご覧いただきたいと思います。

 五十音順にご紹介いたします。

 まず○○委員でございます。

 次に○○委員でございます。

 それから○○委員につきましては、若干遅れるとのご連絡をいただいております。

 ○○委員でございます。

 ○○委員でございます。

 ○○委員でございます。

 ○○委員でございます。

 ○○委員でございます。

 ○○委員でございます。

 ○○委員でございます。

 以上10名でございまして、全員出席の予定でございます。

 また、国総研の幹部のご紹介につきましては、座席表の方をもってご紹介にかえさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に先立ちまして、本年度改めて委員を選出させていただいたという経緯もございますので、委員会設置規則第3条第2項に基づきまして、委員長を互選していただくことになります。どなたか委員長のご推薦があれば、お願いいたします。

(委員) この委員会で長く活躍されております○○委員を、委員長に推薦したいと思います。

(異議なし)

(事務局) よろしいでしょうか。「賛成」という声も多くいただきましたので、○○委員に委員長をお願いしたいと思います。では委員長、よろしくお願いいたします。

 それでは、委員長に委員長席の方に移っていただきまして、まずごあいさつをいただきまして、議事の方をお願いいたしたく存じます。すみませんが、よろしくお願いします。

(委員長) ○○先生から委員長をやれというご指名でございましたので、これはお断りするわけにはまいりませんので、僭越ですが議事進行を務めさせていただきます。皆様よろしくお願い申し上げます。

 それでは議事進行を務めます。まずお手元の議事次第にありますように、議事1というのがございます。これは「評価の方法等について」という資料になっております。ご確認いただきまして、事務局からご説明をいただきます。前からの委員の方々はもうご存じと思いますが、改めてこの評価の方法についてご確認をお願いいたします。

それでは○○さん、お願いします。

(事務局) 事務局を担当しております評価研究官の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 お手元の資料2、資料2−1、資料3というのがございます。これで説明をさせていただきます。資料2が国総研の研究評価全般の考え方でございます。1の評価の目的にございますように「科学技術基本計画」、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」また「行政機関が行う政策の評価に関する法律」などに基づきまして、適正な研究開発が行われているか、評価結果を研究開発活動や研究体制の整備・運営等に的確に反映するという目的で、評価を行っておるわけでございまして、丸がそこに三つございますが、研究開発課題の設定や、研究計画の作成が適当かと、また効率的に行われているかと。それから二つ目は、研究体制が組織として適切に運営されているか、また三つ目では、開発成果が行政や社会に適切に反映されているかという目的で評価を行うものでございまして、U、評価の内容というのがございますが、外部評価と内部評価で評価を行うということでございます。

評価委員会と、評価委員会分科会というのがございます。あわせて資料2−1の図を見ていただきますでしょうか。簡単なポンチ絵で説明をさせていただきますが、国総研における評価は、外部評価と内部評価で行うということでございます。それで、本日お願いしてございますこの評価委員会につきましては、その下に分科会というものが設けられてございまして、分科会と役割分担をしていただいて、評価をお願いしておるところでございます。また、所内では内部評価委員会というものを設置しておるところでございます。

 本委員会にお願いをしておる事項につきましては、基本的任務ということで、研究開発活動全般についての評価をいただくということで、特に@国総研の研究方針というものがございます。これは参考資料3、こういう水色の冊子がございますが、いわば国総研の憲法というようなものでございまして、国総研の基本的な運営の仕方、研究の方針がまとめられてございます。こちらのご審議をお願いしたいというのが1点でございます。

 それからAといたしまして、前年度の研究開発活動の成果と今後の方向の評価。本日はこちらのAのところをお願いしたいところでございまして、16年度の研究開発活動の成果と今後の方向につきまして、また後ほど説明いたしますので、そのご評価をお願いしたいということでございます。

 もう一つ、この委員会には分科会が設けられてございます。分科会との役割分担でございますが、分科会につきましては研究開発課題、個別の研究課題につきまして専門的視点からの評価をお願いしておるところでございまして、プロジェクト研究や重要研究課題の事前評価、中間評価、事後評価、こういった個別研究課題の評価をいただくということで、本委員会では個別研究まで立ち入らずに、全般的な評価をお願いしたいと存じているところでございます。そういったことで、評価委員会をお願いしたいと思っております。

 それから、特に本日につきましては、資料3でございますが、先ほど申しましたように16年度の研究開発活動の成果と、それを受けて自己評価をしてございます。また自己評価を受けて今後の方向についてまとめてございますので、そういったものにつきまして、国総研の使命に照らし、必要性・効率性・有効性の観点からのご評価をお願いしたい。また最近の社会情勢等を踏まえたものとなっておるか、説明責任も果たしておるかというような観点からのご評価をお願いしたいと存じます。以上が本日評価をお願いする事項でございます。

 続きまして資料3−1というものがございます。資料3の最後でございますが、評価結果につきましては、公表するとなってございまして、従来、評価結果につきましては毎年冊子でまとめて、参考資料10のように公表してございます。またホームページでもすべて結果を公表しておるところでございます。今回この3−1で書いてある、委員会の議事録の公開方法につきましては、従来議事要旨ということで要旨にまとめて、発言者名なしで、この冊子で紹介をさせていただいておるところでございます。具体的には29ページ以降のところで載ってございますが、そういった格好で公開をさせていただいたところでございますが、昨今の情勢、公開性ということがあちこちの委員会等でも行われておるということもかんがみ、従来は速記録という形では出しておらなかったんですが、公開してはどうかという事務局の案でございます。ただ、発言者につきましては「委員長」とか「委員」とか「事務局」とかということで、個別の名前は出さずに公開を考えてございます。

取りまとめに当たりましては、発言に含まれる内容、数字、固有名詞等の誤り等の修正や、最小限の修正等につきまして、委員にご確認をいただいた上で、ホームページに掲載をしていきたいと考えてございます。これは本日のご提案でございます。

 説明とご提案、以上でございます。

(委員長) ありがとうございました。資料3のように、きょうのご議論と評価をお願いしたいと、こういうことです。必要性・効率性・有効性の観点、あるいは最近の情勢の要望に合ったようなテーマになっているかどうか、あるいはその成果が出ているかどうか、こういう観点からのご意見を賜りたい、評価をいただきたいと、こういうことが第1点目です。

 それから第2点目は、今回から速記録を公開いたしたいと、こういうお話でございます。いかがでしょう、ご意見を賜りたいと思います。どうぞ○○先生。

(委員) 資料3−1なんですけれども、「必要最小限」と書いてあります。言語能力が余りすぐれてなくて、あとで速記録を見ますと何を言っているかわからないということが、たびたびあるんですけれども、そのときはわかりやすく言いかえる、それも必要最小限のうちだというふうに考えてよろしいですよね。

(委員長) そうですね。

(委員) ありがとうございます。安心してしゃべれます。

(委員長) 大丈夫と思います。今まで何回も経験しておられると思いますので。

 よろしいですか。

(はい)

(委員長) それではご承認いただいたということにいたしまして、次の案件にまいりたいと思います。

 本題でありますが、議事の(2)「平成16年度の研究開発活動の成果と今後の方向の評価」に入ります。

 事務局からご説明をお願いいたします。皆様方、委員の方々はこれをどんなふうに評価するかということをお考えいただきながら、お聞きください。

(事務局) それではパワーポイントで説明をさせていただきますが、資料4が主体の資料でございまして、関連資料として枝番がついています資料4−1、4−2、4−3、4−4というものがございます。

 それでは順次説明を始めますが、冒頭ございましたように、委員におかれましては新任の委員もいらっしゃいますので、国総研の概要につきまして最初に簡単に説明させていただきまして、それから16年度の活動概要の説明をさせていただきます。

 国総研の使命でございますが、先ほどの「国総研 研究方針」に書いてあるものでございますが、「住宅・社会資本のエンドユーザーである国民一人一人の満足度を高めるため、技術政策の企画立案に役立つ研究を実施する。」ということで、最後の行の「技術政策の企画立案」というようなところがキーワードになろうかと思っております。

 具体的に国総研で行う研究開発でございますが、下の三つでございます。最初が政策企画立案の一環としての研究開発、政策支援でございます。二つ目が法令に基づく技術基準の策定に関する研究開発で、技術基準策定でございます。三つ目が直轄事業の執行管理に必要な研究開発や、地方公共団体等への技術支援、この三つでございます。

 それでは、具体的にどんな分野の研究をするかということでございますが、国総研で重点的に取り組む研究課題は、先ほどの研究方針の中で7本の柱と17の技術政策課題と、ここに七つ黄色で書いてございます。両括弧が17ございますが、こういった分野の研究をするというふうに位置づけられておるところでございます。説明は省略いたします。

 それから国総研としての研究の進め方、分類でございますが、国総研の特徴といたしまして、プロジェクト研究というものに重点を置きまして研究を進めております。これは「技術政策支援に対応した研究開発の目標を明確にして、プロジェクト・リーダーのもとに目標達成に必要とされる分野の研究者が集い、より効果的に成果を得るための戦略を立てて研究を進める研究」ということで、研究開発の目標を明確にする、プロジェクト・リーダーがいる、研究者が集う、戦略を立てて研究を進める、こういったことで現在20幾つのプロジェクト研究を重点的に進めておるところでございます。本日の説明も、プロジェクト研究のところが多くなろうかと思います。また、そのほかの研究といたしましては、基礎・基盤研究ということで、プロジェクト研究にはならないけれども、将来なる可能性のある研究や、主として単一の分野でも重要な解決策を成果として期待できる研究、さらには中長期的に必要となることが予想される研究や、未経験の新しい分野の研究ということで分類してございます。

 こういった研究をどういう体制でやっておるかということでございますが、391人の職員でやっておりまして、うち研究職が251名でございます。あと、予算的には157億円という予算で進めておるということでございます。この職員がつくばと横須賀の二つの地域で勤務をしてございまして、管理部門が3部ございます。研究をやっておる研究部が10研究部と、三つのセンター、センターというのは組織横断的な結集を図った国総研発足時につくりましたものでございます。

 以上、簡単ではございますが、国総研の概要を説明させていただきました。こういったことを前提に、平成16年度の活動につきましてご説明をさせていただきます。説明は第1章ということで、16年度の研究活動の成果を説明いたします。それから後半、第2章で、それを受けての自己点検結果と、今後の研究開発活動の方向を説明させていただきます。

 最初に、16年度の成果でございます。最初に1.1として研究とその成果でございます。プロジェクト研究等の推進ということで、プロジェクト研究につきましては先ほどご説明いたしましたように、重点的に行っておる研究でございますが、16年度は継続16課題に新規6課題を加えた22課題を実施してございます。うち7課題が終了しました。

 それから基礎・基盤研究につきましては、中長期的な必要性を念頭に置き、着実に実施したということでございまして、研究マップの活用というものがございます。ちょっと資料が見にくくて恐縮でございますが、資料4−2というA3版を折り畳んだものがございます。一つ一つ見ていただくのは非常に大変なんですが、ざっと見ていただきますと、先ほどご説明しました国総研の7本の柱と17の技術政策課題に対応して、研究課題を分類したものでございます。16年度に実施した研究課題がすべて載っておるということで、プロジェクト研究が22課題、黒ポチで「小課題」というのがございます。そこの数でいくとプロジェクト研究は87課題、基礎・基盤研究が269課題ということで、合計356課題を実施したところでございます。

 それでは続きまして、施策への反映でございます。先ほど申しましたように、国総研では技術政策の企画立案に役立つ研究を行っておるということでございまして、その研究開発活動の評価も、これから説明する施策への反映のところを中心に評価をいただければありがたいと思っておるところでございます。

資料4−3ということで、これも折り込んだA3の資料がございまして、ちょっとこれも見にくうございますので、こういうものがあるというふうに見ていただければ結構なんですが、施策への反映を16年度につきまして網羅したもので、43事例が載ってございます。本日は時間の関係もございますので、そのうち代表的な6事例につきまして、ご説明をさせていただきます。

 最初の1)は、資料4の本文と対応しているところでございます。1)廃棄物最終処分場跡地形質変更に係る政省令の制定・基準策定でございます。これはどういうものかといいますと、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が平成16年に一部改定されてございますが、それを受けての政省令の制定でございまして、国総研でプロジェクト研究:ゴミゼロ型・資源循環型技術に関する研究というものをやってございますが、この中で行った研究成果、すなわち港湾の廃棄物埋立護岸の計画・設計・施工方法や、海面処分場の環境リスクなどの研究の成果を持ち寄りまして、環境省が策定しました政令・省令が17年1月、それから3月にそれぞれ出されておるわけでございますが、関連部分に反映されておるところでございます。また、最終処分場跡地形質変更に係る施行ガイドラインにつきましては、関連部分についての原案作成に寄与したところでございます。

 それから4)「下水処理水の再利用水質基準等マニュアル」の策定でございます。これは近年、下水処理水の安全性への要求が高まっていることにかんがみ、行ったものでございまして、基礎・基盤研究として行っております、そこの二つの下水放流水による云々の研究と、下水処理水再利用システムの研究という研究成果を活用したものでございます。下水処理水の安全性に対しまして、糞便性汚染を示す指標として、大腸菌の適用検討や残留塩素の保持による安全性の維持効果の検討、また下水処理水再利用に関する利用者意識調査等を行いまして、それを国総研で取りまとめまして、下水処理水再利用に関する技術上の基準や、下水処理水再利用に当たり必要となる考慮事項等を取りまとめたところでございます。これを本省と運営いたします委員会に諮りまして、下水処理水の再利用水質基準等マニュアルというものにまとめまして、本年の4月に本省下水道部から地方公共団体に通知がなされたところでございます。

 続きまして5)「大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)」の策定でございます。近年、相次ぐ地震被害がありましたことを背景に、既住の耐震基準で設計されたダムの耐震性を合理的に照査するための指針をまとめるということをねらったものでございまして、国総研で行いました照査用地震動(レベル2地震動)と呼んでございまして、ちょっと専門的で恐縮ですが、このレベル2地震動というのは当該地点において構造物の供用期間中に生じ得る最大級の地震動という定義でございますが、そういったものを決めたと。また、確保すべき耐震性能の定義を行ったと。それから地震応答解析による照査方法と、その結果の判断基準等をまとめたところでございまして、それらを反映したこの照査指針(案)というものが策定されて、河川局より通知が3月になされたところでございます。

 それから9)「改修マンションの再生手法に関するマニュアル」の作成・公表でございます。これは高経年マンション、建築後30年程度以上たったマンションで、大規模改修が2〜3回行われたようなマンションを対象としているわけでございますが、こういったマンションが非常に増加しておるということを受けまして、良好なマンション・ストック形成の要請や、廃棄物の削減や省エネの要請が高まっておるところでございます。

 国総研で行いました基礎・基盤研究を活かしまして、増改築等によります性能の付加や、既存性能の向上策、右の写真に幾つか例がございますが、こういったことを研究したところでございます。また、改修にかかります法律上の手続を明確化したところでございます。その成果を反映したものが「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」として取りまとめられまして、住宅局と共同で昨年の6月に公表がなされたところでございます。

 続きまして、16)有料道路の多様で弾力的な料金に係る施策でございます。社会資本整備審議会の部会で、高速道路等の有料道路に対しまして、多様で弾力的な料金施策の導入が14年に提言されたところでございまして、道路局ではそれを受けまして、15年度に料金にかかわります社会実験というものを始めました。全国各地で社会実験が行われたわけでございますが、国総研ではその社会実験につきまして、全国横断的に分析をしたところでございます。その分析によりまして、弾力的な料金制度によりまして、渋滞緩和などの効果が確認されたところでございます。特に朝夕ピーク時の料金弾力性が高く、有効であるということが判明いたしました。その結果が活用されまして、一番下でございますが、JHの「高速道路朝夕通勤割引制度」が17年1月に発足したところでございます。こういった割引制度の発足に寄与したところでございます。

 続きまして、ご紹介の最後になりますが、19)ユニットプライス型積算方式の試行でございます。これは「コスト構造改革」の一施策でございまして、工事の予定価格の算定に当たりまして、従来は「積み上げ方式」ということで行っておったところでございますが、これを歩掛かりを用いない「施工単価方式」いわゆる「ユニットプライス方式」というものを導入するというものでございまして、基礎・基盤研究で行いました積算方式の制度立案や、ユニット化の検討・定義づけ、またデータ収集方法・分析手法の構築や契約ルールの検討等を国総研で行いまして、その成果をもとに国総研が中心となりまして、赤字で下に三つ書いてございますが、「ユニットプライス型積算方式試行実施要領」の策定、「ユニットプライス型積算基準〔試行用〕【舗装編】」の策定、「ユニットプライス規定集【舗装編】」の策定がなされたわけでございます。この成果が活用されまして、昨年度下半期に全国で試行の工事がなされたところでございます。

 続きまして、今度は技術支援活動でございます。国交省の行政運営に対する技術支援を行うほか、そこにございますように地方整備局の直轄事務所等の事業執行のための技術指導を415件やってございます。また、各種委員会等への参画が1,049件となってございます。また昨年は特に災害が多発した年でございまして、災害時における現地等での技術指導・現地調査というものが災害件数で21件、技術指導の件数で数えますと114件になってございます。

 次に、その具体的な例をご説明いたします。最初が行政に対する技術支援活動ということで、中部地方整備局の静岡国道事務所における情報の共有化の支援の事例でございます。これは事務所内におきまして業務に必要な知識・情報が組織横断的な共有がなされていないということで、さまざまな問題が発生しておるというようなことを受けまして、事務所内に出張所を含む組織横断的な検討会を設置したところでございますが、国総研ではそういった検討会の運営支援や、情報共有化の方向性の策定、またポータルサイト導入の指導等を行いまして、事務所内の情報の共有化が進んだというような事例でございます。

 それから技術支援の次の説明でございますが、災害時の現地における技術指導でございます。これは、最初の例が新潟県の中越地震に対する技術支援でございまして、昨年の10月23日に震度7、マグニチュードで6.8、死者が36人という地震でございましたが、この地震に対しまして地方整備局、地方公共団体等を支援したところでございます。建築物の応急危険度判定の適切かつ迅速な実施を支援しました。また、危機管理に対する対策本部への助言ということで、いわゆる天然ダム、大規模河道閉塞の安定性判定等の助言をしたところでございます。また、土砂災害対策緊急支援チームの現地本部長としての現地指導も行いました。また、河川施設・道路施設の被災の判定や、応急復旧・本復旧の技術支援を独法土研と連携して行ったところでございます。また、北陸地方整備局が実施する地震対応の改善に向けた検討に助言も行っております。

 海外の事例でございますが、スマトラ沖大地震、インド洋津波被害に対する支援でございます。これも昨年の12月26日に発生した大地震でございまして、死者、行方不明者が30万人とも言われておるものでございますが、これの政府調査団に参加しまして、特に国総研所長が政府調査団の団長として参画したところでございます。そのほか4名が団員として参画したところでございます。また、JICAの国際緊急支援援助隊・専門家チームに団員として参加しました。また、木造住宅等の被害調査をインドネシアで実施し、公共事業省等の都市計画の担当者に報告・復興計画に関する助言を行ったところでございます。

 続きまして、今度は項目が1.2ということで変わります。基本課題に係る活動ということで、いわゆるプロジェクト研究や基礎・基盤研究とは別に、国総研では個別の研究開発課題に取り組むほか、長期的な視野のもとに国民のニーズ、時代の潮流、科学技術の動向等を考察し、研究のスタンスや方向を見出すとともに、それが的確なものとなりますよう、三つの基本課題を設定いたしまして、継続的な検討を行ってございます。

 1番が「時代に即した社会資本の整備・運営のあり方」、2番が「安全で美しい国土の創造」、3番が「豊かさとゆとりの感じられる生活環境・都市環境の形成」でございます。それぞれ講演会で発表をしたり、有識者講演会を開催したりしてございます。

 続きまして1.3でございますが、国総研では研究成果を広く公表、発信するためにさまざまな活動を行っておるわけでございます。最初がアニュアルレポートでございます。お手元にもお配りしてございますが、去る3月に第4号を発刊したところでございます。国総研の代表的な研究や研究の動向、研究成果の施策への反映事例などをわかりやすく、読みやすく編集したつもりでございます。特集といたしましては、「美しい国土づくりをめざして」また「持続可能な交通」ということを取り上げてございます。また、16年度は自然災害が多発したことにかんがみ、そういった国総研の役割についても紹介をしてございます。

 それから、国総研研究報告及び資料ということで、研究成果の発信、普及を目的とした報告資料をそれぞれ4編、76編刊行したところでございます。それから所外の研究論文集、雑誌等に発表した論文数でございますが、和文、英文、それぞれ706編、122編となってございまして、査読付が167編、42編という内訳となってございます。

それから、同じく国総研の活動を広く一般の方に紹介することを目的とした活動で、最初の左の写真にございますが、国総研講演会というものを1年に1回東京で開催してございまして、600名を超える方に参加をいただきました。また施設の一般公開といたしましては、それぞれつくば、横須賀で公開をし、多くの方にご来場をいただいておるところでございます。また、出前講座等もやってございます。また、昨年は紹介用のDVDもつくったところでございます。

それからホームページを活用いたしました広報でございますが、昨年度は特に災害関連サイト、スマトラの地震関係や風水害関係につきまして、速やかに整備し立ち上げたところでございます。また、ホームページの見直しの検討に着手したところでございます。ちなみに、トップページへの年間アクセス数は36万件となってございます。

それから1.4、その他の研究開発活動でございます。最初に国土管理データベースの構築でございますが、国総研で観測、または共同で観測しているデータをホームページで公開してございまして、東京湾の環境情報等々ございます。特にここに出ております地震計ネットワーク情報につきましては、昨年地震が多発したことを受けまして、従来データの公開まで3時間かかっておったところをいろいろ工夫いたしまして、15分にまで短縮をしたところでございます。

それから他機関との連携でございますが、共同研究を全体で37件実施したところでございます。

それから他分野との交流ということで、所内講演会を28件開催したということ。また、特に昨年度は国立研究機関長協議会という、国立の研究所や独立行政法人、58機関が参加、加盟しておる協議会がありますが、そこの代表幹事を国総研の所長が務めまして、協議会の取りまとめを行ったところでございます。それから研究者の育成でございますが、研修メニューの充実を図り、特にバーチャルOJTの活用等を行ったところでございます。

続きまして国際的活動でございますが、主催または共催による国際会議の開催が10回、それから2国間協定プロジェクト30件、多国間10件等々となってございます。それから知的財産権につきましては、新規登録特許が18件となってございます。

以上が、非常に取り急ぎで申しわけございませんでしたが、16年度の活動の結果でございまして、これにつきまして自己点検結果と、今後の研究開発活動の方向を取りまとめたものを説明させていただきます。

最初に研究の推進と成果の活用に関します自己点検でございますが、ご説明いたしましたように施策への反映事例が多くあったということで、ただいま説明できたのは6件でございましたが、資料4−3の一覧表には43件ございます。また、研究マップにつきましても作成し、7本の柱と17の技術政策課題をバランスよく実施したと考えてございます。それから技術支援活動につきましては、現場と連携しながら的確に対応し、専門家の派遣ができたのではないかと考えてございます。

これを受けての今後の方向でございますが、17年度のプロジェクト研究に関しましては、研究方針を踏まえ、23課題を実施ということで、そのうち四角の中に書いてございます8課題を新規として、17年度は実施する予定でございます。この課題につきましては、昨年度本委員会の分科会におきまして、それぞれ課題の評価をいただいたところでございます。なお、17年度の終了課題は9課題の予定となってございます。

また、今後の方向の続きでございますが、時代の潮流、社会の情勢に応じた研究開発活動を引き続きやっていくように心がける方針でございます。特にコーディネータとしての役割をこれまで以上に果たしていきたいと考えてございます。産学官の連携を活かした研究開発活動を促進するために、こういったことが必要になるのではないかということでございます。

一番下の四角に入ってございますが、今年度総合科学技術会議では第3期の科学技術基本計画、平成18年度から22年度の予定と聞いておりますが、これの策定を今年度されると聞いておりますので、そういった情勢を受けて、また冒頭の所長のあいさつにもございましたように、国総研の設立当初からのプロジェクト研究の研究課題が、今年度ですべて終了するということも受けまして、17年度につきましては研究方針の見直しを考えていきたいと思っておるところでございまして、特にその中で、先ほど申しましたコーディネータとして果たしていく役割について検討をしていきたいと考えておるところでございます。また、この辺のところにつきまして具体的に所内の検討が進みました暁には、また評価委員会にお世話になることと思っております。

それから2.2、研究成果の発信についてでございます。自己点検結果でございますが、国総研研究報告資料を着実に発刊できたと。アニュアルレポートにつきましても、紙面を充実し発刊いたしました。また海外への情報発信ということで、アニュアルレポート、英語版やILIM News Letterというものを発刊したところでございます。またホームページにつきましては、より見やすいものとなるように検討に着手をしたところでございます。

これを受けての今後の方向でございますが、研究成果につきましては電子化をいたしまて、効率的な情報発信に努めてまいりたいと考えてございます。また、海外に向けては引き続き情報発信をしていきたいと考えてございます。広報活動につきましても充実を図っていきたいと考えております。ホームページにつきましては、昨年度の検討結果を受けまして、17年度につきましてはより見やすく、使いやすいものになるよう見直しを図っていきたい。特にコンテンツの充実につきましても、引き続き行っていきたいと考えてございます。

最後の項目でございますが、各種広報媒体の広報対象につきまして明確化して、わかりやすい広報媒体の作成がなされますよう、広報活動計画というものを本年度から策定をしていきたいと考えておるところでございます。

それから最後の項目でございますが、その他の研究開発活動につきましての自己点検結果でございます。国土管理データベースにつきましては、着実に情報を提供したところでございます。また、総合科学技術会議の研究イニシャチブに参画をしたところでございます。他分野との交流につきましては、国立研究機関長協議会において代表幹事を務めたところでございます。また、若手研究者の育成による人的資源の充実等につきましても、着実に進めたと考えております。

これを受けましての今後の方向でございますが、国土管理データベースにつきましては着実にデータの収集・蓄積を行っていきたいと考えてございます。また、他機関との連携や他分野との交流につきましても、引き続き進めてまいる所存でございます。国際的活動につきましても、国際社会にとって必要な組織として活躍できるよう努めていく考えでございます。特許につきましては、本省で整備しております技術研究開発成果検索システムに登録し、さらなる利活用を目指して情報提供を行うことを考えてございます。

以上、時間の関係もございまして非常に飛ばした説明となりましたが、資料4をもとに昨年度の研究開発活動の結果と、自己点検並びに今後の方向につきまして、説明をさせていただきました。

(委員長) ありがとうございました。それではご議論をいただきたいと思います。審査といいますか、評価といいますか、そういうことを含めてお願いしたいと思っています。過去の研究については必要性があったか、効率性だったか、有効だったか、社会情勢等を踏まえているか、ちゃんと説明責任を果たしているか、こういう観点からの評価をいただくことになります。

 ということなんですけれども、非常にこれは幅広い評価の仕方でございますので、ご専門の観点から、あるいは専門家というか国民として一つの問題点があるかないか、こういうことも含めて、どこからでも結構でございますので、ご意見を賜りたいと思っています。あるいはご質問からでも結構です。どうぞお願いします。

(委員) このパワーポイントの2ページの上の方に7本の柱と17の技術政策課題でございますか、大変きれいでこの絵でわかるんでございますけれども、これと22のプロジェクト研究と基礎・基盤研究ですか、それとの関係はどうなっているんでございますか。

(事務局) それでは説明させていただきます。資料の4−2というA3の折り畳んだ研究マップというものがあろうかと思います。ちょっと字が小さくて恐縮でございますが、そこに7本の柱と17の政策課題が書いてございます。裸の1番、2番という数字と、あと(1)(2)(3)というのがございまして、そこにそれぞれ左側にプロジェクト研究が書いてございまして、真ん中から右側に基礎・基盤研究の課題名が書いてございます。

(委員) これを見ると丸がついていますね。

(事務局) 丸がプロジェクト研究でございます。ですから、こういったそれぞれの17の柱に対応して位置づけてございます。

(委員) そういうことですか。

(委員) 今のことに関連して、例えばこのパワーポイントの4ページを見ますと、この資料4−2が研究マップだと思うんですけれども、非常に課題が広くて、個々の研究はそれぞれよくやっておられて、ああこういうことができるのか、すごいなと思うわけです。けれども、マップにしたときに、例えば1の「持続可能な社会を支える美しい国土の形成」というテーマの中で、ここにあるものが100%必要な課題を覆っているのか、それとも、いろいろな課題があるんだけれども、その中で国総研が抱えているプロジェクトあるいは基礎・基盤研究は大体こういう部分をカバーしていて、まだカバーできていないところがここにあるとか、そういう全体の課題の中でどのあたりをやっているのかというふうに示していただいたら全体の位置づけがわかってくると思うんです。それをこれだけ課題がある中でどういうふうにやったらいいのか難しい面もありますけれども、そういう形で評価をされていった方が、国総研自体の自己評価の面でも見通しがよくなってくると思います。自己点検のときにはそういう点で何か議論がありましたでしょうか。

(事務局) 確かにおっしゃるように、非常に幅が広い分野で、それぞれ課題が列挙されてございますので、それですべてカバーしているかというところにつきましては、まだ十分には点検されていないんですが、ただ、項目ごとにそれぞれある程度のバランスをもって課題が入っておるということをもってして当面はなされていると思いますが、先生ご指摘のように、そういったチェックは必要と考えてございます。

(委員) 施策への反映で、たくさんの施策に反映されていてすばらしいと思うんですけれども、プロジェクト研究の結果、反映されたものと、基礎研究、基盤研究の差が必ずしも明確じゃないんですよね。余りうるさいことを言うつもりはないんですけれども、例えばプロジェクト研究への力のかけ方と、基礎・基盤研究への力のかけ方とのバランスで、有効性という観点からどっちの方がよかったのかなとか、そんなことも思わなくもないんです。多分、基礎研究というのは施策への直接的な反映というのはないと思うんですけれども、特にプロジェクト研究がどういう形で施策へ反映されたのかなということです。やはり一番力を入れていられる研究のスキームだと思いますので、その辺についてちょっと教えていただけるか、あるいは次回かそれぐらいまでに資料を用意いただければありがたいなと思いました。

(事務局) 同じく資料4−3という、これもA3の折り畳みの資料がございまして、ちょっとこれも見にくくて恐縮なんですが、政策への反映が一覧となってございまして、43事例、書いてございます。それぞれの四角の中で上から2番目、真ん中の欄に、どういう研究がもとになって、それが反映されたかというのがございます。例えば4−3の1枚目の一番右の上のところ、その他という欄で、「水災防止体制の整備に関する提言」の策定ということで、反映事例がございますが、下から2番目の欄でプロジェクト研究と括弧の中にございまして、都市地域の社会基盤・施設の防災性能評価・災害軽減技術の開発というプロジェクト研究の成果が、ここでは反映されましたということで書いてございます。ちなみに43項のうち「プロジェクト研究」と書いてございますのが、恐縮でございますが、この表をよく見ていただきますと10個、反映事例というものが出てございまして、そのほかのものは基盤研究ないし通常の蓄積で反映されたということでございます。

(委員) きょう初めてお聞きするんですけれども、ここの研究はプロジェクト研究と基礎・基盤研究がうまく両輪として動いていくと非常にいいんだろうなと思うんですけれども、どういう形でプロジェクトに昇華していくのかというのが、例えばスタートしたやつがほとんど終わってしまった、次のプロジェクト課題を決めていかなければならないときに、やはりどうプロジェクトに持ち上げていくのかということが非常に重要なところだと思うんですけれども、今までどんなふうにされていたのかが余り明確でなかったのかなという気がいたしました。それは、一つは政策誘導型なのか、それとも国総研の研究が政策を誘導するみたいな、イニシャチブをむしろ持ってやられているのか、その2通りをきちんと明確にしていった方が、国総研の存在感がより出てくるんじゃないかなという気がしましたので、その辺、少しプロジェクトと基盤研究をどうつないでいくのかということの議論を、あるいはもう既にされているのかもしれませんけれども、その辺の枠組みづくりをされたらどうかなという気がしました。

そのときに、効率性とか有効性とかおっしゃっているけれども、そういう政策部隊と国総研が一体どんなふうな、政策がイニシャチブを持ってプロジェクトを決めているのか、国総研の研究が進んできて政策をリードするような形が見え始めてきているのかとか、その辺についてはいかがなんでしょう。

(国総研) これまでの国総研は、13年にできて、政策研究所としてスタートしましたので、どちらかというと過去のものは、やはり先に政策があった上にというイメージの方が多かったかなと思います。ただ、今、先ほどの所長のあいさつでもありましたように5年たって、今後どうあるべきかといったときに、もう少し所として我々が政策をもう少し世の中に提案できるような、本省がいろいろ議論する前段としての政策提案ができるような、そういう研究をやはり先行的にやるべきだろうなという議論をしていまして、そういう方向に体質改善ができるといいかなと、そういうふうに思っています。

(委員) そうするとその枠組みの中に、先ほど基盤研究からプロジェクトに伸びていくようなものもあるという表現をされましたけれども、そういう母体みたいなものは国総研の中に組織としてつくっておられるんでしょうか。すなわち、どういうものをプロジェクトとして挙げて動かしていくのかという話。あるいはプロジェクトとしての研究目標であるとか、今回5年で終わったと言われたけれども、目標があって達成したから初めて終わるわけで、そういう目標が明確にされたのか。あるいは先ほど問題になっている持続可能な社会といったときに、河川研なら河川研、都市の方なら都市、下水道なら下水道でそれぞれ目標を出されて、全体のプロジェクトとしての目標、例えば持続可能ということのどういうものが達成されたのか。そういう内部評価機構とか、あるいは内部でそういうものをくみ上げていくようなディスカッションをできる場とか、あるいはそういう部隊を持っておられるのかとか、その辺はいかがなんでしょう。

(国総研) 一応年度の初めに、時期的に言うと3月ぐらいに、各研究部単位あるいは室単位で内部評価委員会の中で各研究方針を議論します。そういう中で、世の中こういうのが一つ話題になっているけれども、そういう部分をもう少しやったらいいんじゃないかというやり取りはしています。そういう形で今やっているという感じなんですけれども。

(委員) 余り何も知らないで、いろいろ質問してしまいました。どうもありがとうございました。

(国総研) いえいえ。

(委員長) 所長、どうぞ。

(国総研) 先ほど研究マップのお話が出ておりました。ここにつけております国総研研究マップの説明が、先ほど事務局からございましたが、それの追加ということで、これは国総研の大きなテーマとの関連で整理をしたものでございますが、同時にそれぞれのプロジェクト研究につきましても、それぞれの目的を達成するために、どういう分野が今まで手が薄かったとか、そういう意味でのプロジェクト研究ごとの研究マップを別途つくっておりますので、そちらとあわせて見ていっているというのが実情でございます。ただ、先ほど先生が言われましたのは、もうちょっと大きな絵姿としてどの部分が足りないかとか、そういうことが必要ではないかというお話かと思いますので、そういった面はまた気をつけていきたいと思っております。

(委員) マップの話は3年間でやるといって、前、早いころにお願いしまして、最初のマップは今おっしゃったような形でできたのですけれども、今これマップというよりもリストです。なかなか全貌がわからないし、どのぐらい進んで、どこが足りないかあたりがなかなか把握できないんです。例えばさっきの7の柱と17の課題ですか、それと22のプロジェクトと基礎・基盤ですね、色分けでもしておいていただければ、ぱっとわかるんでございますけれども、これはもうマップじゃなくてリストですよね。

(委員) 多少繰り返しになりますが、確かにマップと私も伺っておりまして、もう少しマップのような形になっているかと思いましたが、例えば16年度で終わっている地球温暖化の研究なんでございますけれども、決してこれは16年度で終わるというものでもないと思うんです。こういった要素研究が時系列的に、将来に向かってどういうような目標があって、現在どこの辺の研究をしているかということがわかるようなものがあった方がいいんじゃないかということで、これから国総研として目指す幾つかの研究が、どういう方向に向いているかということが、たちどころにわかるようなものがあるとよろしいんじゃないかと。これ全部見ようと思いましたんですが、全部見切れませんでした。そういうような形で、この研究のベクトルがわかるようになっているとよろしいんじゃないかと思います。

 それから我々民間企業も研究予算というのは非常に少なく、削られたりしてくるわけですけれども、現在は社内のいろいろな事業部、利益代表部門がありまして、その事業部に直結した研究を要求してくることが多くなりまして、研究者が独自にやりたいことがだんだんできなくなってきておりまして、本社研究というか、どこにも属さないような研究が非常に少なくなってきているんです。過去はもっと独自にできたんですが。こちらでも、研究者が独自に何かやりたいことがやれるような仕組みがあるのかどうか。常に政策に沿ったものしかできないということでは、研究者の意欲もなくなりますし、例えば住友本社のスリーエムは、2割は自分の好きなことをやっていいという枠が予算的にも与えられているようですが、この辺はいかがでございますか。

(委員長) よろしいですか、お願いします。

(国総研) まずマップの件につきましては、確かにまだまだ工夫すべき余地もあると思いますので、改良を検討させていただきたいと思います。

 あともう一つ国総研、あるいは研究者として独自の研究というお話がございましたが、私どもの中で基礎・基盤研究という部分がこれに当たるわけでございますが、ただ、国総研の組織自体としましては、やはり政策に役立てるということが組織としての大きな使命でございますので、どうしてもそういう成果とのつながりで研究をやるということが中心になっていくのではないかと思っております。ただ、その中で基盤的な部分でも研究者がこういうことをやりたいという場合に、将来の可能性を判定しまして、決して多くのお金ではありませんが、お金をつけるという部分はございます。

 それともう一つは、独立行政法人として土木研究所、建築研究所、港湾空港技術研究所がございますので、そちらの方で将来の技術のシーズをやっていただくという部分があるのではないかと思っておりまして、そのあたりの役割分担も一緒にしながらやっていくということではないかと思っております。

(委員長) 独立法人の方は、むしろ基礎研究をやるところと考えていいんですか。

(国総研) 基本的に独法は、要素技術の研究、あるいは現象の解明、そういったものを主たる任務としておりまして、国総研の方が政策に役に立つという部分をはっきりさせた研究をしてございますので、お互い連携をとりながら、人的な交流もしながらやっていくということで動いておりますし、今後もそういう形でやっていくことで考えております。

(委員長) わかりました。どうぞ。

(委員) 初めて拝見したので、幾つかわからないことがあり、お尋ねします。

 パワーポイントの11ページ、研究論文の本数の表がありますけれども、内訳の「査読付」以外のものは何なんでしょう。査読付でない論文とは、どういうものを言っているんでしょう。

(国総研) 投稿すれば基本的に無条件で載せてくれるもの、あるいは簡単な読みやすさの審査ぐらいで載せてくれるもの、あるいは技術雑誌的なところ、そういったものです。

(委員) 印象で申し上げますけれども、少し査読付が少ないかなという気がしたんです。これについても、それからもう一つ、例えば13ページの共同研究の締結数、全体数37件、250人の研究者がおられて、これだけプロジェクトをやっていて、大学との共同研究が5件というのは、私の印象ではちょっと少ない気がするんです。単に数字だけではなくて、これを多いと見ていらっしゃるのか、少ないと見ていらっしゃるのか、どう見たらいいのかというのを併せて情報提供していただきたいなと思いました。

 もう一つ、12ページ、ホームページのページビューが年間36万件とありますが、これも36万件という数字を多いとみるか。、そして、国総研は誰に向けてホームページをつくり、実際にどういう人が見ているんだろうということも併せて情報提供していただかないと、評価しろと言われてもなかなかできません。

 国土を守るとか、国土を知るという使命を持った研究所としては、ほかの省庁の研究所がありますよね。産総研でも、東大の生産技術研究所でも、いろいろな研究所がありますけれども、そことの住み分けをどうしているのか、ちょっと私はよくわからないんです。もし住み分けをしているのであれば、研究所の独自性はどこにあるのか、私は少なくともきょうのご説明を聞いてわかりませんでした。

その辺りが評価の基本的な素材になると思うんですけれども、情報がたくさんあり過ぎて、十分に整理されていなくて、よくわかりませんでした。初めてで勉強していない私も悪いんですけれども、短い時間で評価をするなら、もう少しわかりやすく提供いただけたらと思いました。

(委員長) 今やっていただくとよいと考えます。追加とか説明で。あるいはデータでなくても印象でもいいと思いますよ。今のようなことについては、結構難しい問題ですよね。

 

(国総研) 非常に難しい部分がありまして、当初国総研という新たな政策研究所としてスタートしたときにも、一応研究所であるので、当時研究所というのはやはり論文数であるとか、そういったもので評価する研究所がほとんどだったわけです。ですからこういう資料の整理もしておりますが、実はスタートして何年かたちますと、政策研究所としてコーディネータ的なことも求められてきていることも事実です。例えば研究者というプレイヤーではなくて、先ほどマップの話をされましたけれども、実はマップづくりでは抜けているものを見つけるのが一番難しいところでして、そういうものがあれば産官学の連携をとりながら我々がコーディネートをする。そういうことが大事だと一方で言われています。

 もしそういうふうにやっていこうとしますと、優秀な研究者の中には、論文はそれなりに労力がかかるので書けるチャンスが減ってきていると、そういう声があります。最初、評価研究官の方から、我が所としては施策への反映が一番重要だという説明をさせていただいたんですが、その裏には在来型の研究所としての指標、今の基本方針にはこういうことが書いてあるので一応整理はさせてもらっているんですが、ここら辺については非常に議論のあるところで、むしろコーディネータ役としていろいろ新しい成果を生み出したり、あるいは本省の施策を新たに当研究所から提案して実現するとか、本当言うとそういう方向で評価して行くべきかなとも思っています。

(委員) 今の大変結構なんですけれども、ここに論文数があるんだったら、どういうふうに施策の反映に貢献したか、それも書いて出さないと、私、国総研の場合、論文だけで評価されるのは非常にまずいと思うんです。ですから、そういう施策の貢献もやはり数にして、表にしたらいかがではないでしょうか。

(国総研) 実は去年から初めてこういう表にしたものですから、2年分ということで今回は表にしませんでしたが、それは検討したいと思います。

(国総研) 今のご質問の中で、ほかの研究所とのミッションの差みたいなことをおっしゃられました。私、たまたま先月まで独立行政法人土木研究所におりましたので、そこでさんざん去年も、独立行政法人見直しということでぎりぎりやられました。ただ、全部説明しているわけにとても行きません。大きく分けて、例えば産総研、あるいは材料物質機構みたいなところは、新しい日本の産業を生み出すというのがミッションになります。ですから、大学・民間との、特にシーズの面での共同研究って非常に重要になってきまして、そのあたりの研究交流が重要になります。

 我々や幾つかの研究所は、親元の省庁が事業を持っています。その事業を円滑に効率的に進めるためにどういう技術が必要かということですから、我々が研究したもので新しいベンチャーが興ってと、そういうことではないんです。余りそういう方に走ってしまうと、別な問題が起こりますので、これはあくまでもニーズを踏まえての研究ということになります。

 ということでございまして、その中で国総研とペアになるべき三つの独立行政法人、これはそれぞれ行政の方で必要となる。私、去年いろいろなところで説明するのに、国総研と独法との違いは非常に説明しづらくて、こういったところに書いてあるものをお話ししてもなかなかわかっていただけなかったんですが、非常に簡単に言いますと、どちらもやはり国土交通省の事業に非常に重要なんです。国総研はむしろ技術基準とか政策とか、そういうもので国を動かしていく、方向を変えていくような提案をしていくのが国総研の仕事。一方、現場でいろいろな事業をやっているので、そちらを技術で支援していく。どんな技術を評価して使ってもらったらいいだろうか、その技術を使うにはどういう手引きが要るだろうかと、そういった方向を各独立行政法人がやっていると、こういう説明が結局のところ一番わかりやすかったかなと思います。ちょっと書いてあることと若干ずれますが、実態はそういうことでございます。

 それから論文数については、今まさに独立行政法人を、どういう指標で評価しようかというのを、総合科学技術会議がまた別な観点で見たいとおっしゃっていて、今指標に関する検討会が行われています。こちらでも、やはり論文数でというのは必ずしも的確じゃないと。確かに研究したことのアウトプットだから重要だけれども、そればかり見るのは的確じゃない。特に我々のような省庁の場合は、査読付も大事だけれども、研究成果をいかに実際に使って、仕事をしている人たちにわかりやすく伝えるかという形の論文というか、報告、あるいは解説みたいなものにもっと力を入れるべきじゃないか、そういう話も出ていますので、この数字がいいかどうかというのはもっとちゃんと説明すべきだと思いますけれども、必ずしも査読付が少ないというふうには感じておりません。

 ちょっと私が言えるのはそんな範囲かなと思います。

(国総研) 少し補足でございますが、今、国全体としましても、国の科学技術基本計画の見直しということで、第3期に向けていろいろな作業がなされております。これに向けまして国交省としてもご意見を申し上げようということで、本省の中で有識者の方に集まっていただきまして、いろいろな議論をしまして、こういうことが大事なのではないですかということで提言をされているんですが、その中で国交省の技術は「社会的技術」だという言い方をしておりまして、いわゆる先端的技術というのはもちろん大事でありますが、そういったものを実際世の中に直接役に立つようにするということで、必ずしも本当に新しい技術ではないかもしれないけれども、国民生活に役に立つ、そういう観点での社会的技術が大事なのではないでしょうかということで提言をしておりますが、国総研の仕事というのはまさに社会的技術の部分をきちんと支えることが役割ではないかと思っております。

(委員) 「社会的技術」という言葉、どうしてこの中にお使いになっていないの。私それ聞こうと思っていたんですよ。大変それよく説明してくれると思うんでございますけれどもね、この趣旨を。

(委員) 私もちょっといいですか。

(国総研) これはまだ16年度の説明でございますので。

(委員) なるほど。

(委員) 説明していただいてとてもよくわかりました。社会的使命というか、社会的ミッションを持っている研究所であるということを踏まえて申し上げますけれども、それをアピールするような報告書は作れないんですか。「ウチの評価基準は違うんです」ということをきちんと世間にアピールすることが大切だと思います。私も論文数で評価しているわけではなく、私も他の審議会では、安直な研究評価はするなと言っていますし、それはわかっているつもりなんですけれども。

 もう一つ心配なのは、ここにいらっしゃる研究者の方は、全員が定年までここにいるわけではないですよね。そうなると、その研究者のが、またどこかの研究所に就職・転職していくわけです。その時に、キャリアとして認められるのはどうしても数値で表されるアウトプットだと私は思っています。ですから、ある程度客観的な指標で研究者を評価したり、内部で研究者にどういったインセンティブを与えているのかをもう少し知りたいと思いました。

具体的に言うとプロジェクト研究に選ばれた人が、その経験をどうったキャリアにしていくのかとか、どなたかのご質問とダブりますけれども、与えられた課題だけをやるのではなく、下からの提案型も受け付けるのかとか、内部での工夫も少し知りたいです。

(委員長) お願いします。

(国総研) 研究者のキャリアの形成、あるいはその育て方というお話であったかと思いますが、国総研の場合、ほかの産総研さんなんかと違うところは、行政との交流が非常に多いということでありまして、そういう意味で行政と行ったり来たりする人間がかなりの部分おります。ただ、そうは言いながらも、研究的な部分に軸足を置きながら行政にも携わる、そういった人たちと、行政の方にむしろ軸足を置いて、ここで過ごしている時間が短い、極端に類型化するとそういう二つの形になっておりまして、そういう意味で研究に軸足を置いた方ということでいきますと、国総研で研究・政策オリエンテッドな仕事をし、また独法でもっと技術プロパーの仕事をすると、それでまた行政の場にも出ていっていろいろな経験をするという形かと思いますし、行政に軸足を置いた方でありますと、国総研でのいろいろな経験を逆に行政の方に持っていって、そこで生かしていくと、そんなふうなことではないかと思っております。ほかのつくばの研究所と比べましても、行政とのかかわりが非常に深いという意味では、国総研の比率が一番高いのではないかと思っています。

(委員) 国総研が違うスタンスだということはよくわかるんですけれども、研究所としては、私が先ほど言いましたように、やはり政策オリエンテッドで研究をやっているだけでなくて、もう一つの視点として、研究が引っ張る政策というところを目指していただきたいと思うんです。そうすると、先ほどからどっちかというと社会的使命みたいなところで評価すべきだと言うんだけれども、一方では研究者としての資質の評価も、あるいは資質の高い研究がここでなされているという評価も、きちんと分けてできるような仕組みにしておかないといけないと思うんです。

その仕組みはどこでやられるかというのは、多分今ちょっと言われたんだけれども、人事だと思うんです。いつもいつもプロジェクト研究ばかりやっている人たちを動かさないで、そこでやっていると、結局十分な力を持たないまま、行き当たりばったりではないけれども、プロジェクト政策に誘導された都合のいいものしか出てこない。やはり新しい研究というのは政策をも引っ張るぐらいの気概がいがないといけないと思うんです。

そこのところを人事でやるのか、内輪で少しやれるのか、その辺も仕組みとして少し考えてほしい。私、先ほど政策誘導型の研究をするのか、研究誘導型で政策を引っ張っていくというところまでやるのかという話をしたんですけれども、そこらは今ちょうど曲がり角におられるんだなと。研究所の評価として、どうも一本やりの論文で評価してきたのを方向転換して、じゃあうちはもう論文で評価しないんだよ、政策の数だけで行くんだということは行き過ぎじゃないかと私は思います。いろいろあると思いますけれども。

(委員) 関連するんですけれども、やはり国総研としては腰を据えた長期の研究をきちんと展開していただいて、政策を引っ張っていくということが主眼だと思うんです。そのためのプロジェクト研究であろうかと思うんです。

非常に最近の例で申し上げますと、ガードレールの金属片問題で、国総研は随分力を発揮されていると思うんです。多分来年の報告書には施策への反映ということで、あれが多分入ってくると思うんですけれども、でも、あれはアドホックにそういう社会的ニーズがあったので、やられるということですよね。それも国総研の力の発揮をする場所としては重要かもしれないけれども、むしろプロジェクト研究生まれのものを政策に反映させるような、そういう努力が必要かなと。そういう意味で先ほどご質問しましたけれども、43分の10というのは、個人的にはちょっと少ないのかなとも思います。

(国総研) 先ほど事務局から説明した中に、私どもの研究方針の見直しも考えているとご説明しました。先ほど来から、いろいろとどういう方向を目指すべきかというご意見もいただいておりますので、その中で私どもとしても検討させていただきまして、またこちらの外部評価委員会でご審議、ご意見をいただければありがたいと思っています。

(委員長) キャリアの問題は、何度か議論が出ましたね。いつも決着つかないですね。これはいつも両サイドあり得るということになりまして。したがって指標として重要になってくるのは、先ほど言われた、政策への反映がどうであったかというのが、一つの方向で重要になる。一方で査読付論文というのは、個人のキャリアの一つ重要な成果になりますから、これも必要になってくる。先ほど査読付論文が少ないのはどうなんですかということでしたけれども、大学でもこんなものです。ですから、そんなにこれは低いような感じもしないです、感覚的には。そんなふうな形で、両サイドにそれぞれ個人の選択権があって、いずれか選択可能なような格好でバランスをとっておられるのかなというのが印象なんですけれども、どうもこれは解決できそうもないぐらい悩みがあるんだろうと思いますけれども、どうぞ。

(国総研) 直接答えになるかどうかわからないですが、それこそ私は5月まで前任で技術屋の人事もやっていました。非常に難しい。ほかの研究所と比べて明らかな違いがあって、旧港湾・建築・土木研究所と若干違うんですが、特に土木系の人間は100%行政職やろうと思って入った人が、ある時期、研究という場で自分の力を試していると。できればそれを行政に認めてもらって、自分が考えたことが政策になっていくというのが最大のインセンティブなのかなと思っています。ただ、なかなかそれがうまく人事の中で、例えばもう少しこれ長期にやってくれたらいいのにというのが、いやそこまで考えたのなら現場でやってみろという形の人事に全体で流れてきてしまうので、なかなか難しいところがあります。

 ただ、独法と国総研とに分かれて5年近くたちますけれども、土木系ではかなり腰を据えて特定の技術をやっていこうという人が独法、短期だけれども行政との間を行ったり来たりというところで力を蓄えてという人が国総研ということで、少し人の種類が変わりつつあるなと感じています。理想的に行っているかどうかは別にして、そういうことでございます。

(委員長) わかりました。

(国総研) 4月に来たばかりなので、ちょっと間違いなことも言うかもしれませんけれども、2カ月半の印象で申しますと、一つは土木と違って、昔の建築研究所に入った方は研究というテーマで入っておられて、国総研ができて、例えば住宅政策の中で何を担っているのかという議論については、非常に弱い部分があるんだろうと思います。その中で人事上の配置で言うと、独法建研で上に上げるときに、一たん国総研でやってから戻って評価するみたいなことをやっておられるという感じがありますので、プロジェクトを担ったり、あるいは自分の研究のことを担ったりということのバランスをできるだけとる方向での人事異動は行われているのではないかと思います。

 それと、○○委員のご質問にもありましたように、プロジェクト研究だけ、あるいは政策ミッションだけをやるということは、研究者は非常に苦しいと思いますので、どれだけ余裕があるかという議論はあるんですけれども、どちらかというと自分のやりたいことをやっておられる方が多くて、それをいかに51%以上、国のミッションの延長線上で議論していくかというのが建築の方の議論であって、土木とは少し違うのかなという印象で見ております。

(委員長) ありがとうございました。どうぞ。

(委員) キャリアの話ですけれども、私も少し前に慶應で、現役の官僚の方に教授になっていただくのに、論文の数は少なかったんですけれども、その人が法律の策定に何本かかわったかというのが教授会で非常に高い評価を得ましてですね。

(委員長) そうですか。

(委員) ええ。ですから僕はだんだん世の中そういうふうになると思う。例えば建築の場合でも作品だとか、教授人事で安藤忠雄を教授にするのに、論文なんかゼロなわけです。ですから、だんだん論文だけではない評価が世の中に枠が広がっていると思いますが、どれだけ政策に関与したかというのを、特に国総研の場合には定量化する努力をされた方がいいんじゃないでしょうか。

(委員) もちろん、それはそれで結構なんですけれども、私がちょっとこだわるのは、委員長は論文が700件のうち167しか査読がない、あるいは英文でも122の42、これはそんなに少ない数じゃないよとおっしゃったけれども、私はやはり少ないと思います。政策にかかわったとしても、国総研の問題というのは技術にかかわる問題なので、関連の基礎分野であるとか関連の応用工学の分野というのは確実にあるはずで、そういうところのレビューをきちんとしたもので政策をつくっていくということは、やはり大事なことなので、政策にかかわるようなものを、自分たちは政策にかかわっていて人よりよく知っているんだと、あるいは逆にこんなことはサイエンスからとやかく言われたくないということじゃなくて、やはりサイエンスの目から見てもしっかりした技術指針とかを打ち立てているんだということを明らかにするためにも、もう少しきちんと探して、サーベイしてでもレビューを受けられるような体制をそれこそコーディネートする。そういうサーベイができるような仕組みに、学とか民とかも連携しながら、やはりどこかでチェックが入るような論文というものをパブリッシュしていかないと、自分たちだけがどこかに頼まれて書きましたというふうなペーパーばかりつくっているというのは、やはり少し問題があるのかなという気がします。全く研究者と一緒だというわけではないんですけれども、そういう仕組みを自分たちでも考えていかれた方が私はいいと思います。

(委員) 論文をきちんと位置づけるという点については、私は○○先生とかなり同じような印象を持って、その点はきちんとやられた方がいいと思うんですが、もう一つ行政の施策への反映ということも、きちんと指標を決めたり、中身を評価することをきちんとやる。両方やる必要があるんじゃないかと思います。、このガイドラインとか指針とかをつくるのに、国総研の研究者の方がどの程度実際にタッチするというか、労力を使っておられるかをちょっとお伺いしたいと思います。研究をやるということと、その成果をちゃんとガイドラインや施策にするとか、世の中にわかるようにするということの間には結構ギャップがあって、そういう研究の成果を翻訳するには、それで独自の能力というか、ちゃんとした力が必要なんだと思うんです。

ですから国総研の使命として、そこのところをきちんと反映していくということであれば、研究者にその能力を要求するのか、それともそういう翻訳を専門にするような部隊を持っておくのかとか、その辺のことはかなり重要な要素になるんじゃないかなと思います。今の現実はどうなんですかね。研究者の方がガイドラインを全部書いているんですか、それとも、どなたかが書いたものを研究者がチェックをするというぐらいで済んでいるのか。もし自分で書く、あるいは全部オーガナイズするところまでやっておられるんだとしたら、私は、それが非常にすばらしいガイドラインになるんだとしたら、それはそれで非常に高く評価するべきじゃないかなと思いますけれども。

(国総研) ちょっと申し上げますけれども、例えば環境影響評価の道路部門のマニュアルございましたけれども、基礎的な研究をやりまして、その成果をここの職員がマニュアルに書き改めています。ですから、その辺は相当な幅広い知識、深い知識、それとそれを現場で使えるようなマニュアルにするというセンスというんでしょうか、そういったものも必要かと思います。

(国総研) 建築は自分たちで書いているものですから、暇がなくて論文を出せないという。

(委員) いや、まあそういう面はあると思うんです。それはそれですごく立派な仕事だから、その仕事はその仕事でちゃんと評価する、あるいはそういう能力をもっと育てるというポリシーもやはり必要なんだと思うんですけれどもね。

(国総研) なかなかそこら辺が難しい。

(委員) そう、そっちをやっていると今度は論文が出ないという問題になるかもしれない。

(国総研) 私、ここに来る何年か前に市街地建築課長をしていまして、そのときにマンション建てかえ法というのをやった。その前にマンション総プロというのを建研で始めて、始めるときにはまだ法律のイメージはなかったんですけれども、これはどうも文章・用語だけじゃできないなというのがその研究を通じて出てきて、その研究を通じて法律をつくりましょうということで本省が乗り出して、そのときに全面的に国総研のバックアップで、1年間ぐらいで法律に仕立て上げたんですけれども。法律ができた後、大臣の基本方針というのをつくることになっていて、そのときはもう僕はかわっていたんですけれども、基本方針は書きおろしているはずなんです。法律の文章上の直しは別なんですけれども、内容としては国総研が書きおろしたやつを国が使っているという形だったと思いますので、きっとそれだけやると論文を書く暇はほとんどないと思いますので。

(委員) ただ、逆にそういうことをやったということが、この評価の中にすごく出てこない。

(国総研) いや、これは16年度分しかないものですから、例えば5カ年のレビューみたいなことをやったら、そういうところは物すごく書きやすいので、私どもが外に情報発信をするやり方としては、もう少し整理して入れたらわかりやすいのかもしれないです。

(委員) つい最近、独法の建築研究所の研究員の方に、筑波大学の連携の大学院の教授になっていただく人事が終わりまして、そのときにその方もやはりマニュアル作成とか、実際のプロジェクトの展開とかに、一生懸命やられていたものですから相当時間とられて、いわゆる研究論文は余りなかったんです。しかし、それが逆に高度に専門的、あるいは社会的な貢献として非常に高く評価されまして、全然問題なかったです。逆に、そういう生き方は、大学として、我々のところとしては非常にありがたいと、そういう評価でした。紹介させていただきます。

(委員) ここで技術屋さんじゃないのは私一人かもしれませんので、その立場で申し上げますと、きょう初めて参加しましたのでわからないことがたくさんで、ちょっと事情があって資料を読めなかったんですが、きょうお話を伺っていてちょっと感想めいたことなんですけれども、私は結局、一番最初にあります重点的に取り組む研究課題1から7まで、それぞれブレイクダウンした17、これが最終的に国民であるエンドユーザーに、どうつながっていくかということのためにある研究所ではないかと思うわけです。ですから国土交通省の国総研なわけですね。

 ですから論文の問題もいろいろあるんでしょうが、例えば高速道路と自動車とか港湾とか、いろいろな雑誌がありますね。ああいったところに書いていただかないことには、私なんかは読むチャンスがないわけです。こんな難しい論文は読んでもわからない。ということで、やはり最終的には研究の成果が、数学ではないので、土木であったり建築だったりするので、要するに安全で安心な国土をつくっていただくための研究をしていただけるのか、あるいは住宅、例えば社会資本整備、マネジメント手法が、この研究によって非常に高度化していくということが目的ではないかなと思うのです。ですから研究評価をするときに、研究の内容自体はプロの方しかわからないと思うんですが、この七つの項目に沿った研究がなされているのか、ここに戻っていくんだと思うんです。そういう意味で、さっきのマップじゃちょっとわからない。かなりデジタルになっているのがわからないですが。

この目的、しかも国交省の方でやっている、私も先生とご一緒している計画部会とかありますけれども、あちらの社会資本整備部会とか、それから交通政策審議会とか、国土審議会とか、いろいろなのがありますよね。ああいったところで出している国交省の方針と、こちらの研究所が受けとめて、それをどういうふうに研究に砕いていっていて、それをまたそれぞれの研究者がどういうふうに受けとめて研究して、それがどのような成果をフィードバックされているかというところで判断するのでしょうか。

研究の内容自体はプロの方しかわかりませんので、この研究がよかった、悪かった、時間がかかった、かかり過ぎたということは私にはわからないんですけれども、そういう意味ではさっきおっしゃっていたように、マップというか、国土を含めて国交省が目指している方針があって、ゴールはずっとネバーエンディング・イノベーションだと思うんですが、ゴールを目指していって、それぞれの部門がどういう状況にあって、それのアウトカムはどうであって、今これはおくれている、これは進んでいる、これはまだだというのがわかると。今こういう研究をやっていて、これはもうちょっと早くやってほしいなとか、私なんか技術屋じゃない方から見ると、アウトカムの方から見ると、今これはもっと急いでほしいとか、あるいはこっちは絶対続けてやってほしいとか、そういったことがよくわかるんですけれども。

新規プロジェクトの研究なんかも見ていますと、例えば「ヒューマンエラー抑制の観点からみた安全な道路・沿線環境のあり方に関する研究」というのがあるんですが、今かなり話題になっている航空関係とか鉄道がここには反映されないのかなと思う。新たな問題も出てきますから、そういったものの現実的な部分も、またちょっと見ていただきたいような気はするんですけれども。話がまとまらないですみません。

(委員長) 今の件は、僕の感じですが、最後の方はまずテーマとして、恐らく今回の鉄道の事故に対して何らかの貢献ができるかもわからないという感じの研究になってくると思うんです。こういうのは必ず道路と限定してありますけれども、当面対象道路でスタートして、こういうことになってくるんだろうと思います。

 そういうふうにお願いしたいと言ってもいいと思いますが、それから、おっしゃったことは広報活動ではないかと思うんですけれども、ここは国総研のための研究所ですけれども、国総研のためにだけあるんだったら、そんなことでは困る、やはり税金を払っているんだから、そこから国民へ直接還元があってもいいじゃないかと、こういうお話だと思うんです。先ほどの非常に微妙なバランスの問題が、僕はここにあると思うんですけれども。ただ、いずれにしても、おっしゃったことは広報をどうしたらいいかということかなと思ったんですけれども。大学でも研究成果の広報が重要だという認識をしていまして、順番に各研究分野の代表選手を引っ張り出して売り込むんですけれども、全然相手にしてくれませんね。

(委員) マスコミ代表というわけではありませんが、私の目から見て「記事を書きたくなる研究所」とはどういうものか、ちょっと申し上げます。

 研究に関しては、やはり学会で発表したとか、あるいは査読付きの専門誌や学術誌に載った、という節目が書きやすいです。論文がある程度の権威づけをされたときに、その権威づけでもって書くことができます。もちろん研究の中身が魅力的であるというのが前提です。

 魅力的という意味ですが、マニアックなものよりは、やはり世の中の人が読んで「へえ」と思う、役に立つ、あるいは今まで知らなかったことが分かるという、シンプルな内容のものは魅力的です。私も今回、国総研を「こういう研究所があったのか」と初めて知ったくらいで、政策につながっている国立の研究所というのは、どうしても活動が地味になってしまうところがあります。政策のお手伝いというイメージがあるからです。それはすごくもったいない話だと思いました。

 一つアドバイスをすると、例えばこういう年報とか、いろいろな媒体をつくっていらっしゃる割には、多分読者が少ないと思うんです。だから、確実に届けるために読者をきちんとターゲティングするという戦略が必要です。、読んでいて「物足りないなあ」と思うのですが、人間が出てこない。私は読んでいてすごく物足りなさを感じました。唯一このアニュアルレポートは、まだ人の顔が少し出てきていますけれども、これももう一つ難癖をつければ、女性がほとんどいないのが物足りない。これはしようがないんですけれども。

一般の人が研究に触れるときは、やはり「へえ」という驚きが必要で、そのときの驚きというのは、その事実がとてもおもしろいか、あるいはこんな人が研究をやっているんだという驚きでもあると思うんです。だからそこの2点をうまく使えば、広報はもう少しよくなるんじゃないかなと思います。

 世論調査などで一般市民に、「科学技術に触れる機会は十分にあるか」と聞くと、65%の人は「ない」と答えているんです。ないと答えているのにもかかわらず、世の中にはもうこんな研究所の報告書があふれていますよね。じゃどこに行っているんだということですよね。そこをターゲティングでもやって、だれが読んでいるのかということを把握すれば、もう少し同じお金を使って有効にできるんじゃないでしょうか。大学も同じだと思うんです。東北大学なんかは、すごく研究の内容がいいんです。いいんですけれども、仙台で地味に発表なさったりして、仙台支局の記者はちんぷんかんぷんでわからないから引き出しに入れてしまうということがよくあって、それはもったいないなと思っています。

(委員長) 東京でもやっているんですけどね。そう簡単に来ないんですよ、みんな機会費用が高いから。

(委員) 実はここの委員をお引き受する前に、つくばも横須賀も見せていただいて、非常に私としては感動したわけです。こういう地道な研究、基礎的研究をずっとやっている方が世の中にいらして、そういう人たちの支えで私たちは暮らしているんだと、私、結構真剣に思ったんです。

研究所といっても、なかなかあれだけの実験の場所を持っているところがないので、今まで行った研究所はきれいなオフィスばかりで、ああいう実験の場を持って、多摩川の形をずっと長く見ている人とか、もう本当にえらいものだと。えらいものだというのも変ですけれども。こうやって何となく成果だけ見ると難しい数式ばかりがあって、数字をひねっているように見えるんですが、国総研の研究所としての個性は、あれだけの施設を持っているところだと思います。これはもう論文1個より百聞は一見にしかずなんですが。

ただ最近は、例えば津波なら津波で、見学が多過ぎると、これまた邪魔で研究が進まないからお気の毒なんですが。そういう論文もありますけれども、確かに国総研が有名になる必要は、私はそれほどないと思うんです。国総研の人がそうそうテレビに出ることもないとは思うんです。

国総研で出た結果がちゃんと使われてほしいし、世の中の役に立っていただければいい。ただ、結果をアウトカムさせるには、こういう専門の学会に行く人はメンバーが限られていますから、といって週刊文春というわけにもいきませんで、やはり間のちょっと読める、ちょっとそれに関与してアンテナを高くして見ているような人のところには、結果を発表していただく。例えば政策を考えるとき、あるいは地方の自治体の人なんかにも、非常にその結果を分け与えていくということは大事だと思います。

(委員) 民間企業の代表として来ていますので、民間企業の見方から本日の評価についてちょっと述べさせていただきます。まず、本日の評価の視点の中に、研究開発活動が効果的に行われたかという点がございますけれども、具体的にこれに対する自己評価がテーブルの上に出ていません。今後の研究のための資源に過不足がなかったのか、またほかに研究の道筋等があったのではないかとか、そういう視点での効率性について正直にテーブルの上に出していただきたいと思います。

 次に、有効性についてですが、さまざまな研究の有効性というのは、やはりかなり長いスパンで評価しないといけない問題だと思っています。したがいまして、さまざまなプロジェクトで生まれた成果が、将来どういう分野に利用されていくのか。とか、もちろん政策などに反映されたというのはわかりやすいですけれども、ほかの分野の研究に必要なものが成果として出されているとか、そういうものは長期に見ていかないと、この有効性の評価は難しいという気がしております。

 3点目、特に民間の研究機関では、やはりここに書かれている視点もございますけれども、もう少し声を大にして言っていいと思う成果としましては、パワーポイントの18ページに書かれていますが、「若手研究者の育成による人的資源の充実」、これは研究機関としてはもっと声を大にして言うべき点じゃないかと私は思っています。ですから評価の視点の中に、いかにすぐれた人材を育てたかを、自信を持って加えていただきたい。特に国際的な学会等での貢献度、そういうものをもっと前面に押し出すべきだと私は思います。

 これが民間の考え方でございます。

 

(委員長) ありがとうございました。今の件はお聞きして、検討するということでよろしゅうございますね。どうぞ。

(委員) ちょっと話が元に戻るような感じですが、このマップ等を見ると課題トータル366ということで研究テーマたくさんあるんですが、私の会社でやっている住宅の研究の数より、それほど多くないように見えます。これらほとんどはクライアントのある研究だと思いますけれども、こういうテーマ選定をどのようにされていらっしゃるのか。方針があって方針展開的に出てきているのか。独自に採択するものがあるのか。あるいは研究を指揮して、こういった分野をもっとやれとかということになっているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。

(委員長) 建築の方で、ですか。

(委員) ええ、建築もそうですし、国総研として。

(国総研) すぐの答えにはならないんですけれども、予算要求を毎年やっていきます。その中で、例えば3年とか5年のサイクルでこのテーマでやりますというものがついてくる。単年度のものはほとんどないと思いますけれども、そういう形で予算要求をします。

そのときにプロジェクト研究に入っているものもあるし、基礎研究の中に入っているものもあるんですけれども、本省との間でやり取りして、こういうテーマで要求しようという形ですり合わせていきますので、国土交通省あるいは住宅局という目で見たときに、国総研の研究だけで全部をカバーしているという意識ではなくて、これは国総研の得意分野だから国総研でやりましょう、あるいは独法建研でやりましょう、あるいは本省が直轄でどこかに委託してやりましょうということで、トータルを見ないと委員のご質問にはなかなか答えられないのかなという感じでは思っているんですけれども。ただ、もう一つは研究者といっても無限というか、専門分野すべてをカバーしているわけじゃないものですから、そうすると若干というか偏りがあるのは事実だと思います。

そこら辺も見ていただきながら、先ほど○○委員からもマップじゃなくてリストだという話がありましたけれども、これをもう一度リストということで頭に描きながら考えるとすると、ここが抜けている、本省もやっていないじゃないか、独法建研もやっていないじゃないか、なぜ国総研やらないのかという議論がきっとあると思いますので、そこら辺は、○○先生からあのご意見はマップをちゃんとつくって、もう一回議論しろ、おまえらということだと思いますので、次回、少なくとも建築なら建築、住宅なら住宅の分野でマップというものをもう一回考えてみて、もう一度その中で国総研の役割は何かということを再度検討してみたいと思っております。

(委員) 私が見落としているのかわからないんですが、やはり研究というのは研究経費があって、それがどのように使われて、どう成果が出たかということなんですが、例えば16年度の国総研の組織概要は、参考資料4に定員は391名ということと、予算157億円というのは出ているんですが、単年度でやる研究ばかりではないということもあるので、この予算に対して今年度どうかというのは難しいかもしれないんですが、いい研究をしていただきたいというのが一番先にあるわけです。その場合に、こういった研究費と研究状況、成果も含めて、これはどのように研究経費等を皆さんが評価しているのか、そういうものはどこかに書いてありますか。例えば人員にしても、研究メンバーはこれで十分なのか、そういうことがわからないんです。

ですから、国総研の置かれている状況を全体的な視点を持って見てみたい。そういう視点、私の読みが浅いのかもしれないんですが、そういうところはこのリポートのどこかにありますか。例えばそういうものも与えていただいて、やはり全体的な形で、これは大変機能しているという評価をさらにできるのか、国のあらゆる経費削減の動きの中で、こういう研究分野がどういう立場になっているのか理解することは、評価をするときに非常に重要なところだと思うんです。単年度でないから難しいということがあるかもしれませんが。結果として、先ほどから私もずっと見ていて、こういった重点的に取り組む研究課題が、研究した結果、本当に施策にどの程度反映したか。例えば何年も何年もCOの問題とかは常に言われていて、まだ課題としてあって、そういうときにどこまでを評価したらいいかということも、2点目でわからないところがあるんです。

1点目は経費とか人員とか、そういった与えられた条件の中で、自己評価も含めて大変評価できる結果なのかということ。それともう一つは、美しい国土をつくるというのは、もう何年も何年も続けられてきているテーマであって、これは延々と続くのかもしれないけれども、評価をする場合に例えばCO削減とか、緑の樹木を植えましょうとか、そういうことに対して、どの程度で評価したらいいのかというのがあるんです。完結しないのはわかっているんですが。

(委員長) 2番目は我々も頭が痛い問題ですね。存在価値があるかどうかと、こういうご指摘ですよね。

(委員) 何度も、永遠のテーマで取り上げられていて、なおかつどうなんだということを、どう評価したらいいのかということなんです。

(委員長) まず1点目の方から。

(国総研) 組織人員が十分か、それに見合う成果があるかということでございますが、直接にはおっしゃるように書いてございませんが、施策への反映43事例ということで、そこそこではないかと考えておるんですが、それは皆さんがご判断いただくところだと思っております。

 特に金額の面につきましては、個々の課題の評価につきましては、事前評価、中間評価、事後評価ではこういう金額を投資して、こういう成果が上がりましたということで評価をいただいております。ただ、おっしゃるように、本日の資料の中で、全体の金額に対して成果が十分なのかどうかということは、ちょっと書いてないのは事実でございます。

(委員長) 1点目は、具体的には次の議題で、時間がオーバーしていますけれども、すぐ終わりますので、議題で説明いただくようなことになっていますので。

(国総研) 分科会においてご説明します。

(委員長) 分科会でご説明いただくということになりますから。

(委員) わかりました。

(委員長) 2点目は、やはりこれは所長さんがお答えにならなければなりませんかね。

(国総研) なかなか難しいご質問であります。確かに永遠のテーマもあるわけでありまして、COの問題も少なくともあと100年はそうでしょうし、防災という話になりますと、日本の置かれた状況からしてもずっと続くということになるわけでありますが、ただ、社会の状況の変化に応じて、あるいは全体の進捗状況に応じてテーマが変わってきていることも間違いないことであります。

そういった意味で10年ぐらいの単位で見ますと、かなり研究テーマも変わってきておることは間違いございません。例えば私、河川の関係の仕事が長かったんですが、もう20年ぐらい前ですけれども、こちらの土木研究所にいましたときは、いかに早く河道に効率的に洪水を流すかというようなことを研究していたわけなんですけれども、むしろ今では洪水を流すだけでなくて、川の中の多様な生態系とか、そういうものをうまく生かせるような全体としての川づくりがテーマになってきておりますので、そういう意味でテーマそのものは、だんだんとある種進化してきているというところで見ていくのかなという気がしております。

(委員) このパンフレットは、これからの未来ある子に向けたもので、これを見て将来の研究者も出てくるかもしれない。そういう目的もあって編集されるともう少しわかりやすくなるかもしれません。むしろもったいないですよね。そのように世の中の流れで、洪水対策一つ、河川の対策一つでも変わっているというところが、どこかにもっと読みやすく出てくるとよろしいんじゃないでしょうか。

(委員長) 大分時間をオーバーしておりまして、そろそろここら辺でこの案件は終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(はい)

(委員長) ご意見を賜っていますと、いろいろなコメントを具体的にいただきましたが、完全に満点という言葉ではなかったと思いますが、逆にそれほどいい成果でもないなという議論もあったように思いますが、しかし、だめという意見はどうもなかったように思いますので、ここの効率性と有効性と必要性という観点、それに関する情報についても十分ではないということがありましたが、一応の成果が出ているという認識をいただいたのではないかと、こんなふうに思っております。

 そういうわけで、合格でありますが十分ではないと、さらに奮励努力してくださいと、こういうまとめ方になるのではないかと思いますが、いかがなものでございましょうか。そういうことで私の方で事務局とともに、文章をつくらせていただきたいと思っておりますが、よろしゅうございますか。

(異議なし)

(委員長) どうもありがとうございました。

 最後の案件に入ります。簡単に終わると思いますので、事務局お願いいたします。研究開発課題の評価についてですね。

(事務局) お手元資料5でございますが、先ほど最初に本委員会と分科会との関連をご説明申し上げまして、分科会につきましては専門的な観点から個別課題の評価をいただくということでございます。5に書いてございますように(事後評価課題)(中間評価課題)(事前評価課題)というものが現在のところ、このように予定されております。特に事前評価課題につきましては、現在財務省に予算要求をするための作業中でございまして、完全に確定したものではございません。現在動いておるところでございますが、分科会を7月下旬から8月1日が最後でございますが、3回開催させていただきまして、これらの課題の評価をいただくということで、特に○○先生からお話が出ましたように、体制また資金面も含めまして、個別課題のご評価をいただくように考えておるところでございます。

 2番の評価の視点でございますが、(事後評価)(中間評価)(事前評価)につきまして、それぞれの必要性・効率性・有効性の観点からお願いをしたいと考えておるところでございます。特に本日ご出席の○○先生、○○先生、○○先生には、また分科会でもお世話になりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 説明は、以上でございます。

(委員長) ありがとうございました。ご質問、ご意見ございませんか。よろしゅうございますか。

(なし)

(委員長) それでは、どうもありがとうございました。ではこれで私の進行役は終わりまして、事務局にお返しいたしますので、よろしくお願いいたします。

(事務局) どうもありがとうございました。それでは最後にその他ということで、事務局から何点かご連絡を申し上げます。

 平成16年度研究開発活動の成果と今後の方向の評価結果につきましては、先ほど委員長がおっしゃったように事務局で案をつくりまして、委員長にご確定をしていただきたく存じます。また、本日の議事録につきましては、速記録を最低限の修正をいたしまして、皆様にメール等でご送付いたしまして、ご確認をお願いしたいと存じます。

 なお、評価結果につきましては、評価委員会の報告書として取りまとめますとともに、議事録とあわせてホームページ等で公開させていただく予定です。また、先ほどもございましたけれども、この分科会につきましては、7月22日、25日及び8月1日にそれぞれ開催することといたしております。

 それでは最後に国総研の所長よりごあいさつを申し上げます。よろしくお願いします。
(国総研) 本日は大変熱心にご審議いただきまして、大変ありがとうございました。全体として合格であるけれども、まだまだいろいろと足りないところがあると、こういうご指摘でございました。大変幅の広い観点からご議論いただきましたので、私どもまたいろいろと検討させていただきまして、特に研究の基本方針そのものも、内部でまたいろいろと議論をしていきたいと思っております。そういった中で、今日出ましたさまざまな観点につきましても、また私どもなりの整理をさせていただければと思っております。

 本日はまことにどうもありがとうございました。

(事務局) それでは、これで本日の評価委員会を閉会いたします。どうも本日はありがとうございました。