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本研究は、建築空間におけるユーザー生活行動の安全を確保する観点から重要な研究であり必要性が高いことから、国総研で重点的に実施すべきものと評価する。なお、研究の実施にあたっては、本研究で構築する建築空間の事故事例のデータベース情報等が、設計者や生活者に利用されやすいものとなることに留意して進められたい。 |
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【研究を実施するに当たっての留意事項】 |
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なお、研究を進めるに当たっては、以下の点についても配慮されたい。 |
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国総研というメリットを活かし、民間では集まりにくい事故事例もしくはヒヤリ、ハットを幅広く集めていただきたい。 |
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プロジェクト終了後において、知的基盤としてのデータベースを、誰がどのようにメンテナンスしていくかも一緒に検討する必要がある。また、集めたデータをどのように開示し、利用していくかを早期に設計されたい。 |
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リスク分析として、どこまで掘り下げるのかよく検討されたい。 |
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建築設備昇降機センターに昇降機の事故事例のデータベースがあるので、活用されたい。 |
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既往研究をレビューし、可能であればそのフレームあるいはデータを使っていく方がよい。 |
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米国は遊技施設の事故事例について生きたデータベースをもっているので、どう収集し、どう活用されているのかも含めて、活用されたい。 |
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ウクライナやモスクワなどは、エスカレーターを倍速で運転しているが大きな事故につながっていないようである。よりリスキーなところで情報を調べてみるのも一つの手ではないか。 |
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人間特性に関しては、混雑時やパニック時といった時間的状況において、ユーザーだけでなく、管理側も大きく関わってくることが考えられる |
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非日常なところに潜在化したリスクをどのような形で考慮していくかは課題である。 |
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建築計画分野で必ずしも十分に研究されてこなかった視覚障害者や認知症高齢者なども含めて検討されたい。 |
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ユーザー属性をどこまで考えるかは、研究のスタートラインで想定しておくべきである。 |
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日常性の中での事故の理由は、その物に内在する問題よりも、人間の不注意やぼんやりした行動であることが非常に多いので、注意喚起の看板をかけるなど比較的常識的な解決策であるとも考えられる。 |