評価の結果



 本評価結果は、平成18年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会における審議に基づきとりまとめたものである。
平成18年11月22日
国土技術政策総合研究所研究評価委員会
委員長 森杉 壽芳

【総合評価】

 今回は「研究活動のマネジメント」という分野に一歩踏み込んでいるという観点で、望ましい方向であると評価する。 引き続きマネジメントについての取り組みを進められたい。
 その際、研究成果の最終的な社会全体への効果の視点から、政策をバックアップする理論やデータを担当していくこ とをポイントに、国総研のミッションをより明確化すべきである。
 チェックについては、研究成果の政策への活用や研究分野への貢献を考慮した、研究者の研究活動の励みになるような仕組みについて検討されたい。
 平成17年度の研究活動については、概ね順調であったと評価する。ただし、研究の実施状況の自己点検においては、進捗の遅れている理由や改善すべき点についても具体的に明らかにすべきである。

 以下に列挙する各委員からの指摘事項も参考に、国総研の使命を今後とも果たしていくことを期待したい。
【委員からの指摘事項】
<研究活動のマネジメント全般について>
国総研のコアとなる部分として非常に重要なことは、一つは、 国土の情報をきちんと把握し長く蓄積し、それに基づいて何か問題がないかチェックすることであり、もう一つは、国土の管理技術がどのような変遷を経てきて、どこまで技術が発展し、 今どういう課題があるかを組織として把握しておくことである。
国総研全体の評価として、個々の事業にどのように貢献し たかよりも、最終的に社会全体にどのようないい効果があったのかを測ることは、非常に挑戦的だが、まさに必要な視点である。
定性的な評価から定量的な評価に変えていくことは、 日本全体の研究機関に課せられた課題であるが、今後合理的に研究し、国総研としての判断基準が育っていくことを期待したい。
本省と国総研の役割分担が分かりにくい。政策や施策の理論を固めるところが国総研である、ということをはっきりさせれば、マネジメントや評価の方法が明確になっていくのではないか。
技術政策というソフトに関する研究を続けることができるのは国総研しかないのではないか。
国総研としてどこをアピールしたいのか、どのようなアイデンティティを持ち、これからどう進んでいきたいのかがわかりにくい。そこが不明瞭なため、平成17年度の活動の何をどう評価したのかがわからない。もう少し自信とリーダーシップを持って明確に打ち出されてもいいのではないか。
全体が見えるロードマップの中で、国総研がやる分野のロードマップを位置づけ、足りない要因を一つ一つ消していく形が、縦割り行政の壁を破ってできてくると、 本当のマネジメントになってくる。
<研究活動の評価について>
研究所の理念や使命に沿った評価と、個々の研究者が伸び ていけるような可能性、余地、それを励ます評価と両方が必要であり、バランスの視点が非常に重要である。
研究活動のチェックとしては、研究レベルとしてどういう貢献をしたかと、個人がどの研究分野にどんな貢献をしたかというマトリックスとなる。マネジメントにおいては、これに関しても自己点検の仕組みが必要ではないか。
研究に誇りを持たせ、研究の方向付けをしっかりして、その達成度を個人の力量に合わせて評価しないと評価することは難しい。全体像をみせてやるのが研究員のモチベーションを高めることになる。交通事故死亡者数の減少などの数値目標をたてて、その達成度を励みにしていくことが重要と考える。
<研究活動の自己点検方法について>
研究の実施状況について、概ね順調という自己評価をしている以上は何らかの欠点があり、 そこに改良の余地があるはずである。具体的なコメントとして資料に明示すべきである。
研究の実施状況の評価においては、計画段階の工程表は、 予想通りにいっているか、それ以上か、遅れているかを判断する一つのベースとして必要であり、その次の問題として、人や施設、費用、周辺技術の成熟度など、研究の成功と失敗の分 かれ道になるものについて評価していくという手法が必要である。

<その他>

国家公務員の倫理規定や会計規則など、倫理面での規程類は揃っているようだが今のもので充足しているのか、 もう一度見直して欲しい。
社会資本についていろいろ定義が広がっているが、どう考えればよいのかどこかで整理できないか。