平成18年度 第2回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会
(第二部会担当)

議 事 録


1. 開会
2. 国総研所長挨拶
3. 分科会主査挨拶
4. 議事
(1) 評価の方法等について(確認)
(2) 平成17年度終了プロジェクト研究の事後評価
@かしこい建築・住まいの実現のための建築技術体系に関する研究
(3) 平成19年度開始予定研究課題の事前評価
@建築物の構造安全性能検証法の適用の最適化に関する研究
A建物用途規制の性能基準に関する研究
B都市整備事業に対するベンチマーク手法適用方策に関する研究
5. 今後の予定について
6. 国総研所長挨拶
7. 閉会

〈開会〉
(事務局) それでは、定刻になりましたので、ただいまより平成18年度第2回国総研研究評価委員会分科会を開催させていただきます。

 委員の皆様におかれましては、ご多用中にもかかわらず、この分科会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 私、事務局を務めさせていただきます研究評価・推進課長の○○でございます。議事に入るまでの間、進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日の分科会は、第二部会の担当会議でございまして、17年度の終了プロジェクト研究の事後評価、それから、平成19年度開始予定の研究課題の事前評価をお願いするものでございます。

 それでは、まず配付資料の確認をさせていただきたいと思います。

 まず、議事次第と座席表がございます。それから、議事次第の裏に配付資料の一覧が書いてございますので、それをご覧いただければと思います。資料1が委員の名簿でございます。資料2が国総研の研究方針、これはつい最近改定したものでございます。資料3が評価の方法等について。資料4と資料5がプロジェクト研究等の一覧の表でございます。それから、資料6から資料9までが、それぞれの研究課題の説明資料でございます。

 参考資料といたしまして、この委員会の規則類、それからパンフレット、マニュアルレポートをご参考に配付させていただいております。

 また、右の方に評価シートということで、それぞれの評価のときに、4段階評価あるいはコメントをお書きいただくシートをお配りしております。

 それから、欠席委員等の事前意見も配付してございます。

 資料の不備がございましたら、事務局までご連絡いただきますようにお願いいたします。

 それでは、議事次第に従いまして、○○国総研所長よりごあいさつを申し上げます。

〈国総研所長挨拶〉
(国総研) おはようございます。お忙しいところ、ご出席を賜りましてまことにありがとうございます。

 きょうは事後評価を一つと、それから事前評価を三つということで、いろいろとご意見を賜り、またご審議を願えればということでございます。

 私どもとしても、事後評価をかなり厳し目にやったつもりでございますが、ぜひ委員の先生方のいろんな視点からさらにご指摘を賜れればということと、それから、特に事前の評価はこれからやっていく話なんですけれども、十分詰めてない部分もあろうかと思いますので、やり方を含めて、こうすればさらに成果が上がるのではないかというような点についても、ご指摘を賜れば大変幸いでございます。

 ぜひよろしくお願いを申し上げまして、簡単でございますけども、最初のごあいさつにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(事務局) それでは、出席の委員の皆様のご紹介をさせていただき思います。資料1の委員の一覧をごらんいただければと思います。

 まず、本日の部会は第二部会の担当でございますので、第二部会の委員の紹介をさせていただきます。

 まず、第二部会の主査でいらっしゃいます慶応大学教授の○○委員でございます。

(主査) ○○です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 東京大学教授の○○委員でございます。

(委員) ○○です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 筑波大学大学院教授の○○委員でございます。

(委員) ○○でございます。

(事務局) 京都大学大学院教授の○○委員でございます。

(委員) ○○です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 東京理科大学教授の○○委員でございます。

(委員) ○○です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 東京大学大学院助教授の○○委員でございます。

(委員) ○○でございます。

(事務局) ○○委員は、本日はご欠席でございます。

 首都大学東京教授の○○委員でございます。

本日は、委員長の指名によりまして、他部会の委員にもご出席をいただいております。

 第一部会からは、一橋大学大学院教授の○○委員にご出席いただいております。

(委員) ○○です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 第三部会からは、京都大学大学院教授の○○委員にご出席いただいております。

(委員) よろしくお願いいたします。

 国総研の幹部の紹介につきましては、座席表をもってかえさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、○○主査にごあいさつをいただきまして、以後の議事をお願い申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

〈分科会主査挨拶〉

(主査) 座って進めさせていただきます。

 主査を務めさせていただきます○○でございます。

 本日は、お暑い中と言いたいところなんですけど、大変幸運にも涼しゅうございまして、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 この第2部会と申しますのは、建築を中心とした問題の部会でございまして、この国総研の建築にかかわる研究の推進にとって非常に大事な役割を担っております。さらに、国土交通省の建築にかかわる施策についても、ここにおける審議がいろいろ反映されるのではないかというふうに思っておりまして、非常に重要な位置づけとなっておりますので、委員の皆様方、熱心な、忌憚のない審議を通じて、よい結果を得たいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、お手元の議事次第に従いまして進めさせていただきます。

 きょうは、予定でございますと、大体11時半ぐらいに終わる予定になっておりますので、ご審議、ご協力をお願いします。

 まず議事、最初でございますが、評価の方法についての確認でございます。

 事務局、お願いします。

〈評価の方法等(確認)〉

(事務局) まず、評価の方法等につきまして、確認をお願いしたいと思います。

 資料2があろうかと思います。国総研の研究方針でございます。日付を見たらわかりますように、改正されたばかりでございます。

 1枚あけていただきますと目次がございますが、一応、この2.4の研究活動のマネジメント、これが今回改正した大きな柱でございます。また、研究方針につきましても、この1ページに書いておりますように、常に更新していくという、この方針自体がマネジメントの一環という形になっております。

また、これまで研究課題は7本柱という形になっておったわけでございますけども、今般、それをわかりやすいように4本の柱と総合的な手法ということで、4本の柱といいますのは、国総研の使命に合わせている、また、国土交通省の全体的な研究方向の流れの方向に合わせる形で整合させていただいているわけでございます。

 少しマネジメントのところを申しますと、2.4のところでございます。研究活動のマネジメントということで、国総研として絶対に忘れてはならないコアとか、また、研究を進めるに当たりまして、全体的な考え方を示します大枠とか、それから、あと効果をしっかり把握するチェック、こういう3点に関して考えていこうということで、まだこのあたりにつきまして議論をしている最中でございますけれども、一応、議論の中からこれだけは絶対書いておかないといけないということを、この研究方針に盛り込んだわけでございます。
 あと、ずっと行きまして、18ページのところ、ここに研究評価の考え方を書いております。マネジメントサイクルの中で研究評価、また、外部評価につきましてもお願いしていこうという形でございます。外部評価につきましては、プロジェクト研究等、プロジェクト研究といいますのは、所として重点的に推進する研究でございますけども、「等」といいますのは、予算要求等で大きな固まりになっている研究等で評価が義務づけられておりますので、それを指しているという形でございます。また、段階といたしましては、事前、中間、事後という形で、中間については、5年物の研究という形で考えているわけでございます。

 資料3にまいりまして、評価の具体的な方法でございます。

 先ほど研究方針でを申しましたように、評価の対象といたしましてはプロジェクト研究、これは下の方に書いておりますけども、これは研究方針に記載しているわけでございますが、所として重点的に推進するという形で位置づけております、及び「等」、等の中で読んでおりますのは予算要求上評価が必要とされる研究課題、これにつきまして評価対象とするわけでございます。事後、中間、事前という形でございますが、中間については、ことし該当はございません。

 それから、2番目に評価の視点と項目でございますけども、事後評価につきましては、目標の達成度、成果の活用方針、また実施方法、体制が妥当であったか、また全体的な研究の妥当性がしっかりしていたか。中間については、該当はございませんが、あと事前評価につきましては、研究の必要性、計画されている方法、体制が妥当か、また成果の見込みがあるか、活用方針が考えられているか、こういうことでございます。

 裏の方にまいりまして、評価の進め方でございますけども、当部会が評価責任分科会となっております建築関係の課題につきまして、評価を行っていただきます。意見をいただくとともに、シートの記入でございますけども、事後の4段階評価を必ず記入していただくわけでございますけども、コメント欄につきましては、口頭で発言されたことにつきましては全部議事録の方で整理いたしますので、ちょっと言い漏らしたようなことがございましたら、コメント欄に書いていただければと思います。議事録で一応整理しまして、あと言い残したところだけ、コメント欄という形でやっていきたいと思います。その審議内容、あとシートの集計結果に基づきまして、主査が総括を行う形になっております。

また、委員等が評価対象課題に研究などで関与している場合の対応でございますけども、その関与している部分のみ発言を控えていただくということで、それ以外の部分は結構でございます。当然、4段階評価にも参加いただくという形でございます。もし、詳しいことがご必要でしたら、一番後ろの方に、参考資料4のところにこの取り扱いを書いておりますので、またご参照いただければと思います。

 評価結果の取りまとめでございますけども、主査の責任におきまして取りまとめ、その後、研究評価委員会委員長の同意を経て、最終的な評価結果とするという形でございます。

 あと、結果の公表でございますけども、議事録とともに公表いたしますけれども、発言者名につきましては、主査、委員、事務局という三つで整理するということで考えております。

 あと、本委員会、これにつきましては、先ほどのマネジメントのあり方等について議論いただきましたけれども、あと第一、第三部会については、このような流れでやっておるわけでございます。

 資料4で評価課題の一覧ということで、時系列的に並べたものがございます。この研究名のところ、黄色く塗っているところが、今回評価をお願いしております事後評価または事前評価でございます。こういう形で、裏面の方につきましてもずらっと並んでいるわけでございます。

 また、過去、事前評価の結果があったものにつきましては、赤い色のペーパーでわかりやすいように印刷しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 資料5は、この課題名を4本の柱と総合的な手法、これの分類分けでもう一度再整理したものでございます。この少し茶色く塗っているところが、今回評価をお願いする課題でございます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

(主査) ありがとうございました。

 大変、資料4、5、わかりやすくまとめていただいておりまして、国総研の研究全体の中で、きょうの事後評価1題、事前評価3題の位置づけがよくわかるかと思います。ありがとうございました。

 それでは、今の事務局の説明に関しまして、何か質問とかご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(なし)

(主査) それでは、早速2番目の議事の事後評価に入りたいと思います。

 それでは、まずこれは「かしこい建築・住まいの実現のための建築技術体系に関する研究」ということでございますが、これのご説明をお願いします。

(事務局) その前に、ちょっと事務局の方から。このかしこい建築・住まいの実現のための研究でございますけども、この研究の中の一部分、能動的制御による火災安全技術検討で、○○委員が検討委員会の委員長をされておりますので、○○委員におかれましては、その部分のみ発言をやめて、それ以外のこと、それから、あと4段階評価についてお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

(主査) ちょっとすみません。これは終わるとすぐに評価するわけですか。評価シートは、別添資料でナンバーが振ってないやつですね。

(事務局) はい。

(主査) その事後評価シートというのは、配られていますよね、全員に。

(事務局) はい。

(主査) これを、ですから皆様お手元に置いておいて、コメント等、説明を聞きながらご記入をお願いします。

(事務局) 最初説明させていただきまして、そのあと質疑応答になります。その最後の方に記入していただいて、事務局の方ですぐ回収いたしまして、評価結果を見ながら主査に解説していただければと思っております。

(主査) ですから、すぐ点つけるそうでございますので、お含みおきください。

 では○○さん、よろしくお願いします。

(国総研) 建築研究部長です。よろしくお願いいたします。

〈事後評価@かしこい建築・住まいの実現のための建築技術体系に関する研究〉

 資料6をもちまして、プロジェクト研究「かしこい建築・住まいの実現のための建築技術体系に関する研究」、ご説明させていただきます。

 これは平成15年から17年、3カ年にわたりまして、トータルで約5,400万の予算をいただきまして実施したものでございます。スライドで説明させていただきます。

 まず、研究の背景でございます。建築に求められる安全性とか、機能・性能が高度化・多様化してきていると。これにつきまして、従来のいわゆる材料とか部材そのものの特性のみで性能をカバーしようということに、一定の限界があるだろうということに着目いたしまして、飛躍的に進展しておりますIT技術、それから高機能化技術、そういったものを活用して、むしろ能動的にそういう外力・負荷・状態を制御することによって、必要な安全性とか機能を確保できるのではなかろうかと。そういう「かしこい技術」を開発することによって、より合理的な性能の発揮ができるだろうと。それを社会的に受け入れるための基準体系を考えていこうというのが、このプロジェクトのスタートでございました。

 着眼点といたしましては、今申し上げたように、従来の材料または構造で確保しているもの以外に、いわゆる機械または能動的な制御装置をもって安全性を確保している、例えばスプリンクラーみたいなものでございます。残念ながら、その稼働信頼性というものにどれだけ信頼を置けるかということが一定不十分でございますので、高い安全性をもって、今、それを使っていると。今後、IT技術などの活用とかが増えてまいります。そういった稼働信頼性、その他信頼性をうまく確保することによって、安全率等の合理化を図って、より合理的な新技術を使いました性能発揮または機能確保、そういったものが図れるのではなかろうかというのが着眼点でございます。

 一応、3年間の研究目標としましては2つ掲げました。緑の部分は、1つは具体的な「かしこい技術」システム、そういったものの候補を抜き出しました。一応、技術適用パターンと呼んでおりますが、それにつきまして、とにかくそれは民間企業、具体的な建設活動に実現されなければならない。そのための@の技術適用パターンに応じました「設計・建設・維持のための技術的要件」またはガイドライン、そういったものを明確にしていこうと。それから、A番目としまして、ここの技術適用パターンに応じまして、要するに社会的な要件への適合を評価するための性能評価指標または基準をつくっていこうと。

一方、そういった個別の技術開発をうまく吸い上げられるような、「かしこい技術」を社会的に定着できるような性能評価手法・基準を組み込みまして、合理性の高い建築基準体系の構成方法、これを明確化していこうと。言ってみますれば、信頼性とかリスク、そういったものにベースを置いた、基準体系の将来像を考えていこうというのが第2の目的でございました。

 研究計画の今の二つのアプローチに応じまして、ちょっと字が小さくて恐縮でございますが、(1)の技術適用パターンに応じた技術体系の開発は、民間企業、産業界と共同いたしまして、ニーズ・シーズ、そうしたものが民間にどれだけ今あるかというものを調査し、その中で、検討対象といたします技術適用パターンを設定いたしました。それにつきまして、委員会等を設置いたしまして、ガイドラインの開発並びに性能評価手法、また基準の開発というものに取り組んでまいりました。

一方、(2)の合理性の高い建築基準体系の構成方法の明確化ということでございますが、先ほど申し上げましたように、これは主としまして学術会の答申をいただきまして、リスクベース評価技術の調査、それを建築基準への適用をした場合にどんないろんな問題があろうかと。または、個別の開発をしている個別の技術、また性能評価法がどういうふうに組み込め得るのかということの検討をするというアプローチで、この研究を進めてまいったわけでございます。

最終的には、かしこい建築を評価するためのフレークワークを開発し、合理性の高い建築基準体系を実現する基盤をつくっていこうということをねらいながらやってまいったものでございます。

 その最初の民間のシーズ調査、いろいろなご提案がございました。セミアクティブの免震構法とか、それから後ほどご説明いたしますけれども、火災時の避難安全性、または煙の制御、また区画の位置と、そういったものをそういう新しい技術を利用してやっていったらどうだろうかというような、いろんな提案をいただいております。

 それを整理いたしまして、検討対象とする機能性能項目といたしましては、耐震、構造安全でございますか、主として耐震です。それから火災安全、耐久性。それから、いわゆるシックハウス的なものを含めました室内空気質。そういったものが「かしこい技術」を適用して何らかの対応をとっていける領域じゃなかろうかということで設定をいたしました。具体的な対象は、先ほどのニーズ・シーズ調査の中から、より現実性が高いと思われるものを、これだけのものを抽出いたしまして、研究をそれぞれ進めてきたものでございます。

 その一つの例は、技術適用パターンといたしまして、高靱性セメント系複合材料の特性評価。これは必ずしもITの活用ということではございませんが、かなりの程度認識でき、または計画的に部材の靱性というものを実現できる、そういった高靱性複合材料を使いまして、実際のコンクリート部材の靱性を、高い靱性を確保していこうと。そういう仕組み、そういう技術、それをとり入れまして、建築物の耐震性、または地震に対するエネルギーの吸収能を高めることによる安全性の確保、そういったものを図る技術ということを研究してまいりました。

 これにつきまして、技術といたしましてはかなり実用性の高い形での適用ガイドライン、こういったものの結論を得ております。中身としましては、複合材料の適用範囲、それから構造安全性の確保の考え方、環境安全性の確保の考え方、それから重要なものとして品質管理及び検査の考え方。そういったものと、それからそれを適用いたしまして、ただいま申し上げたような高い地震安全性を備えた高層建築物の設計・適用・事例といったものを検討しております。

 もう一つの事例は、噴流による煙制御技術による避難安全性向上ということでございまして、これは天井等から強い空気噴流を噴き出すことによりまして、いわゆるエアカーテンをつくりまして、煙とか熱の拡散を防ぐと。いわゆる防火壁のかわりとなるような仕組みを、この噴流を起こす措置、またそれを稼働させるセンサー等のもので構成しようとして、より具体的な空間計画を得ようとしたものでございます。

 これにつきましても、実験等を重ねまして、その知見をもとに水平噴流式煙制御システム、これによる安全性を向上するためのガイドラインというものを得ております。ごらんいただきますような内容でございました。

 一方、2番目の課題でございます合理性の高い建築基準体系の構成ということは、リスクベースの評価技術というものの調査から最初は始まりました。不確実性の取り扱いと構造信頼性工学の理論、リスク評価、そういった基礎理論の勉強から入りまして、建築基準への適用の検討ということに入っていったわけでございます。学識者、専門家を交えました検討会ということで、かなりやってまいったところですが、昨年秋口にちょっといろいろな事件が発生いたしまして、残念ながら、最終的な段階で十分な検討の継続が難しくなりまして、ちょっと不十分な形に終わっております。

 今申し上げたような、かなりロジカルに検討を詰めてまいりました。そのために、今後、細部を詰めれば実務に使用できる形でのフレームワーク、それから評価される側・評価する側、双方が共通に参照し合えるような枠組み、そういったものとして、合理性の高い建築基準の基盤となるような形での枠組みにつきましては、一応開発できたつもりでございます。今後、まだまだ詰める必要がございますけれども、最初の評価方法はつくれたと考えております。

 全体を見ますと、今申し上げたように、かなり手広くいろんな技術適用パターンにつきましてやってまいりました。残念ながら、性能評価手法の開発まで至らないものも見受けられました。それはただいま申し上げたように、(2)の課題でございます合理性の高い建築基準体系の構成方法の明確化につきましては、正直申し上げまして道半ばというところで、残念ながら期間が終わってしまったというのが実態でございます。

 目標の達成度、@の実用技術としましての技術適用要件ごとの設計・建設また維持のための技術的要件(ガイドライン)の開発、これはおおむね達成できたのではないかと思っております。しかしながら、個々の技術適用パターンに応じました性能評価手法、基準の開発、これにつきまして未達成の部分も多うございました。反省をしております。

それから、(2)の合理性の高い建築基準体系の構成方法の明確化、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、今後の課題を大分残した段階で終了してしまっております。十分には達成しておりません。今後継続して、ここの部分の検討はかなり力を入れて進めていくべきだし、いきたいというふうに思っております。

 以上、今後の取り組みでございますが、実用化のためのガイドライン等を作成したもの、これは民間企業による個々の実用化技術開発を促進していただこうということで、いろんな構法の普及に努めたいと思っております。その他の技術領域、得られた知見を実用化に向けた研究開発の基礎情報として提供し、もう一回必要な性能・評価手法等の開発のチャンスを見つけていきたいというふうに考えてございます。

それから、3番目の合理性の高い基準体系につきましては、これは社会的ニーズが非常に多うございますので、なお継続的に実現に向けて努力をしていく必要があると思っております。フィールドデータの収集、リスクベース評価の概念をもっともっと実用できるように整理する、目標リスク水準等の系統的な研究開発を進めていくということで、今後、さらに継続的に努力を進めてまいりたいというように考えてございます。

 非常にかいつまんでご説明申し上げましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

〈課題説明終了〉
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(主査) ありがとうございました。

 まず、欠席委員から意見が寄せられているんでございますが。

(国総研) 失礼いたしました。

 第三部会担当の窪田委員からご意見をいただいてございます。ご意見、3点ございます。

 目標の達成度につきましては、成果目標に対して「達成できなかった」「あまり達成できなかった」が過半数を占めており、研究機関と研究対象の組み合わせ方に再検討の余地があったかと思われるが1点。

2点目、研究成果と成果の活用方針。成果が出た一部については実用化を検討されたい。3点目、研究の実施方法、体制の妥当性。成果が出にくかった理由の一つかもしれないというご指摘でございました。さらに、それを総合いたしまして、本研究の妥当性といたしまして、ITとか新技術を導入していく場合に、その導入コスト、メンテナンスコストまでを含めた評価をしないと意義は明らかにならないと。目標の妥当性も含めて、新技術を建物に導入するあり方を再検討されたいというご意見でございました。

 まず1点目ですが、余り達成できなかったということはご指摘のとおりでございまして、反省をいたしまして、今後、研究機関において、その経験を生かしていきたいというふうに思っております。

2番目につきましては、成果が出た一部につきましては、当然、民間等に働きかけ、かしこい建築・住まいの実用化を進めていきたいというように考えております。それから、最後のメンテナンスコスト等につきましても、当然のご指摘でございます。今後の実用化等に向けまして研究、これから民間と連携いたしました詰めの作業というのをやってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(主査) ありがとうございました。

 それでは委員の皆様、ご意見、ご質問ございましたら、ご発言をお願いします。はい、どうぞ。

(委員) ご説明の中で、昨年の秋口にというのは、むしろ耐震偽装問題のことかもしれないと思うのですが、昨年の秋口にいろいろありましてというようなことをちょっとちらっとおっしゃったんですが、その昨年の秋口にあったことと、それからこの研究との関係というのはどういうふうになっているんでしょうか。

(国総研) すみません。できなかったことを合理化する理由にはなるものではございませんけれども、実態としまして、実は会議を開くことが非常に困難になりまして、事務局側、それから先生方の両方の事情もございますけれども、それ以外に実は緊急でやれなかったことがふえまして、実際には検討会をなかなかセットできなかったというのが実態でございます。

(主査) 要するに、もうフィジカルに時間がとれなかったというふうに……。私も随分○○さんにこれに関してお願いしておりまして、余り強いことは言えないんでございますけど。

(国総研) 申しわけございません。

(委員) 実はこれは国の研究機関ですので、国で非常に重要な事件が起きた場合に、それに時間をとられるというのは、ある意味、やむを得ない部分もあるんだろうと思うんですよね。そのときに、単純に研究評価というふうにするのか、それとも、そういった意味で人的技術をどこに配分するのが適切かという意味から評価するのかによって、これ自体の評価も変わるだろうとは思うんです。もちろん、研究費の使い方として若干問題があったかもしれないんですが、体制として不利だったかどうかということを考えますと、むしろより重要な課題があったので、それに割くというのは、国全体として見れば別に悪いことじゃないと思うんですね。そのあたり、この分科会でどういうふうに評価したらいいかというのをちょっと考える必要があるかなと思うんですが。

(主査) 基本的に、この国総研には国総研のミッションがございまして、それに対して予算手当があって進めておりますから、突発事項は原則無関係という形で、いろいろお忙しかったご事情はわかりますけども、評価に関しては、そこを入れるとそもそもの出発点がぐらついてくるんじゃないかというふうに私は思います。

(委員) 多分、今のご意見等の関連なんですが、当初、この研究は3年間で計画をされていて、不幸にして3年目の秋口に突発的なことが起きたということで、もしそういうことでしたら、3年の計画を4年にして、そのくらい、もう当然研究所としては理由がちゃんとあるわけですね。

(主査) おっしゃるとおりですね、それは。

(委員) ですから、今の段階で3年間やって余りまとまりませんでしたという結果をお聞きするよりも、この段階で、そういうことがあったので1年伸ばして来年評価をしていただきたいという方が、評価をする方としてはやりやすいと思うので、その辺は省としてはどういうふうに。例えば十数年前に、例えば阪神・淡路みたいな大きな地震みたいなのが起きたら、多分、省を挙げてそちらにかからざるを得なくなる。流れていたプロジェクト研究は恐らく手がつけられなくなる。そういう事態は当然あると思うんですよね。その辺はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

(主査) まあ、予算執行の問題もありますが。

 どうぞ。

(国総研) 説明上、不要なインプットを与えてしまって申しわけございません。

 ただ、このプロジェクトは民間のご協力もいただいているものでございますから、やっぱり約束の期間で本来出さなきゃならないということは、私ども身に感じております。それについては、ある程度責任を果たしたと思っておりますが、十分ではなかったと。そこに反省はしたいと。

 一方、ちょっとこれは中身の話に入ってしまいますが、スタートいたしましたリスクベースの建築基準というのは最初のころに持っていたところでございますけれども、実は従来から、リスクベースに立った建築規制というのは、本当にどれだけ社会的に信頼性を維持できるのか、この研究課題だったんでございますが、実はそのことが、これまでの言ってみれば性善説をベースにしていた建築規制、実は昨年、その段階でがらっと変わりまして、かなり性悪説をベースにした基準をもう一回つくり直さなければいけないということで、実際、この目的自身がちょっと再点検を要するということがございましたので、この段階では、ちょっとこの段階で終わらせていただいて、別途、今回の事件の反省も踏まえた上で、リスクベースの建築基準をどれだけやれるかというのは、別の形として再開したいというのが私の素直な偽らざる心境でございます。そういうことで、一旦これは終わらせていただくということで、本日お諮りさせていただきたいと思います。

(主査) では、○○先生。それから○○先生。

(委員) お二人の先生から何か優しいアドバイスがあったみたいで、私、ちょっと厳し目にお話ししたいんですけれども、資料6の最後を見ますと、非常に論文がたくさん発表されていて、要するに個々の研究者としては一生懸命頑張ったということは、ある意味ではっきりしていると思うんですね。学会発表は多いですし。にもかかわらず、ご説明の方が余り目標が達成できなかったというふうにおっしゃるのは、それは「かしこい」というキーワードのフレームワーク、つまりセンサー技術みたいなものが安く手に入ることによって、最初の設計基準を下げて、トータルで費用を安くするという、肝心のそういうフレームワークでのペーパーがないわけですよね。ですから、これは仕組みを変えればそういうふうなペーパーが出てくるのかということをむしろ問題にしたいと思います。そういう一人一人の研究者の興味と、こういうプロジェクト大きな新しい枠組みで研究をやるということは、やっぱり相当ギャップがあると思うんですね。一人一人の研究者にそれを考えなさいと言っても、それはなかなか難しいですよね。だから、そこのところにやっぱりむしろ構造的な問題があるんじゃないかという印象をあえて言わせてもらいます。

(主査) どうぞ。

(国総研) 非常に核心をついたご指摘、ありがとうございました。

 ○○先生おっしゃるとおりでございまして、実はこのオレンジの部分が、そういう「かしこい技術」と称するものを、社会的に信頼性を持って受け入れられる基準体系の確立がないと、なかなか実際にはそれをうまく実際の建築物の応用へしていただけないというのが実態でございます。このオレンジの部分のベースをつくるということが、実はこの研究の肝というふうに自覚しながらやってまいりました。

 それから、分野ごとにつきましては、それぞれ研究者、それから民間企業を含めまして、それぞれのご関心に従ってかなり一生懸命やっていただいた。先ほどご紹介した高靱性セメントでございますとか、そういうものについてもかなり一生懸命やっていただいた。

 残念ながら、今ご指摘のとおり、全体を束ねる枠組み並びにそれを建築基準という実際の社会メカニズムに応用していくためのデータ、例えば信頼性を検討するためのデータを得るということが、残念ながらというか、深く反省をしておりますけれども、まだこの段階でできておりません。そこの肝の部分ができてないということで、先ほどのご説明になったわけでございます。

(主査) すみません。○○先生、どうぞ。

(委員) 話をちょっと戻してしまうことになるかもしれませんが、構造計算書偽装問題との関係で、時間がなかったので当初の目標が達成できなかったというようなご説明ですが、この研究がテーマとしている2つ目の目標と今回の問題は極めて密接な関係があると思います。まさに、ここでテーマにされていることと関係が深いことが起こったわけですね。そのことで確かに時間をとられたということがあったかもしれないけれども、それを踏まえて、この研究テーマをどういうふうに理解して、どうまとめるかという検討を再度行い、最後の取りまとめをしていただくというのが、私は望ましい姿ではなかったかなというふうに感じた次第です。

 確かに作業そのものは間に合わなかったということだと思いますが、あるところまでで時間切れになったという形で終わるのではなく、この研究テーマはさらに進めていって欲しい。もともと、目標というのはもっと大きな体系を持って設定されていたはずで、その文脈の中で、今回の問題は非常に大きな意味合いを持っているというふうに思いますので、そういった意味でこの建築基準体系の見直しに関する検討をやられてきたわけですから、その知見を踏まえて、まとめていただいたら、少なくとも×にはならないはずですね。不十分なところは不十分なところでやむを得ませんが、この研究と昨年の問題とを重ね合わせたところで得られる知見というのは非常に大きいものがあるというふうに私自身は感じまして、そういう形でまとめていただきたかったという感想です。

 それからもう一つ、別のことなんですが、……。

(主査) ちょっと長いから。今の話ね、私、主査としてコメントを申し上げますと、これは3年以上前から企画して、3年前から始まったわけでございますね。それで、最終年度のもう後半でございますから、その段階に至って、ある事件が勃発したから基本方針を変えるということは、それは無理でございます、本来ね。だとしたら、第2弾で、姉歯事件を受けてそれに対応するということをやるべきで、先ほど○○先生がちょっとそれに近いかと思いますけど、この3年間の最後の後半の路線を変えるということは、それは無理だと思いますけど。

(委員) 基本方針を変えるというよりも、テーマとして重なっているところ、かなり本質的なところで関係があるわけですね。そのことについて、研究の方針を変えるんじゃなくて、得られた知見をまとめるというような形で取りまとめをするというのは、私は可能ではないかというふうに思いますし、おかしくないというふうに思うんですけどね。方針を変えて、ストーリーを変えてしまうということではなくて。

(主査) いや、ただ現実問題として、あれが起きたのは10月の末で、もう最終の詰めの段階に入っているわけですよね。ですから、コメント等で、今後こういうことへの対応が必要だとか、そういうことはいくらでも書けますけど、研究内容として入れるということは、それは実際の作業として難しいと思いますよ。

(委員) そうすると、全部やめてしまうということになってしまうんですね。

(主査) いやいや、そういう今回の研究と非常に関連が深いのであれば、そういう新しい事態が起きたから、第2弾でその研究が必要だという、そういう形のまとめ方ではないでしょうかということです。

(委員) ただ、そういうことから言うと、2番目の話は、10月に始まったというわけではないわけですね。ずっと、この2つ目のテーマについては、もうやってこられているわけでしょう。あるところまではね。

(主査) ええ。

(委員) 要するに×というふうになると、もうやらないということになってしまうわけですよね。

(主査) やったけど、うまくいかなかったと。

(委員) うまくいかなかったということになりますね。それを、言えば完全に否定してしまうことになってしまう、今までの作業を。そういうふうに考えない組み立て方というのは、どうしてないのか。あるいは、今回の事件というのは、全く予想もしなかったことが起こったというよりも、こういう研究をされている方にとっては、ある種の必然性というのは当然あったわけですから、この研究の中でそういう部分というのは出てきているというふうに私は思っているんです。

つまり、全然違う問題が出てきたというよりは、研究をされていることに密接な関係がある問題が起こって、そこでクローズアップできる部分と再検討が必要な部分とが、むしろ明確になったというふうに見ることができるように思うんですが。

(主査) わかりました。コメントにお書きください。では、2つ目。

(委員) 結構です。そういうことで……。要するに、ちょっと消極的な感じがしたということです。

 それから、2つ目は実用化についてです。どういうふうにこの目標設定の中で考えられていたかということを補足的にご説明いただきたい。評価にどう反映させたらいいかということが私自身ちょっとわかりにくいところがありますので。

(主査) 時間がないから簡単にお願いします。

(国総研) 実用化につきましては、ごらんいただきましたように、成果が上がったものにつきましては、このような実用化に向けたガイドラインというのをつくっております。これを公表することによりまして、民間に技術を、もっと言うと、実用化の具体的な技術を開発していただくことによって、それを応用していけるだろうと。それに関して2つほど例を出させていただきました。

 それから、全体につきましては、先ほど申し上げたように、検討を進めてまいりましたところまでの成果、それからいろいろご指摘いただきました問題点につきまして、まだまだその建築基準に応用するにはこんな問題があるというところまではまとめさせていただきまして、これはまとめてございます。これをベースに、ジャンピングボードに次のステップで次なるステージの検討をやって、いつの日かリスクベースの建築基準の実現を図りたいというのは我々の夢でもございますので、今後もやってまいる所存でございます。

(主査) ちょっとすみません。事務局ね、これは10時20分となっていますけども、予定がそうですね、できたら。それで、この20分には点をつける時間も入れているわけですか。

(事務局) 一応、入れております。

(主査) そうですか。

 ということで、これは予定で予定でございますので、○○先生、どうぞ。

(委員) ちょっと例えが悪いかもわかりませんが、お城を攻めるのにはいろんな方法がありまして、ここでやられたのは外堀から攻めていって、外堀を埋めてと、そういうアプローチをされている。それがこの建築技術体系に関する研究。こういうことだろうと思いますね。やられたのは、ステート・オブ・ジ・アーツ・レビューというのか、いわゆる外堀、今の技術のシーズとかを見て、どこ側に外堀があるんだろうというところで、お城の領地を確定された。こういう成果は十分あった。こういうふうに思います。

 ただ、このスライドで、2枚目にビフォー・アフターといいますか、これができたら本当にすばらしいんですが、これがお城だとすれば、こういうふうに外側から攻めてくるのもあれば、本当にこういう例えば建築技術構法にどう体系化するかというのであれば、お城そのものを落下傘で攻めていく、逆にこちらの方からどういう研究が必要なんだという攻め方をしていかないと、建築基準体系がどうあるべきかというような話は初めからできないと思うんですね。だから、それはもう同じプロジェクトの中で両方やるというのは、私は無理だと思う。だから、ここはむしろ今の現状の技術レベルという、あるいはどういうのが利用可能なのか、そういう側面できちっと体系化されるということが私は大事なことだろうと思うんですね。最後にここまで行くというのは、初めからこれは私は無理だと思うんですね。そういう整理のされ方をされた方がいいんじゃないかなという気がいたします。

(主査) どうぞ。

(国総研) 正直申し上げまして、4年目の今となって思えば、まことに今、○○先生のご指摘どおりの研究企画をすべきだったと、これはちょっと反省でございますけれども、実際に思っております。今後、再度それに当たりましては、今のご指摘も含めまして、もうちょっと効率的、それから実現がより可能な研究評価に努めていきたいというふうに思っております。

(主査) どうぞ。

(委員) 2番目のことに議論が集中しているので、1番目の方について簡単に話します。新技術の適用、この中での高靱性セメントというのは、やはり非常に魅力的なものだと。私の専門に近いということもあるんですが、申し上げますと、RCとかセメントなんていうものは、非常に技術革新の少ないものなんですが、何十年に一度あらわれるものだと。もちろん企業が先にそれを誘導して、国がそれに乗っかかったという、これはいつも国交省、建設省がやるパターンなので、そのことの問題は若干ありますけれども、いずれにしても、非常に有効なもので、これをどうやって実用化するか。実用化するときには、まずどこに適用するかですね。お金がかかるので、構造体の中のある重要な一部に適用するんだろうと。そういう適用の場所を十分議論してほしいということです。第2点は、これは重要ですが、法的な問題ですね。構造体系の中で、どうやれば早く実用化できるか、法整備、これがないと、実用化はまずそこで立ち至らなくなるような気がします。これをお願いしたいんです。

(主査) どうぞ。

(国総研) 前段の技術に関しましては、この研究の中では、ちょっと非常に小さくて申しわけないのですけれども、エネルギー吸収要素のところにこの技術を活用するということで研究は進められておりました。これにつきましては、なおいろいろな活用方針・応用方針があるというように聞いております。今後のこれ自身の発展に期待したいというように思っております。

 2番目のご質問、法体系の問題でございます。まさに、そこが実はこの2番目の研究テーマのねらいだったわけでございます。旧建築基準法の38条という、いろんな新技術を吸収できた仕組み、これについて、やはりこういうルートをもう一回つくってまいりたいというのが私の偽らざる心境でございます。そのために、1つの性能評価のコンセプトというか、基準法で受け入れるコンセプトをつくっていきたいというのが、この2番目の課題でございました。これについては、先ほど来申し上げておるように、今回、3年間ではなかなか実現できませんでした。今後の取り組みの中で、ぜひこれは実現していきたいというふうに思っております。

(主査) どうぞ。

(委員)  私は材料の専門なので、そちら方面のコメントだけさせていただきますが、この研究を始めてから2年半たった時点で、耐久性に関する研究に関しまして余り成果が得られていないということの原因は何かが気になります。

 高靱性セメントに関しましては成果が得られているという判断をされているようでございますが、実は、この高靱性セメントに関しましては、10年以上前に、海外で既に材料としての開発はなされていると認識しております。それを踏まえますと、今さら国家プロジェクトとしての開発研究というところもなきにしもあらずです。

 非破壊検査で劣化を予測するという手法に関しましては、なぜこの成果が達成できなかったのかという原因を考えますと、研究開発を進めるに当たってのオリジナリティーという部分にかなり欠けていたのではないかという気がしております。国家プロジェクトとして主体的に研究を進める訳ですから、どういう新技術を開発しようかということを念頭に置き、それを実際にどう適用するかということも考えた上で計画を立てれば、もう少し成果は出たのではないかと思います。独自性に対する事前の検討もなく他者依存型という形で進めてきた結果が、成果が×という形で出たというように思いますので、今後、新技術の開発が研究課題に含まれる場合には、注意をしていただければと思います。
 以上です。

(国総研) これは十分なお答えになるかどうかわかりませんが、先生がおっしゃったような、いろんな技術、また材料的なアイデア、それをどうやって実用化していくか、どちらかというと民間企業に、または大学にお願いするべき話だと私ども自身は感じております。私どもがやっぱり重点的にやるのは、それをどうやって安全性を社会が納得できるような形で評価するかと。評価方法を中心に開発すべきだろうと思っておりました。そのうちのこの高靱性の場合に、うまくいったかどうか、これはいろんなご評価があるかと思います。

 それから、耐久性につきましては、実は耐久性を非破壊でやるという技術的なアイデア、シーズは結構ご提案いただいたし、勉強もしてまいりましたが、それを今申し上げた社会的に納得する形で評価する手法の開発に、我々がちょっとうまく達成できなかったという部分でございます。

 そういう事情がございまして、事後評価といたしましては、ちょっと×という形にさせていただいたものでございます。

(主査) それでは、まだご意見あるかと思いますけども、時間がオーバーしていますので、これで審議、ご意見をいただくのは打ち切らせていただいて、この後どうすればいいですか。

(事務局) すぐに回収に参りますので。

(主査) 今から点つけるわけね。

(事務局) はい。一応、個人の評価でございませんで、成果の評価でございますので、それなりにやっていただければと。

(主査) ということでございまして、これに関して何かコメントなりご意見ございますか。何かまとめを私の方からいたしますか。 なかなか難しいんですけど、「かしこい」という言葉が頭にあるんですけど、これ、「かしこい建築」に対して、例えば「かしこいロボット」というようなことですと、割合わかりいいんですよね。昔のロボットというのは、人間の指示の周りを動くと。最近のかしこいロボットというのは、例えばサッカーロボットに多いんですね。いわゆる自律協調ということで、事前にそういう命令系統を組み込んでおかなくても、建築家が自分で判断して行動するというのが、そういうことを最初ねらっていたのではないかと思って、非常に高く評価していたんですが。ですけど、実際、先ほどから皆さんのご指摘にございますように、やる段階の個々の技術の中で、いわゆる既存の技術開発の手法になってしまったのではないかという、そういう感想を抱いております。

 よろしゅうございますか。それでは、時間が足りなくて申しわけございませんが、これでも既に10分近くオーバーしているのでございまして、次に移らせていただきたいと思います。

 それでは、今度は事前評価ですね。まず、事前評価の最初が「建築物の構造安全性能検証法の適用の最適化に関する研究」という、まさにこれは姉歯絡みでございますね、これはね。

 では。

〈事前評価@「建築物の構造安全性能検証法の適用の最適化に関する研究」〉

(国総研) 来年度から予算要求をする新規課題でございまして、「建築物の構造安全性能検証法の適用の最適化に関する研究」ということで、これは正直申し上げまして、今回の事件の反省に立ちまして、先ほど申し上げました性善説から性悪説へ切りかえながらも、建築の合理性を保っていこうというために行う研究でございます。

 ご覧いただいておりますのが今の建築基準法の規定でございまして、一定程度の大きさの建築物につきましては、いろんなルートの構造計算によりまして安全を確認するという仕組みがございます。実際の建物はいろんな構造型式とかを個別に持っております。それを計算に持っていくためには、一定の簡易化されたモデル・手順で効率的に評価しなければなりません。したがいまして、真の構造性能を完全に評価するわけではございません。ばらつきは不可避でございます。その辺が限界並びに問題としてあったわけでございます。工学的に一定程度の正しい判断のもとで、そういうものを使っていくことによって合理性が確保できると。残念ながら、それを別の悪意または別の意図で使いますと、異様な結果になってしまうということが、今回の事件で実は露呈したわけでございます。例えば、判定式・諸係数に本来の工学的判断とはそぐわない不適切な設定をしてしまうと、かなり経済的な構造計算ができてしまうというような問題がありました。

それにつきまして、正直、社会の不信感を払拭するためにも、当面、緊急措置ということで、今年の6月に建築基準法が改正されまして、それの施行のための技術基準とかを今一生懸命整備しているところでございます。来年の6月までに、施行予定の技術基準にそれを盛り込む必要があります。

 残念ながら、今申し上げました性善説から性悪説にシフトいたしまして、全体を安全側にシフトする世論がございます。適用範囲を過去に十分実績のあるものに限定しなければならないような事態が大いに予想されまして、現在、かなりぎりぎりの議論をしているところでございます。

その当面の緊急措置では、先ほど言いましたように、判断根拠・判断基準を持っていなければならないということでかなり安全側にシフトする場合もあり得ますから、一部では例えば設計の自由度とか、ある意味では経済合理性、そういったものについての社会的要請を一部犠牲にせざるを得ない部分があるかと思います。

 それに対応いたしまして、この研究では、適用するモデル化手法、それから判定・算定式、それから計算係数の条件設定、こういったものにつきまして、ありていに申し上げますと、うまい場合分けをいたしまして、場合分けを設定いたしますそのケース・バイ・ケースの適用基準をつくることによりまして、この合理性を確保していこうというような観点から行う緊急的な研究でございます。

 本研究が終了後は、その知見をさらに建築基準の改定に継続的に反映させてまいりまして、合理的な設計ができる環境を広げていくということを考えております。

 今申し上げた構造計算はルートが幾つかございます。この辺につきまして、これも安全率といいますか、余裕率をどのように設定するか、これがやはりキーワードになりまして、先ほどのリスクの話とつながりました研究をここでもやって、これはかなり必要性の高いものとして緊急にやっていかなきゃならないと考えております。

 全体としましては、顕在化した建築基準法の問題点を整理いたします。それにつきまして、今申し上げました場合分け等の明確化、これは具体的な建物の類型等に従ってやってまいります。それに対しまして、今のところ一番精度の高い評価結果が得られる時刻歴応答解析をベンチマークといたしまして、検証法の精度調査をやっています。それを整理いたしました形で、場合分けに応じました構造安全性能検証法の適用基準群をつくって、これはすぐ建築基準法の規定、政令告示等の規定に反映していきたいというように考えております。

 非常に雑駁な説明でございますが、以上でございます。

〈課題説明終了〉
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(主査) ありがとうございます。
 さて事務局、これを評価するのは3つ終わってからですか。1つずつやりますか。

(事務局) 1つずつで。

(主査) 1つずつで。ということでございますので、この予定に従いますと、これは私がつくった予定ではないですから、皆さん、ご了承ください。20分から今5分終わりましたから、10分ちょっとご審議いただきまして、最後、まとめを5分足らずという形で進めさせていただければ、座長としては大変幸せでございますので、よろしくご協力をお願いします。
 それでは、ご意見をお願いします。

(国総研) 欠席委員からご意見をいただいております。第三部会の窪田委員からご指摘をいただいております。

 研究の必要性としては高い。ただ、ケーススタディでやる範囲にどうも有効性が限られるのではないかというご指摘をいただいております。全くそのとおりのところがございます。先ほどのご説明の中で申し上げましたとおり、現実にはすべての理論的なケース・バイ・ケースのものをつくれるわけではございませんけれども、できるだけ実態の調査をいたしまして、実態に多いパターンのものから処理できるような仕組みをつくっていくということで対処したいというふうに考えております。

 以上です。

(主査) いかがでございましょうか。はい、どうぞ。

(委員) 質問なんですが、構造安全性を合理的に説明するという社会的要請にこたえられないという要因、主なものというのはどういったものがあるんですか。何を中心にやるのか、それがちょっとわからなかったんですけど。

(国総研) はっきりしているものはコストですね。もっと詳細な検討を重ねればより合理的な設計ができる。減らし過ぎると問題ですが、鉄筋とか、それから断面につきましても、ある程度の合理的なものはつくれるはずだと。そういったものをある程度制約することになってしまうのではないかというが、今の見方です。経験に裏打ちされた安全側なもののみをお受けするということになると、その辺のコストの合理性、あるいは若干の空間構成の合理性、その辺が制約されるのではないかと思っています。

(委員)具体的には、そのコスト、例えば、どういう部位のコストということをおっしゃったんですか。ちょっと、それを教えて下さい。一般論としてはわかるのですが。

(国総研) 例えば、耐震壁としてどんなものをカウントするかとか、どの程度の強さの壁としてカウントするか、その辺の判断基準とか判定式、そういったところに反映されると思っています。特に開口部を持った耐震壁というのは、今、判断の別れ道になっておりまして、その辺の研究は大至急やらなければならないと思っています。

(委員) この上の黒い部分は、割合影響力のある言葉ですよね。要するに、これだけ読むと、今の構造の計算体系に基本的・構造的欠陥があるとおっしゃっているわけですね。

(国総研) ちょっと解説をしますと、姉歯問題そのものではなくて、姉歯問題を追求する中で、どうも構造基準の中にぶれがあるとかというのがかなり明確になってきたので、それで、ここでばらつきは不可避というのがありますけれども、このばらつきは、予想よりも、ここが基準値だとすると、この起点、ばらつきだと思っていたものが、この基準値を超えてここまで来ているということ、グレーゾーンがここまで来ているということがわかったと。そのグレーゾーンをこちらに一たん引き戻すんですけども、引き戻す中で、こちらに来ないものをもう一度戻さないといけない、その作業を3年間かけてやりたいと。安全の範囲内の中で、一たんこうだとしたものが、こうだということがわかったので、一たんこういう形のものをつくって、その中で戻せるものだけを順次解除していくと。そのような検討をしたいということですね。

(主査) 解除というのは、要するに緊急にやる施策を、改めてまた3年後に施策を修正しようという、そういうご趣旨ですか。戻すという意味は。

(国総研) まず、今回の6月の改正で、施行させるときに、安全側にシフトさせますと、全体を。その中で戻せるやつがあるはずなので、その戻せるやつを3年ぐらいかけて順次解除すると。

(主査) ああ、そうですか。はい。

 ○○先生、ご発言ございますか。

(委員) 構造計算書偽装問題から発した研究課題として、この研究自体は私大変緊急的にも重要だし、本質的にも重要な課題だというふうには理解できるんですけれども、全体としては、もっとさまざまな、当然、この構造計算書偽装問題を発端にして出てきた課題があるわけですね。その中で、国総研としてどういう諸課題に取り組まれようとしていて、この中で、この研究がどういう位置づけにあるのかというような、そういう説明は特になかったように思うんですけども。あるいは、ここのこのテーマだけに特化して扱うということなのかどうか、そのあたり、前提をお聞かせいただきたい。私は、もう少し社会的な課題がたくさんあるというふうに考えていて、そういうことも含めて、国総研としては扱っていただきたいなというふうに、これからの研究計画の中で扱っていただきたいなというふうに思っている次第でございます。

(主査) よろしゅうございますか。

(国総研) ちょっと難しいご質問ですけれど、今現在、実は私ども国総研、もちろん建研もですが、あと行政、住宅局を中心としまして、いろんな緊急対策、または建築審議会を通じまして、いろんな制度論的な改定、そういったものの検討をフル動員でやっておるわけでございまして、その中で、我々国総研、特に建築研究部が主として受け持つのは、この技術基準というところかと存じております。もちろん、部の中では、当然こういう技術基準と、それを適用していく場合のいわゆる建築生産システムの合理性を検討しながらやってまいっておりますが、今のところ、予算要求をしてかなり大々的にやらなければならないというのは、優先度が高いのはこの課題だということで、本日、これを抽出してお諮りしているところでございます。

そのほか、いろいろ行政とも、それから審議会等も絡みまして、いろんなことをやっておりますが、残念ながら、ちょっと今ここで整理して申し上げる段階には至っておりません。

(主査) これが一番キーポイントだから、ぜひお進めください。

 ○○先生、どうぞ。

(委員) 性善説から性悪説に変わられるということであれば、悪人について研究しないと、やっぱりいけないのではないかと。人間の問題というのが、もう一つ大きな問題として出てくるので、悪いことをしようというインセンティブの問題と、やっぱりもう一つ、能力があるかどうかという、その問題が大きいんですよね。それぞれの技術基準に対して、どこまでの人材が必要か、それで十分にマーケットがあるのかどうか、その辺の人間的な要因といいますかね、そういうのもぜひあわせて同時に検討していただければと思います。

(国総研) むしろ今行政と一緒にやっております研究対策、それから制度的な見直し、その中で今既にやらざるを得ない状態になっております。いろんな議論をしております。もちろん、この研究の中でも、この向こう半年ですか、1年ですか、その間の動きも踏まえまして、○○先生のご指摘も反映させていただきながら、当然ながら進めていきたいというふうに思います。

(委員) ありがとうございます。

(村上) この辺の研究は、国総研だけでやるより、もうちょっと国家的にやらなきゃいけないですよ、これね。

 どうぞ。

(委員) 研究の期間が3年間という中で、その範囲が検証法という設計の部分だけに絞られていますが、ユーザー・消費者は、出来上がった実物で性能を担保してほしいというところがあると思います。設計は問題なく行われたけど、その後の製造・施工での設計内容の具現化は問題なかったのかという部分については、今後の研究課題として考えていらっしゃるのでしょうか。

(国総研) 今のご指摘は、まさに建築生産システムそのものの信頼性、または品質とも言っておりますが、それの確保の問題で、これは私どももちろん非常に重要なテーマとしておりますし、日ごろの活動の中で、かなり検討なり勉強はさせていただいてはおります。ただ、正直申し上げまして、予算を確保したから、その課題が解決するというものではございませんで、先ほど主査からもお話がございましたように、これにつきましては国総研だけではなくて、行政並びに建築学会を通じまして、いろんな分野で実は今多面的に展開している課題でございます。我々ももちろんその中で重要な役割を果たしていきたいと思っておりますが、それはちょっと実績の方でご評価をいただきたいと考えております。特に予算要求という形では今回セットはしておりません。

(主査) 私も緊急性の高いところに絞らなければとてもとてもできない、建築生産を全部やらないと不可能でございますからね。大変結構だと思います。

 ○○先生、どうぞ。

(委員) 参考で申し上げますけれども、構造ではなかなかできないと思うんですが、シンドラーエレベーターの問題で作業をさせられて、痛感するのは、一応点検項目はきっちりあって、それをどう評価するかというので、故障のないAというのと、ちょっと故障のBというのと、使用停止しなきゃいけない故障Cというのがあるんですが、Bが出てこないというか、エレベーター協会の人は手を挙げて、Bは自分で直しちゃいますから報告しませんという、そういう仕組みそのものに切り込まないと信頼性の問題は解けないと思うんですね。ちょっと、構造安全性というのは、故障までの時間が随分長い感じがするんですが、パロマの事故にしろ、エレベーターにしろ、もうちょっと技術基準と点検みたいなのの組み合わせでやれることはあるのかなと思っていて、もしそういうことも考慮できるのであれば、考えていただきたいと思います。

(国総研)とりあえず緊急選択、これをまずやらせていただきたいというのと、今ご指摘の実はエレベーターも別途総プロでやることになっておりまして、そちらもございます。

 それから、今ご指摘のあった、やっぱりヒューマン・ビヘービアと建築基準の絡みというのも、これは大事なテーマでございます。先ほどのリスクベースの延長の中で、これはぜひ私どもとしてはやっていきたいし、できましたらしかるべき時期に予算も確保していただいて、実施してまいりたいと思っております。

(主査) では、もうこれで終わりにしますので、簡単にお願いします。

(委員) じゃあ、端的に言いますと、平成19年度に緊急措置をする。これは法律の厳格化とか精密な適用、でもそれはやり過ぎだろうから、これから3年間研究して、合理的な範囲にもう少し緩めるということを目指しているように私には聞こえます。でも、そうだったら、来年の基準法の改正が非常に行き過ぎたところまで緊急的にやるので、それを戻すのであれば、3年研究して、さらにそれから何年も法制化にかける時間的余裕があるのかと思います。なるべく早くこれをやらないと、過渡的な段階、つまり緊急的な段階が長く続いてしまうんじゃないかというおそれを感じます。

(国総研) 構造のご専門の先生にちょっとやり過ぎとご指摘いただくと、ちょっとまずいんでございますけれども、やり過ぎというよりも、今ご説明がちょっと不十分だったかもしれませんが、とにかく緊急措置として、今わかっていることで安全側の措置をせざるを得ないということでございます。そのわかっていることをふやしていって、場合分けのことですが、それをふやしていって、わかったものから基準に追加していくことによって、これは3年たって改めてということではなくて、政令告示のレベルでわかったものからどんどん突っ込んでいきたいというように考えております。毎年毎年改善を図っていくつもりでございますが、やり過ぎということではないということは、ちょっとご理解いただきたいと思います。

(主査) これは順調に認められたら来年の4月から始まるわけですか、この研究は。

(国総研) そうですね。

(主査) そうですか。何か今の○○先生のご指摘はごもっともで、もう予算を先取りして、すぐにも処置を始めていただきたい。というのも、この間法改正が国会を通って、とにかく緊急にやって、それをまた3年後に直すというんじゃ、ちょっと私も部会長をやっていたから、そんなに過激なことを当面やるのかということで、やや心配な点がございますから。

(国総研) その点につきましては、私ども国総研としましては、当然ながら今スタートしないとまずいというふうには認識しておりまして、省内のいろいろなご配慮、所長のご配慮もいただきまして、余り多くないですが、配分をいただいております。ことしから予備的な検討は既にスタートし始めております。

(主査) ということで、○○先生、ございますので、ご安心下さい。

 じゃあ、申しわけございませんけど、これで審議、恐縮ですが、終わらせていただきます。それでまた、これコメントか何か書くわけですか。

(事務局) コメントは発言漏れみたいなものを、補足して書いていただいて、後で回収いたします。

(主査) ああ、そうですか。今、全部議事録をつけていますから、発言した内容を改めて書く必要はないと。時間を切られたから、おれはもっとしゃべりたかったのにしゃべり足りなかった等々ございましたら今お書きください。

 では、私のまとめとしまして、これは極めて緊急性が高いと。それで、この姉歯の問題、これは総合的に扱うと限りなく広がるわけでございますが、当面、こういう構造安全性にかかわる施策とか法規制とか、それにかかわる問題に集中してやっていただくというのは大変結構でございます。

 ちょっと質問ですけど、最近、きのうの部会でも議論しましたが、木造住宅に非常にいい加減なものが多いというふうに出ていまして、それもトータルで見ると非常に大きな危険なストックでございますけども、ここで扱おうとしているのは、割合大きな建物でございますよね。

 きょうは結構でございますので、それも国総研の中期的な展望を入れていただければ幸いでございます。

(国総研) 実はここにそれが位置しておりまして、問題意識は持っておるのですが、この予算そのものは、それをカバーしておりません。ただ、非常に大きな問題でございまして、これはまた別途我々としては、業務としてはやっていかなければならないテーマでございます。

(主査) 1個1個は小さくても数が多いですから、大変なリスクのストックになりますよね。

(国総研) はい。やってまいりまして、また予算が必要な場合にはお願いするかもしれませんけれども。

(主査) よろしゅうございますか。それでは、次のテーマに移らせていただきます。

 次は、「建物用途規制の性能基準に関する研究」でございます。

〈事前評価A「建物用途規制の性能基準に関する研究」〉

(国総研) 都市研究部長の○○でございます。「建物用途規制の性能基準に関する研究」につきまして、ご説明をさせていただきます。

 私ども都市研究部では、従来より建築基準法の集団規定、これは建物の形態規制と建物の用途規制とに大きく分かれますが、この性能基準に関する研究を大きな課題として取り組んでまいりまして、形態規制の性能基準に関する研究については、現在、16年度から18年度の3年間ということで研究を実施させていただいているところでございます。それに引き続きまして、明年、平成19年度から、次のテーマといたしまして用途規制の性能基準に関する研究に着手をしたいというふうに考えております。この左側にございますように、現行の建築基準法による用途規制といいますのは、これは釈迦に説法ですが、昭和25年の法制定以来、その時々の情勢に応じましてたびたび見直しが行われておりますけれども、建築基準法の48条、および法別表の第2にございますように、一貫して、業態や外形基準、こういうものに基づく仕様的な規定となっております。ごらんいただきますと、それぞれの業態、住宅から始まりまして、商業関係の施設でありますとか、あるいは物によりましては、店舗などは面積で規制の制限を異なる形にしているとか、工業系では原動機の出力でそれぞれ制限が異なる形にしているとか、そういうような業態あるいは外形基準による仕様的な規定がこれまでずっと続いてきているところでございます。

 一方で、近年、社会経済情勢の変化の中で、新たな、なかなかこの枠組みの中ではとらえにくい、いろいろな建物が出てまいりまして、これは後ほどご説明をさせていただきたいと思いますが、例えば工場などにおきましても、機械の性能が非常に上がってきたとか、あるいは工場そのものの性能、例えば遮音性でありますとか防音性でありますとか、そういうものが技術革新に伴いまして非常に性能が上がってきて、周辺に与える悪影響の度合いというのが少なくなっているのではないかと考えております。

こういうようなこともございまして、規制改革会議の方からは、用途地域の環境基準の明確化、あるいは周辺への影響度合いを考慮した性能に基づく合理的な建物の用途規制を速やかに検討しなさいと、こういう宿題をいただいているところでございます。
 私ども、こういう全体的な流れの中で、今回お願いしたいと思っておりますのは、建築物が有します性能に基づきます合理的な用途規制、これを目指すために、建物の用途が市街地環境に及ぼす影響に着目をいたしまして、その影響度合いを定量的に計測あるいは予測して指標値を評価する技術的手法を開発したい。あわせて、守るべき環境基準を明確化していく。そういう研究に着手をさせていただきたいと考えているものでございます。

 ただいま申し上げましたいろいろと判断に困っている事例というものを、ここへ3つほど具体の事例で挙げさせていただきました。1つはスーパー銭湯と書いてございますけれども、これはたしか名古屋市で始まったような記憶がございますが、たくさんの浴槽を用意をし、宴会場や非常に大きな駐車場などを用意して、外来からの不特定多数のお客様の利用を想定する、そういう銭湯であるわけです。したがいまして、基準法上は公衆浴場という扱いになり、こうなると一低専にでも、あるいはすべての用途地域において立地が可能になってしまいます。

一方では、地元に対する騒音の影響でありますとか、あるいは深夜営業、ネオンサイン等々の光害の問題など、特に住宅地にこういうものが立地をしますと、周辺環境に大きな影響を及ぼすということが懸念をされております。

2つ目はカラオケスナックでございますけれども、これはカラオケの設備を備えた飲食店でございます。これも不特定多数の利用者の方を集客する施設でございまして、大音量でのカラオケ、あるいはお客様の騒音、深夜までの営業など、いろいろな問題がございますが、「しかし」のところに書いてございますけれども、150平米以内であれば飲食店になってしまいますので、立地の自由度が非常に高いことになります。あるいはワンルームマンション、こういうようなものを共同住宅というふうに解釈してしまえば、一低専でも立地が可能だということでございます。

 研究といたしましては、まず建物が市街地に及ぼす影響をある項目で整理をしようと考え、その項目を抽出させていただく。その上で、それぞれの項目が市街地環境に及ぼす影響の測定手法、あるいはその評価の指標の開発を行います。実際に現地で測定をしてみまして、その測定値でもって分析をさせていただき、もう少し広く用途地域ごとにそれがどういう数値になってくるかというようなものを調べさせていただく。最終的に施策に反映させていきたいと思っておりますので、それぞれの環境項目指標値と呼んでおりますけれども、これの用途地域ごとの指標値、これを参考に、それぞれの用途地域ごとで、これは多分行政で具体的にお決めいただくということになろうかと思いますが、基準値を設定していただく。それが一つはこの別表そのものの改正につながっていくことを期待する。あるいは法48条ただし書きの規定というのがございまして、ただし書きで許可ができる規定がございますが、許可の基準というのが明確になっていないという実態がございまして、その許可準則的に、ここで私どもが研究で開発したようなものを活用していただくことが可能ではないかと期待もしているところでございます。

 当然、最終的には基準法の施策に直接反映していただくということでございますので、本省との連携、あるいは実際に現場でご苦労をされている地方公共団体、さらには、いろいろな項目がございますので、特に関係する先生方との緊密な連携というものを図りながら、研究を実施してまいりたいと考えているところでございます。

 簡単ではございますが、説明は以上とさせていただきます。

〈課題説明終了〉
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(主査) ありがとうございました。

 それでは、ご意見、ご質問がございましたらお願いします。

(国総研) 先生、欠席委員の方から事前の意見がございまして、第三部会の○○先生からご意見をちょうだいいたしております。

 必要性としては高いというご判断をいただいておりまして、効率性については、実施方法・体制はおおむね妥当。立体用途について明確に課題認識をすべきであろうというようなご指摘がございました。これは最終的に行政判断をするときに、そのような視点というのも当然織り込んでくるのかなというふうに考えております。

それから、有効性のところについて、制度化の可能性の議論、適用可能な条件の整理を行うことが実効性を高めるというご指摘がございますが、最後に申し上げましたように、私どものこの研究開発の成果が、実際に建築基準法の運用の一つの準則的なものになる、あるいは法別表の改正につながっていくということを期待しているところでございますので、そういう期待を込めながら、私どもとしては研究開発に従事していきたいと考えております。

 以上でございます。

(主査) それでは、ご意見、ご質問がございましたら、どうぞ。

(委員) 研究の進め方の中で、ぜひとも地域の紛争との関係等で、大きな問題になっているものを扱っていただけたらというふうに思います。

 具体的に申しますと、私自身がかかわっているまちづくりの活動の中で、近年、非常にふえているのが葬儀場の問題ですね。葬儀場は、こういう観点で見ると扱いが非常に難しいし、必要性とか重要性とか、そういうことからいっても、どういうふうに考えたらいいかということが確立していない。また、建設されるメカニズムが、必ずしも需要に対応してというわけではない。葬儀場の建設の仕組み、独特の仕組みの中で生まれてくるようなことがあって、地域の紛争の中で近年非常に顕在化しているものなので、そのあたり、ぜひ扱っていただけたらと思います。

(国総研) 個々の建物をある程度意識しながら、そういう建物が実際に市街地環境にどのような影響を与えるか、それが先ほどちょっとはしょりながらの説明で申しわけございませんでしたが、最初に市街地環境に及ぼす影響項目というのをできるだけ幅広に抽出をしてみたいと思います。そういう中で、今、○○先生のお話にございました葬儀場というのは、その施設の性格上、多数の来客者があるということだけではなくて、周りの方々のいろいろな心理的・感情的な問題が多分にあろうかと思います。実はここには不安感とか安心感とか書いてあるんですが、これはなかなか数値で示すのは難しい事柄だとは思っておりますが、右側に書いてございますように、実測困難な心理量等については、例えばアンケート調査などでその状況を把握する、あるいはご専門の先生方のご意見をちょうだいするというようなことを含めまして、今回の市街地環境要素の中の項目として取り込んで、できる限り私どもとしては研究の対象にしていきたいと考えております。

(主査) ほかには。

 先生、どうぞ。その次、○○先生、お願いします。

 回答は簡単にしてください。多分、皆さんご発言されたいと思いますのでね。

(委員) 答えを最終的にどう出すかということですが、今、少なくともわかっているのは、この別表をアップデートする、細かくするような話があるかと思うんです。しかし、全国一律同じ詳しい別表というのを、地域に適用して、まちのつくり方を考えてもらうというのも、やっぱりちょっとそぐわない点もあるので、答えの出し方として、地域に任せる部分を同時に考えることは必要かなと思うんですね。

 すべての人がハッピーになることはあり得ないわけで、利害調整ということがやっぱり一番問題になると思うんですけれども、私の知っている一つの事例として、官民物流改善パートナーシップというのがイギリスにあって、多くの地域でステークホルダーが集まって、その地区の物流をどういうふうに変えていくかということを話し合っています。FQPというんですけどね。そこでは、例えば地方都市なんかでは夜間のトラックでの配送を禁止しているんですけれども、例えば静かな車を使って、マナーを守って運びますから、夜中も運ばせてくださいということを地域の人と相談しながら、決めているみたいなんですね。これは都市計画とちょっとすぐにつながらない面もありますけれども、物流施設であっても、そういうマナーを守っていれば、決して環境上の問題はそんなには起きないと思うんですね。やっぱりそういう点でつながってくることがあるので、ほかのもうちょっとソフトの施策とあわせて何か実現できるようなことも、何かソリューションの一部になり得るようにしておいたらどうでしょうか。

(国総研) 法別表へ直ちに反映させるというのは、なかなか簡単な話ではないというふうに考えておりまして、そういう意味では、先ほどもちょっと申し上げましたが、法48条にただし書き許可の規定があります。そのただし書き許可の実際の運用がなかなか地方では難しい状況があるやに聞いております。そういう中で、今お話がございましたように、それぞれの地域の実情に合わせて、周辺に対して悪影響がないものについては許可をしていこうという考えが仮にあるとすれば、その参考になるようなものを一つの指標として提供するというのも、重要なテーマではないかというふうに考えております。

(主査) ○○先生。

(委員) 非常にわかりやすい説明をしていただいて、研究の中身がよくわかったんですが、全体としてというか、担当されるのは都市研究部ということで、都市という意味で、ある意味では都市の場ということをやっぱり意識して研究を進めていただきたいと思っています。途中にも複数建物による影響の測定手法云々という言葉があるんですが、例えば個別のスーパー銭湯とかカラオケとかというのは、非常にわかりやすくていいのなんですが、同じ地域に別の建物が同時に入ってきたとき、別の用途がですね、例えばこんなことあるかどうかわかりませんが、スーパー銭湯の隣にカラオケスナックが出てきたとか、これは要するに都市ではこういうことは当然あり得るわけで、どこまでそういうことについて踏み込んで研究をされるか、ちょっとご意見をお聞きしたいんですけれども。

(国総研) 環境項目を設定するというところがまず1つのポイントかなというふうに考えておりまして、それぞれの用途が市街地環境に対してどういう影響を与えるか、それを項目別にざっと並べてみて、それぞれの建築用途というのが外部に与える影響というのを判断いたします。

それが重なり合ったときに余計厳しい状況が生じるわけですから、その際に、行政庁としてどういう判断をするかというのは、そういう環境影響の積み重ねの中で、このレベルまではいいですよというようなことを行政として決めていく際の、その参考になるようなものを私どもとしては用意できないかなというように考えております。

(主査) どうぞ、○○先生。

(委員) この研究、非常に必要性が高いというふうに判断いたします。それで、進め方で2点ほど、ちょっとご指摘したいと思います。

 1つは市街地環境といったときに、非常にたくさんの項目が並んでしまうと思うんですね。恐らくそれをそのまま法制化するというのは無理だと思いますので、その中で何と何と何をとってくれば大体、市街地環境ではとらえられるかというような研究もぜひやっていただくと、非常に有効なのではないかというふうに思います。

 それから、もう一つは、こういう性能規定というのがもし出されますと、許可・不許可ということ以外の第三の道ですね、例えばこういう条件のもとで許可をすると。これは今まで業態規制になるということで、やや消極的だったと思うんですけれども、今後、市街地のコントロールということを考えますと、そういうことは非常に重要ではないかというふうに私は思っております。ですから、そういった観点も含めてぜひ進めていただきたいというふうに思います。

(国総研) 1点目は、確かに騒音の問題を考えていったときに、騒音基準をどういうレベルに設定をするか、それがどこの用途地域でも、一定の敷地境界線でその値がクリアできればすべからくオーケーだよというような、単純な形になるかどうか、これはいろいろと勉強してみないと分からないんじゃないかと思っています。とりあえず今、私どもとしては集団規定を念頭に置いていますけれども、もし、先生のご指摘のように単体規定に絡むような話があれば、当然、そちらの方もある程度視野に置きながらやらないといけないと思っています。

(主査) ほかには。

(委員) 建物用途というのは、当然、この地域指定とリンクしていますけど、単体規制ともリンクしているんですね。何か僕のイメージだと、今やろうとしていることは、民法でいうところの相隣関係の何か詳細化みたいなイメージがあるんですね。50センチ後退するとか、4m以下の道路はいけないとかというような、そういうやつですね。それを性能論的に分解する作業と同じじゃないかというふうに思っていまして、性能で規定しちゃって、敷地境界線上で何デシベル以上とか以下とか、バーッと性能を並べて、それでバンと規制かけちゃえば、何か割と場による要求性能と敷地境界線上での性能で書けちゃうんじゃないかというのが1点目。

それから2点目は、こうやられると今度は単体規定の方はどう変わるんでしょうというか、単体規定の方にも影響が出るので、そこをどういうふうに考えていらっしゃるのか。2点質問です。

(国総研) 1点目は、確かに騒音の問題を考えていったときに、騒音基準をどういうレベルに設定をするか、それがどこの用途地域でも、一定の敷地境界線でその値がクリアできればすべからくオーケーだよというような、単純な形になるかどうか、これはいろいろと勉強してみないと分からないんじゃないかと思っています。とりあえず今、私どもとしては集団規定を念頭に置いていますけれども、もし、先生のご指摘のように単体規定に絡むような話があれば、当然、そちらの方もある程度視野に置きながらやらないといけないと思っています。

(主査) それでは、まだまだご意見あるかと思いますけども、この辺で審議打ち切らせていただいて、次の課題に移りたいと思いますけども、まとめとしまして、この研究テーマの必要性は、このテーマも先ほどのテーマと同様非常に高くて、皆さん推進を期待しているかと思います。

 これはあれですか。私から質問ですけど、今まで割合定性的に決めていた話を定量化しようと、そういうふうに考えてよろしいわけですか。

(国総研) 業態という形、建物の用途そのもので区切っていたものを変えていく。

(主査) そうですね。そのときに、結局、これは多分環境とかフィジカルなデータを集めるのは比較的できるとしても、最終的に社会的合意を得るための評価基準の設定というところにすべてそこに行くわけだと思うんですけど、今おっしゃったことは本省がやるという、そういう建前なんですか。

(国総研) 基本的には、私どもは材料を用意する。最後はまさにいろいろな判断要素がそこに絡んでくると思いますので、それは建築基準法の体系の中に盛り込むときには、行政がいろいろと総合的に判断をする必要があると思います。

(主査) 本省は大変ですね、これね。どうもありがとうございました。非常に重要なテーマだと思います。

 それでは、3つ目のテーマの「都市整備事業に対するベンチマーク手法適用方策に関する研究」、ご説明をお願いします。

(国総研) 都市施設研究室長の○○でございます。

〈事前評価B「都市整備事業に対するベンチマーク手法適用方策に関する研究について」〉

 来年度予算要求の「都市整備事業に対するベンチマーク手法適用方策に関する研究について」、ご説明申し上げます。

 ここで言っておりますベンチマークといいますのは、複数の区画整理事業のような都市整備事業について、いろんな地域、あるいはいろんな事業特性で行われておりますけれども、そういったものを踏まえて、横並びで比較するための指標のことでございまして、民間企業ですとか、あるいは欧米でニューパブリック・マネジメントというような取り組みが行われ、行政分野の効率化などが行われておりますけれども、そういったところで使われております概念・手法でございます。

 研究の背景としましては、財政事情が厳しい中で、都市整備事業の合理的・効果的な実施が求められているということ。あるいは、地方分権ですとかまちづくり交付金といったような、地方に非常に裁量性の高いような事業が新たに導入されておるといった中で、市町村において技術者が不足しているのではないかということ。あと欧米でニューパブリック・マネジメントというような手法が普及しておりまして、いろんな分野で行政運営の効率化が行われているといったこと。さらに今後、技術者の国際交流が進む中で、都市整備技術者の国際競争力の確保が必要であるというようなことを背景に、研究に取り組むものでございます。

 先進的な事例として、欧米の例を幾つか紹介させていただきます。

 アメリカでは、いわゆるオレゴン・ベンチマークというのが非常に有名でございますけれども、各地でいろんな取り組みが行われておりまして、この中で、オレゴン州のムルトマ郡では、ベンチマークと、いわゆるTQC、トータル・クォリティー・コントロールですか、業務の効率化というようなことを組み合わせて、非常に先進的な取り組みが行われているというような例がございます。

 これはイギリスの例でございますけれども、地域交通計画という5年間の一括補助金が制度化されておりまして、その中で、事業を実施する郡ですとか市町村の事業のパフォーマンスを国が測定するために、こういった指標を設けて事業の効率的な推進に取り組んでいるという例でございます。

 これはアメリカの例でございますが、アメリカ国際自治体マネジメント協会というのがございまして、多数の自治体が加盟しておりますけれども、ここはもう既にデータベースとして各自治体のベンチマークを公表しておりまして、そういった事例を分析する中で、都市整備のノウハウ集といったものも出版しておるというようなところでございます。
 国内におきましても少しずつ研究が進んでおりまして、ちょっと字が小さくて、見づらくて恐縮ですけれども、これは神戸市の外郭団体がいわゆるごみ収集・焼却の事業の効率化を図るために、各都市のごみ収集事業についてベンチマークを設けて分析をした例でございます。Aでベンチマークを設定いたしまして、ここはポイント制で各事業を評価しておりまして、その結果、全国の中で優秀な都市(ベストプラクティス都市)というのが選ばれております。さらに、そのベストプラクティスとそうでない都市の具体の事業運営の中身を比較することによりまして、どこに効率化のポイントがあるのかと、どうすればいいのかというようなところのノウハウが明らかになってくるというものでございまして、この考え方を都市整備事業に適用したいというものでございます。

 研究の対象事業としましては、区画整理事業などの都市整備事業、そのときに同時に実施される上物事業も含んだ全体を対象にしたいと考えております。

 研究開発の目的としましては、都市整備事業主体、主に市町村になりますけれども、構想計画段階から事業後に至る段階において、事業部のマネジメントの高度化を支援するようなツールを開発したいというものでございます。ここでいう高度化につきましては、効率的実施ですとか事業の効果の早期発現といったものを支援してまいりたいというものでございます。

具体的な研究開発の内容としましては、ベンチマーク手法の適用方法、あるいはそれを使って成功・失敗要因の分析などの技術支援ツールを開発したいということ、それを各自治体が実地に運用するためのデータや、その分析結果、成功のノウハウ集といったようなものを整備したいというふうに考えてございます。

 研究の成果の目標といたしましては、ベンチマーク指標の設定とその利用方法を開発したいと考えています。さらに、都市整備事業地区のデータ、ベンチマークデータ、成功事例、成功要因、ノウハウなどをデータベース化して提供し、全体を運用するための運用指針を策定し、公表したいと考えております。このようなアウトプットを踏まえて、都市整備事業の効率的実施、早期の効果発現に寄与したいと。あるいは、都市整備分野の技術者の技術力の向上ですとか、都市整備事業のアカウンタビリティーの向上を図りたいと考えております。

 時間がありませんので、内容のところをはしょらせていただきます。本研究は、3カ年間で実施したいということで考えております。

 あと体制でございますが、今回開発する手法は、このピンク色の部分の手法を開発いたしますがユーザーとしては、例えば本省の政策企画立案、あるいは下の方に書いております都市整備事業の事業主体の事業運営の効率化ということを考えておりまして、これらの方々がこのシステムのユーザーということでございますので、研究開発段階から、こういったユーザーの声を取り入れて、このシステムが恒常的にメンテナンスされていくような形で体制をつくりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

〈課題説明終了〉
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 あと、第三部会の○○先生からご意見をいただいております。

 効率性のところで、研究の実施方法、体制はおおむね妥当と考えられるが、技術者が不足していると言われる地方からの参加がどの程度可能か、十分検討する必要があると。また、有効性のところで、研究成果の見込みと成果の活用方針の点では、この手法の適用が有用と言われる現場の意見をどの程度反映させるかにもよると思われるということでございます。そのご指摘に対しましては、研究体制のパワーポイントのところで、3カ年目になると思いますけれども、具体のシステムのプロトタイプをつくりまして、実際にユーザーの方に使っていただくというような中で、使いやすいシステム、あるいは利用の価値の高いシステムとなるようなことも、研究の内容として取り組んでまいりたいということでございます。

(主査) ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。
 私の方から質問します。ベンチマークというのは、ここにございますように適切な指標ぐらいの意味でございますよね。このベンチマーク手法というのは、これがいま一つ具体的にわからないんですけど、どういうことなんでございますかね。

(国総研) 図が見づらくて恐縮ですけれども、例えばごみの事業の効率化を図るために、この研究事例では、このAにございますようにABCDと4つの指標を設けております。例えば家庭系ごみのトン当たりのコストというような指標を設けています。それを使って、全国にいろんな自治体がありますけれども、その実際のパフォーマンスを横並びで比較するというところに意義があるのではないかというふうに思っておりまして、右側のBにありますように、優秀なところとそうでないところが定量的に分析することができるということでございます。さらに優秀なところがなぜ優秀なのかといったようなところのノウハウを、このベンチマークをもとに収集・分析していくことができるといったところに特徴がある手法です。

(主査) そういうことは、今までもう日本国内外を問わず世界中でいっぱいやられているんじゃないんですか。どこがオリジナルで新しいんでしょうか。

(国総研) 民間企業さんではかなり進んでおると思うんですけれども、必ずしも行政分野では都市間の比較というようなものが十分行われてこなかった状況居にあります。欧米では既にかなり普及しておりまして、それを今回、日本の都市整備事業に適用してみたいということでございます。

(主査) どうぞ、○○先生。

(委員) 公的な主体が都市整備事業をするということなので、それなりのやっぱり理由があるはずで、それをうまく指標にするということが必要かなというふうに思うんですね。どちらかというと、今まで公的な主体が行った都市整備事業というのは、財務的に見ると余りよくないというか、不良債権が積み上がったみたいなところが多かったかと思うんですけれども、例えば都市整備公団でしたっけ、そこが開発した工業団地なんかでも、なかなか思うように埋まらなかったんだけれども、交通条件のいいところは物流施設が立地して、そうでなければ、その物流施設がバラ建ちして環境問題を引き起こしたかもしれないことことを防いでだというようなことがあったと思うんですよね。ということは、もしそれがなかったならば起きたであろう、そういう外部不経済を防止できた。結局、公的な主体ですから、なるべく外部効果を大きくするとか、外部不経済を防ぐとか、民間に任せてはうまくいかない部分に積極的に介入して、わざわざ都市開発事業にするということでしょうから、そこのところを何か評価できるようにすれば、おもしろいかなと思います。

(主査) ちょっと待ってください。今のご質問に関して。

(国総研) どこまで取り組めるかわかりませんけれども、先生がおっしゃったような外部に対する効果みたいなものも含めて、事例分析を行ってまいりたいと思っております。

(主査) 大変ごもっともなご指摘だと思います。

 では、○○先生、お願いします。

(委員) ベンチマーキングというのは、そういうマネジメントのサイクルといいますか、それと一体不可分なんですよね。どういうマネジメントでどう使うかという話と、かなり独立して議論できないところがあるので、何かいいケーススタディというのか、プロトタイプというのか、ベンチマーキングモデルをどう使うかというベンチマーキングがいるということで、そこへなかなか行かないんですよね、使うというところまで。だから、そこまでの道筋をぜひ示していただけるような研究をしていただければと思います。

(主査) ○○先生、どうぞ。

(委員) この中で、事業の成功・失敗というのをどういうふうに判断するかというのは、実は結構重要かなと思うんですね。

 あともう一つ重要なのが、このベンチマーキングというのは、評価して、すぐにそれに対して対処できるということが重要だと思いますので、同時性といいますか、指標を見てすぐに判断できるところが重要だと思うんです。指標の中には、実はある程度時間を経たたないとちょっと効果がわからないというのもあると思うんですね。ですから、そういった視点でベンチマーク指標を適切に選び出すという方法論が、ちょっとここではわからなかったんですが、その点、よく検討されるといいのではないかというふうに思います。

(主査) ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。

(なし)

(主査) ありがとうございました。

(国総研) 都市分野も担当しております。

(主査)  皆様からいただいたご質問を聞きますと、この研究目的とか意義とか必要性、もう少しこれを具体化させていただけるとありがたいかと思います。

 ということで、事後評価1題、それから事前評価3題、皆様の大変適切なご意見、アドバイスによりまして、貴重な審議ができたと思っております。全体を通じまして、何かご意見ございますでしょうか。

(なし)

(主査) なかなか時間が足りなくて申しわけございませんでした。皆さん、この研究マップというのをつくっていただいているんですけど、これなんか、本当は時間があればこれをもうちょっと説明していただけると、本当は非常に位置づけなんかがよくわかったんですけど、時間が制約されて、仕方がありませんので、後で委員の先生方ごらんいただければとありがたいと思います。

 それで、ご意見なければ終了したいと思いますけども、本日評価いただきました内容をもとに、評価書を作成しなきゃいけないんでございますけど、皆様からいただいたご意見をまとめまして、あとは私にご一任いただくということでよろしゅうございますか。

(はい)

(主査) では、そういうことで進めさせていただきます。

 では、今後の進行は事務局の方でお願いします。

(事務局) どうもありがとうございました。

〈今後の予定〉

 事務局の方からは、今後の予定ということで簡単にご説明させていただきます。

 評価結果につきましては、先ほど主査に一任ということでございましたので、今日の審議内容、それから記入していただいたコメントをもとにまとめまして、主査にご相談して、評価結果としてまとめたいと思っております。

 それから、議事録につきましては、初めにご説明いたしましたとおり、速記録を最低限修正を行った後に、皆さんにご確認の上、議事録としてホームページで公開いたします。その際、名前は伏せた形で公開するということにさせていただきたいと思います。

 それら評価結果、評価資料ともにまとめまして、報告書として作成いたしまして、公開するという手続になります。

 以上でございます。

 あと、配付資料につきましては、机の上に封筒がございますので、おいていただければ後で郵送をいたします。

 連絡事項は以上でございます。

 それでは、最後に○○所長よりごあいさつを申し上げます。

〈国総研所長挨拶〉

(国総研) 大変ありがとうございました。
 たくさんのご指摘、ご意見を賜りまして、大変ありがたく思います。とは言うものの、国総研もなかなかリソースその他に限りがございますので、いろいろいただいたご意見を踏まえながら、重点化しながら、それから、もちろん外部の皆様方のいろんなご支援をいただきながら、研究を進めてまいりたいというふうに思います。

 本日は、本当にありがとうございました。

〈閉会〉

(事務局) 以上をもちまして、第2回国総研評価委員会分科会を閉会いたします。

 本日は、本当にどうもありがとうございました。

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