【概 要】 | 航空輸送サービスが供給されるためには,労働や資本のような生産要素だけではなく,空港という社会資本が不可欠である.空港容量の制約は航空輸送サービスの生産力の制約となり,航空需要(すなわち供給量)の増大にともなって限界生産性が低下する.したがって,空港容量の拡大,特に航空ネットワークの中心となる空港における容量拡大は,単に輸送能力の拡大をもたらすだけではなく,生産効率性の改善をももたらすと考えられる.
本研究は,空港容量の拡大が我が国の航空輸送サービス産業の生産効率性に寄与してきた効果を,全要素生産性アプローチにより推定し,応用一般均衡モデルとの結合により,その国民経済的効果についても推定する手法を提案する.さらに本研究は,本手法を羽田空港を事例に適用し,これまでの発着容量拡大がもたらしてきた経済効果を推定するとともに,再拡張によってもたらされる経済効果についても試算を行った. |