研究成果概要


国総研研究報告 第 37 号

【資 料 名】 東アジア圏を中心とした国際海上コンテナ貨物流動シミュレーションモデルの構築

【概   要】 近年,アジア地域の急激な経済成長に伴い,アジア地域を発着とする貿易や貨物量も急激に増加している.特に,海上コンテナについてみれば,近年,アジア各国・各港において大規模なコンテナターミナルの開発投資が行われ,港湾間・ターミナル間競争が激しくなっていることも背景に,各港のコンテナ貨物取扱量の伸びは著しい.一方で,同じアジア地域に属しながらも,日本の港湾や2007 年に遂に上海港に抜かれ中国第1位の座を譲り渡した香港など,伝統的な港湾の中には地位が低下しつつあるものも見られる.このような状況のなか,わが国を含め,東アジア地域の各国・各港湾は,ライバル港との競争に打ち勝ち,あるいは,自国港湾の相対的な地位低下に伴い,自国発着貨物の輸送や延いては自国産業の国際競争力という観点から不利益をもたらさないために,活発な投資や関連施策を実施している.このような政策実施の効果について効率的に議論を行うためには,政策実施が国際物流や各国経済に及ぼす影響について,定量的なシミュレーションを行うことができるモデルを用いることが有効であると考えられる.そこで本研究は,港湾投資や料金割引などハード・ソフト両面の様々な政策の実施により,東アジア地域における国際海上コンテナ貨物の流動がどのように変化するかのシミュレーションが可能なモデルを構築することを目的とした.構築したモデルにより,現状の日本各港における輸出入貨物量やアジア各港におけるトランシップ貨物量をおおむね再現できた.さらに,港湾のリードタイムや利用料金などの政策変数を変化させることによって,各港の取扱貨物量の変化を分析した.得られた結果は,おおむね妥当と評価できるものであった.

【担当研究室】 港湾システム研究室

【執 筆 者】 柴崎隆一,渡部富博,



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