研究成果概要


国総研資料 第 608 号

【資 料 名】 損傷状況を考慮した鋼床版の構造形式見直しに関する研究

【概   要】 我が国の道路橋の鋼床版の疲労設計は,「鋼道路橋の疲労設計指針」により標準的な設計方法が規定されている.しかし,トラフリブを有する鋼床版については複雑な細部構造を有する溶接集成構造であるとともに,舗装を介するのみで直接的に作用する輪荷重の強度や走行位置のばらつきも大きく,設計において計算応力を基にして疲労耐久性を適切に評価することが困難であり,かつその手法も確立されているとはいえない.一方,近年になって大型車交通量の多い路線の鋼床版においてデッキプレートを貫通するき裂が発見されはじめた.
そこで,本研究では,近年の疲労損傷状況を考慮し,疲労設計指針の適用範囲内で設計されるトラフリブを有する鋼床版に対して,これらの疲労き裂に対するより確実に耐久性が期待できる対策の確立を目的に,疲労耐久性に支配的な役割を果たすと考えられるトラフリブとデッキプレートの板厚に着目して,横桁交差部の部分供試体を用いた定点載荷疲労試験と実物大供試体を用いた輪荷重走行試験を実施し,これらの組合せ条件が鋼床版の疲労耐久性に及ぼす影響を観察した.
その結果,トラフリブを有する鋼床版の疲労耐久性に対してデッキプレートの板厚が大きな影響を与えることが分かった.また,近年の損傷事例がデッキプレート板厚12mm の場合で生じている現状と本研究の実験結果から,デッキプレート板厚を16mm 以上とすることで,同種の疲労損傷の発生リスクを低減できることが分かった.

【担当研究室】 道路構造物管理研究室

【執 筆 者】 国土交通省 国土技術政策総合研究所,
独立行政法人 土木研究所,
社団法人 日本橋梁建設協会



表 紙 155KB
中 扉 248KB
目 次 100KB
本 文
第1章  研究の概要 579KB
第2章  定点載荷疲労試験 4,326KB
第3章  輪荷重走行試験(供試体A ) 10,983KB
第4章  輪荷重走行試験(供試体B) 10,608KB
第5章  まとめ 354KB
参考資料-1
損傷橋梁の構造緒元 484KB
参考資料-2
トラフリブ鋼床版に関する諸外国の基準 504KB
参考資料-3
デッキプレート厚が鋼重に及ぼす影響の試算 772KB
奥 付 292KB


全 文 28,666KB