研究成果概要


国総研資料 第 627 号

【資 料 名】 東京湾における推定ゴミ流入量の水平拡散係数に対する依存性

【概   要】  短波海洋レーダによる観測結果を用いた中立粒子実験に基づき,東シナ海を対象として開発された双方向粒子追跡法とラグランジュ未定乗数法による逆推定法の東京湾への適用性と推定精度を確認した.特に水平拡散係数が流入源と流入量の推定精度に及ぼす影響について詳細に検討した.その結果,流入源位置の推定精度が10km以内,流入量の推定精度は2倍以内であることが明らかとなり,これら推定方法の東京湾への適用性が確認できた.真値に対して過大な水平拡散係数を計算に使用すると中立粒子の拡散スケールが実際よりも大きくなるため間違った流入源位置を特定する可能性が高くなる.また,流入源位置の推定精度は水平拡散係数だけでなく水平シアによる分散効果にも依存する.真値に対して過小な拡散係数を用いた場合でも分散効果が大きい場には中立粒子が広範に広がり,その結果間違った流入源を推定する可能性が高くなる.一方,流入量についても真値に対して過大な水平拡散係数を与えると同様な理由から流入量は過大に推定される.しかしながら,その影響の度合いは鈍く,真値に対して2倍程度の水平拡散係数を計算に用いれば,推定精度は1.6倍程度,真値に対して1オーダー大きい水平拡散係数を用いた場合でも推定精度は6倍程度である.

【担当研究室】 沿岸域システム研究室

【執 筆 者】 片岡智哉,日向博文



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中 扉 253KB
目 次 246KB
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