研究成果資料


国総研資料 第 783 号

【資 料 名】 空港の確率論的リスク評価における財務影響分析に関する研究

【概   要】  「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(平成25 年法律第67 号,同年7 月施行)」に基づく「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する基本方針」が同年11 月に告示された.同基本方針において,大規模災害からの復旧については,地震,津波等の災害事象及びその損害程度を想定し,国管理空港運営権者が,保険に加入し,実施することとされた.また,想定を超える損害については,必要に応じて,国が実施することとされた.
 このような立法・行政の背景を踏まえ,本研究では,空港における民間の能力の活用の推進のため,代表的な大規模災害の一つである地震,津波が発生した場合について,空港運営会社の財務への影響の評価方法,保険の設計の考え方,関連として保険の代替となる代替的金融対策のしくみのあり方などについて,検討を進めることとした.
 上述の検討に際し,現行の空港運営会社の事業形態を基に標本空港を想定し,地震のリスクを考慮した財務影響分析手法の開発を検討した.財務影響分析は地震発生後に運営資金の枯渇や債務の不履行などが憂慮される場合に,発災時の期末に現金あるいは現金同等物がどれほど不足するのか,どの程度の資金調達を考えておかなければならないか,などを把握するために行われる.特に,地震保険,その他の金融対策を計画する場合には必須になる.
 本研究では,検討に際し需要変動によるリスクも副次的に考慮した.また,金融対策一般について調査し,空港運営会社に適した対策について考察すると共に,地震発生後の必要資金枠ならびに長期債務返済への影響について試算した.また,耐震化等のハード対策を実施した場合の債務の履行状況の改善効果についても検討を行った.

【担当研究部】 空港研究部

【執 筆 者】 中島 由貴,中村 孝明,中神 啓介,西崎 英治



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