研究成果概要


国総研資料 第 880 号

【資 料 名】 荷重抵抗係数アプローチによるレベル1信頼性設計法に関する基礎的研究
〜永続状態におけるケーソン式岸壁の滑動および転倒照査を対象に〜

【概   要】  「港湾の施設の技術上の基準・同解説(平成19年)」(以下,現行基準という.)において,防波堤や係留施設の全体安定性の照査に対して,レベル1信頼性設計法(部分係数法)が導入された.本研究の目的は,現行基準による部分係数法による設計法について,次期改訂に向けて見直すための方向性を示し,ケーソン式岸壁の滑動・転倒照査に対する新しい部分係数を提案することである.見直しの視点は,1)荷重抵抗係数アプローチに基づく部分係数法による設計法への移行,2)目標安全性水準の精査・見直しの2点である.
 本研究では,レベル1信頼性設計法(部分係数法)に対する,荷重抵抗係数アプローチと材料係数アプローチに関する両者の得失に関して整理および考察を行った.この結果,地盤や基礎が関係する港湾構造物の全体安定性に対する照査に対しては,荷重抵抗係数アプローチによる部分係数法による設計法へ移行することを提案した.
 また,ケーソン式岸壁が有すべき永続状態の安全性水準としては,今後増加が予想される改良設計に関する問題点等を踏まえ,過去に安全率法によって設計された断面が有する安全性水準を,目標安全性水準として再設定することが適切であることを示した.
 さらに,上記の検討結果を踏まえ,従来の安全率法によって設定される断面が有する安全性水準を目標安全性水準とした際の,ケーソン式岸壁(設計水深4.5m〜20.0m)の滑動および転倒照査に対する,荷重抵抗係数アプローチによる部分係数を提案した.なお,本稿における,破壊確率の評価や部分係数の設定は,全てモンテカルロシミュレーションを用いて実施した結果によるものである.その詳細手法については,関係技術者の今後の参考となるよう,付録として示した.

【担当研究室】 港湾施設研究室

【執 筆 者】 竹信 正寛,西岡 悟史,佐藤 健彦,宮田 正史



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