研究成果概要


国総研資料 第 1041 号

【資 料 名】 我が国に寄港するクルーズの需要動向とその効果に関する分析

【概   要】  クルーズ船の大型化や,手軽に安価に楽しめるクルーズの近年の急激な普及,地方創生の機運が高まるなか,地方の港湾などへのクルーズ船の寄港には大きな効果が期待され,クルーズ船寄港への対応が急務となっている.今後の受入環境の検討には,クルーズの寄港回数や旅客数といった基本となるデータの蓄積・分析や,クルーズ船寄港により地域にもたらされる経済効果の把握が必要となる.
 そこで本分析では,今後の受入環境の検討に資することを目的とし,我が国へのクルーズ船の寄港実績の整理ならびに訪日クルーズ旅客数の整理を行い,クルーズ船の寄港回数や訪日クルーズ旅客数の動向について,季節変動の分析や起点国・地域を推定したうえでの分析等を行うほか,クルーズ船寄港に伴う経済効果について試算を行った.
 その結果,2015年,2016年,2017年の3ヶ年において,港湾別寄港回数の偏りや全国の季節変動が解消される方向に向かっていることをジニ係数を用いて定量的に分析できた.また2017年においては,中国起点クルーズのうち韓国に寄港してから日本に入国する割合が激減し,中国から直接日本に入国する割合が増加していることを示し,中国政府が国内主要旅行業者に対して韓国への観光客送出禁止を通達したことによる影響と考えられると分析したほか,海外起点クルーズの起点国・地域別入国者数や消席率等についても定量的に示すことができた.さらに海外起点クルーズの寄港による2017年の年間の経済効果について,寄港実績や寄港港数による消費の違いを考慮し,想定を置いた上で,約2,159億円と試算した.

【担当研究室】 港湾システム研究室

【執 筆 者】 佐々木 友子・赤倉 康寛・杉田 徹



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