研究成果概要


国総研資料 第 1053 号

【資 料 名】 米トランプ政権の保護貿易政策による貿易対立が海運貨物量に与える影響の試算

【概   要】  米国のトランプ政権による相次ぐ貿易制限措置は,各国・地域による報復を招き,貿易戦争の様相を呈してきている.輸入関税率の上昇は輸入量を減少させるが,広範で複雑なグローバル・サプライチェーンが構築されている現在において,その影響の定量化は容易ではない.一方で,我が国の海運・港湾政策を検討していく上では,定量的な見通しが不可欠である. 以上の状況を踏まえ,本資料は,関税率の変化が貿易・経済に与える影響を比較的簡便に推計できる SCGE モデルを使用して,米国の追加関税や,これに対する各国・地域の報復関税による海運貨物量の変化を試算したものである.その結果,貿易対立がこのまま進展すれば,米国・中国を中心に,世界の GDP や貿易額が減少し,2017 年換算で,コンテナ貨物量が米国:230 万〜510 万 TEU, 中国:250 万〜440 万 TEU,バルク貨物量で米国:4,600 万〜13,600 万 MT,中国:4,300 万〜5,500 万 MT の減少が見込まれた.北米航路コンテナ航路(米国〜日本・中国・韓国・台湾)では,18〜 36%の貨物が失われると推計された.

【担当研究室】 港湾システム研究室

【執 筆 者】 赤倉康寛



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