研究成果概要

国総研資料 第 1100 号


【資 料 名】 特異値分解による線形次元削減と代替モデルに基づく耐震性能照査手法の高度化に向けた基礎的研究
~重力式岸壁に対する地震応答解析への適用~
【概   要】  係留施設(岸壁や桟橋)における性能照査では,耐震性能が主要な照査項目となる.特に耐震強化 施設に対しては,偶発状態(レベル2地震動作用時)における施設の損傷の程度を,二次元地震応答 解析等を用いて照査することが求められる.本来,土質条件をはじめとする入力条件のばらつきが二 次元地震応答解析の結果に及ぼす影響を把握することは重要である.しかし,計算コストの大きい二 次元地震応答解析を,入力条件のばらつきに応じた多数のケースに対して実行することは容易ではな い.そのため現状では,ある確定的な条件に対する解析結果のみで照査を行うことが一般的である.
 そこで本研究では,まず,重力式岸壁を対象に,膨大な情報量を有する二次元地震応答解析の結果 から,特徴的かつ重要な情報のみを,特異値分解を使うことで抽出した.さらに,ここで抽出した情 報を基底とし,この基底に対する成分と入力条件を最小二乗法により関連付ける手法(代替モデルの 構築)を検討し,港湾構造物への本手法の適用性を確認した.入力条件のばらつきが解析結果に及ぼ す影響の評価は,従来の二次元地震応答解析では多数のケースに対する計算が必要であったが,この 手法を用いることで,容易に,かつ,空間情報および時間情報を損なうことなく評価できる.また, 本手法の今後の新たな活用方法や発展の方向性についても示した.
【担当研究室】 港湾施設研究室
【執 筆 者】 住岡直樹・宮田正史・福永勇介・大竹雄
 

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