研究成果概要

国総研資料 第 1154 号


【資 料 名】 伊勢湾台風・阪神・淡路大震災における港湾での被害状況
及び復旧・復興過程に関する記録整理
―災害対策基本法の制定・改正との関係を踏まえて―
【概   要】  過去の災害は,時間の経過と共にその印象が薄れていき,災害が起こったことや教訓事項が知らな い間に伝承されていないことがある.また,港湾に関して大災害の被害と現在までの復旧・復興過程 をまとめた事例は少ない状況にある.
 そこで,本研究では,過去の大きな災害で,災害対策基本法の制定・改正に大きな影響を与えた伊 勢湾台風と阪神・淡路大震災に焦点を当て,港湾を対象に被害状況と復旧・復興過程において公的機 関がとった施策を文献資料収集調査により記録整理し,今後の災害時に向けた教訓事項を明らかにし た.
 これにより,以下の知見を得ることができた.
(1)伊勢湾台風時には,その6年前に起こった台風13号の被害を殆ど受けなかった箇所が大きく被災し たこと等が明らかになった.
(2)伊勢湾台風災害からの復旧・復興に際しては,各省庁を構成員とする協議会が設置され,防波堤 および防潮堤の整備に関する活発な議論が行われていた.
(3)阪神・淡路大震災においては,耐震強化された岸壁の必要性が確認されており,港湾に関する経 済被害が大きいものであった.
(4)阪神・淡路大震災発生後,国および港湾管理者等による大規模な復旧・復興措置が執られ,神戸 港のコンテナ貨物量は過去最大を示すまでになった.
(5)災害対策基本法の制定及び改正経緯からは,大規模災害に対する行政機能の強化とともに,近年 では,平素からの備えの重要性や公助の充実と自助・共助の充実等が改めて強調される内容となって いることがわかる.
 これらの結果は,今後規模の増大が予見されている高潮,また地震への対応の検討,災害教訓の伝 承などの際の基礎資料となるものである.
【担当研究室】 沿岸海洋・防災研究部
【執 筆 者】 岡本 修
 

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