研究成果概要

国総研資料 第 1164 号


【資 料 名】 国際海上物流のホットスポットの通航貨物量・価値及び閉塞による経済影響の推計
【概   要】  2021年3月23日7時40分頃(現地時間)に,スエズ運河内でコンテナ船Ever Given (TEU Capacity:2万TEU)が座礁し,3月29日19時の通航再開まで,約1週間にわたり運河が閉塞した。 筆者らは,以前より,グローバル・サプライチェーンが拡大し,より精緻になってきている現状において, 航行船舶が集中する国際海峡・運河等海運のホットスポットが閉塞した場合には,世界貿易・経済に多大 な影響を及ぼす可能性があることを明らかにしてきた.
 2021年3月にスエズ運河閉塞が発生したことから,本資料では,発生前までに行った研究の成果より,まず,船舶動静データを用いてホットスポットの通航貨物量及びその価値を推計し,2017年時点で,スエズ運河では世界の海上物流額の約13%相当の貨物が通航していたことを明らかにした.次に,迂回路通航との比較によってホットスポット閉塞の経済影響を推計し,2017年時点で,スエズ運河閉塞の直接損失額:約460億ドル/年,波及効果を含めた全損失額:約1260億ドル/年に及ぶと推計した.加えて,今般のスエズ運河の閉塞について,現時点までの情報を収集・整理した.
【担当研究室】 港湾システム研究室
【執 筆 者】 赤倉 康寛・小野 憲司
 

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