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研究概要(終了課題)

下水処理研究室では、下水道施設に関する技術基準のマネジメントを中心に、資源利用、水環境再生に関する調査を通し、下水道事業に係る政策支援、技術基準の策定、地方自治体等への技術支援を行っています。

地球規模課題対応国際科学技術協力事業(JICA-JST)
「アフリカ・サヘル地域の持続可能な水・衛生システムの開発」
(平成21年度〜平成26年度)

地球規模気候変動の影響を強く受け、かつ貧困指数が最も高いサブサハラ・アフリカ地域では、安全な水供給施設や衛生設備へのアクセスが十分ではないことから、水系伝染病が蔓延しています。

当プロジェクトは、国内研究機関およびブルキナファソの国際水環境学院(2iE)で、西アフリカの内陸国であるブルキナファソを対象として安全な水の供給と排水や屎尿の処理及び再利用に関する新しいシステムの開発と実証を行う共同研究です。

共同研究を通した人材の育成と西アフリカ地域における共同研究拠点の形成を行い、最終的には,水の安全保障を確保するシステムの開発と人材育成によりミレニアム開発目標達成に資することを目的としています。

国総研上下水道研究部は、新しいシステムを導入するための、財政的・制度的要因の研究を担当しています。

ブルキナファソの位置 建設中のトイレと子供

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戦略的創造研究推進事業(CREST)
「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」
(平成21年度〜平成26年度)

20世紀型の水利用システムは,自然の水循環を改変して都市と工業および農業に水を供給・利用し排水を浄化して自然の循環系に戻す一過性のシステムであり,その建設,運用および改廃の各段階で多くの資源・エネルギーを消費し大量の温室効果ガスを排出しています。そのため、21世紀型の新たな水利用システムでは、資源・エネルギーの大量消費から脱却し,制約された条件の下で需要に応じた供給を実現し,持続可能な低炭素社会実現に寄与することが求められています。

この新たな水利用システムとは、水需要の高い都市域に位置する下水処理場やサテライト処理施設を新たな水源と考え、再生水をトイレ洗浄水や散水用水、農業用水などの非飲用用途に再利用することによって、水輸送に係るエネルギーを削減し、流域全体の水利用に係るエネルギー消費の削減と環境効果を図るものです。

国総研では、現行の水利用システムに、一部人為的な循環系と重層的な水利用を組み入れた新たな循環型水利用システムの導入による水利用システム全体としてのエネルギー削減効果の評価を担当しています。

本研究は、独立行政法人科学技術振興機構のCREST(戦略的創造研究推進事業)の領域研究「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」において課題名「21世紀型都市水循環系の構築のための水再生技術の開発と評価」の下で実施している京都大学との共同研究です。

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地域における資源・エネルギー循環拠点としての下水処理場の技術的ポテンシャルに関する研究(平成23〜25年度)

下水道資源・エネルギーの利用可能性及び循環利用技術を評価し、下水処理場を核とした地域における資源・エネルギー循環の実現に向けたシナリオを検討して循環利用技術の導入を推進するための研究を行い、その成果として平成26年9月に「下水汚泥の資源・エネルギー化技術に関する概略検討の手引き(案)」および検討補助ツールを策定・公表いたしました。

地域ポテンシャルに関する研究

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都市におけるエネルギー需要・供給者間の連携と温室効果ガス排出量取引に関する研究

都市研究部と共同で国総研プロジェクト研究を行い、下水道分野については、下水道と他の公益事業または民間主体とのエネルギー連携技術の事例評価と適用可能な最新技術メニューを整理するとともに、連携技術の事業性診断手法を開発し、あわせて事業化までの検討手順や留意事項について整理しました。

今後は、下水道エネルギー連携技術の事業性診断手法や検討手順等を公開し、広く地方公共団体の下水道管理者等に活用されることで連携事業の推進を図っていきます。

都市におけるエネルギー需要・供給者間の連携と温室効果ガス排出量取引に関する研究

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下水道資源有効利用状況の評価及び推進

下水道は安全で快適な生活のために必要不可欠な施設ですが、現時点では、処理に大量のエネルギーを消費すること、また、大量の下水汚泥を発生させることが課題となっています。下水処理で発生する下水汚泥の約8割は緑農地利用や建設資材等に有効利用されていますが、下水汚泥を"再生可能エネルギー"として捉え、バイオガス化や固形燃料化を推進していくことが課題解決のために強く望まれています。

下水処理研究室では、全国の下水処理場を対象に、(1)汚泥の最終利用状況、(2)エネルギー消費・創出量、(3)地球温暖化負荷量について調査するとともに、今後の政策の方向性について検討を行いました。

※最新の下水道資源有効利用状況については、国土交通省下水道部のページをご覧下さい。→資源・エネルギー循環の形成

下水汚泥有効利用の経年変化

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災害時における下水の排除・処理について

平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、東日本の120箇所の下水処理場が被害を受け、特に岩手、宮城、福島各県沿岸域に位置する多くの下水処理場、ポンプ場においては、地震に加え、津波により処理機能の全部を失うほどの壊滅的な被害を受けました。これらの大規模災害に伴い下水の排除及び処理機能を喪失した場合に備える必要性が高まっております。

国土技術政策総合研究所上下水道研究部と国土交通省下水道部では、東日本大震災における対応結果の知見を蓄積するため、応急復旧段階にある下水処理場の処理機能と放流先水域への影響について実態を把握し、災害時における下水の適切な管理を検討するための調査を、平成24年1月〜3月に実施しました。その結果明らかにされた知見、並びに被災自治体の下水道における緊急措置及び応急復旧の対応事例の検討による知見等に基づき、「災害時の復旧段階における下水処理の適正な管理に関する検討会」(委員長:大村達夫東北大学教授)で検討した結果も踏まえ、「災害時における下水の排除・処理に関する考え方(案)」を作成いたしました。

本書により、今後発生が予想される災害に対する備えるとともに、さらに災害時の対応において活用されることが期待されます。

検討会風景 下水処理場風景

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放射性物質で汚染された下水汚泥に関する調査および検討

福島第一原子力発電所事故に伴い飛散・降下した放射性物質が下水道へ流入することにより、濃縮された放射性物質が下水汚泥等から検出されました。下水処理研究室では、下水処理場における放射性物質の挙動を調査するとともに、放射性物質を含む下水汚泥の安全な保管・取扱・処分に関する検討を行いました。

放射性物質調査風景

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下水処理水の衛生学的安全性に係る技術基準に関する調査

下水道の普及に伴い、下水処理水は修景・親水用水等への再利用、河川流量の維持等、その水環境中での重要性が増しています。一方、下水道にはクリプトスポリジウム等の水系感染性病原微生物が流入する可能性があるため、下水処理水も、水環境における役割に応じ、衛生学的な安全性を確保することが求められています。そこで、下水処理研究室では、下水処理水の衛生学的安全性を確保するための調査を行いました。

クリプトスポリジウムへの対応方法については、下水処理研究室が中心となり、地方公共団体に参加していただいた「処理水・再生水の衛生学的水質検討プロジェクト」において検討を行いました。成果は、平成15年6月、国土交通省都市・地域整備局下水道部から、全国の都道府県、政令指定都市に通知された「下水処理水中のクリプトスポリジウム対策について」に反映されました。

クリプトスポリジウム写真

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人口減少下での汚水処理システム効率化に関する研究
(平成27年度〜平成29年度)

下水道や農業集落排水等の汚水処理システムでは、人口減少に伴う処理水量の減少により下水道使用料収入の減少等に伴う事業経営の悪化が懸念されており、施設統廃合等の事業効率化が必要な状況にあります。特に、中小規模の地方公共団体の多くは、すでに経営状況が厳しく、今後さらに進む人口減少に備えて汚水処理システム効率化が欠かせませんが、技術者不足等により効率化に向けた検討実施さえ困難な状況にあります。

国総研では、中小規模の地方公共団体が有する様々な事業(下水道、農業集落排水、し尿処理)の汚水処理システムを効率化するために、システムの根幹となる汚水処理施設の統廃合を検討する際に参考となる技術資料を策定しました。


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