長持ち住宅の選び方

本ウェブサイトは、国土交通省 国土技術政策総合研究所の主催による産学官連携の共同研究の成果の一部です。

この写真は、新築後6年未満でルーフバルコニーの床や南側外壁が著しく劣化し、構造用合板に孔があいた子供の寝室です。内装は、一部を除き綺麗な状態でした。

住まいの耐久性を一緒に考えてみませんか?

このWebサイトは、一戸建て木造住宅の建設や購入を予定されている方(住まい手)を対象として、住まいの不具合事例、基本性能、助成制度、防水、省エネ、結露、防災など、長期間にわたる耐久性能について情報提供するものです。

我が国では、グルメやファッションに関する情報があふれていますが、衣食住の一角をなす「住」に関する一般向けの技術情報は少ない状況です。Webサイトでは、住宅に関する技術情報が少し掲載されていますが、どの情報が適切かつ公平であるのかを見分けるには、専門的な技術情報が必要となります。ここでは住宅を選択する際に役立つ、基礎的で公平な既往の技術情報と、造り手(住宅会社など)と技術情報を交換するツールを提供しています。(アンダーラインのある文字はリンクされていますのでクリックして下さい)

私どもは、下記に示す通り、国土交通省国土技術政策総合研究所が主催する産学官による5年間の共同研究の成果の重要な部分をまとめております。このような研究成果を住まい手向けに情報発信することは初の試みと思われます。

一般的に、数千万円となる高額なマイホームを計画する際、美観、間取り、設備機器などについて検討することはあっても、住宅の耐久性について興味を持つ住まい手は少ないと思われます。

住宅の耐久性など専門的なことは、住宅会社や設計事務所などに全て任せておけば良いと考えがちですが、現状において造り手の技術レベルが著しく異なっています。住宅瑕疵担保責任保険機関の統計によると、各種の住宅の不具合の中で、「雨漏れ」による保険支払い件数は最も多く、保障金支払い全体額の約9割以上に至っています。木造住宅で雨漏れや結露が発生した場合、躯体(土台、柱など)が腐朽したり、蟻害を受けやすくなり、被害が大きい場合、耐震性も低下します。

マイホームを住宅会社などから引渡された後、10年以上経過した住宅の雨漏れは、基本的に住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の保証の対象外であり、結露は例え新築直後であっても、同法の保証対象となっていません。

計画時に、本サイトをご覧の上、出資者となる皆様の耐久性に関する要望を造り手とともに検討することにより、耐久性が著しく向上することも考えられます。

反対に施主(住まい手)の皆様が耐久性について関心が薄く、住宅会社が建設費(初期費用)を最優先にして、耐久性の低い構法、材料、施工法が採用されていた場合、早期に住まいが劣化することがあります。

土台・柱・梁などの躯体材や合板などの下地材が腐朽したり、シロアリの被害を受けたとき、住まい手は多額の補修費を負担して、初めて耐久性の重要さを痛感することがあります。ほんの少しの建設費の差が、数年後、補修・改修費やライフサイクルコスト(LCC)に大きく影響することもあります。

建設費用(イニシャルコスト)は,氷山の一角

このWebサイトは、一般の住宅購入予定者にも判りやすいように工夫しています。

これらの基礎的な情報を得た後、各住宅会社の耐久性対策の内容を把握した上で、造り手と住まい手が相互に情報を交換することにより、長寿命の住宅の建設に役立てることが可能と思われます。

参考