都市防災研究室が関連している現在の研究

地震火災時の通行可能性診断技術の開発(平成29〜31年度)

 阪神・淡路大震災では、もはや発生しないと思われていた市街地大火が発生し、さらに東日本大震災でも大火が発生した。大規模地震時には、放任火災となる市街地火災が発生することが想定され、首都直下地震の被害想定では、火災焼失棟数約41万棟、火災による死者数約1万6千人と推定されている。このような大規模地震時においては、様々な要因によって道路が通行出来なくなる可能性があるが、大量の避難者の発生、緊急車両の通行が発生する中、火災による道路の通行可能性について検討がされていない。
  本研究では、今後発生が想定される首都直下・南トラ地震等による大規模災害の発生時に備え、地震火災時における通行可能性の診断技術を開発し、避難、緊急車両の通行に際して火災による影響を低減するための、初動対応の充実化、市街地整備等の事前対策等を支援することを目的としている。

観光振興に資する公園緑地の魅力向上策に関する研究(平成29〜31年度)

 公園緑地は、観光において非常に重要な観光資源であり、世界的に見ても 観光地として人気を博している公園は数多い。世界的に著名な公園においては、景観にすぐれ、都市を眺める視点となっている等、個性的で豊かな都市景観の形成に寄与するなどにより、人気を博している事例も数多い。しかしその一方で、世界の著名な公園緑地と比べれば、日本の公園緑地の知名度はまだまだであるといわざるを得ない。
 本研究は、観光地として世界的に著名な公園を対象に、これら公園の観光資源としての特徴や、都市景観に与えている影響などを文献調査などで把握・整理し(事例研究)、これらを基に我が国の都市内の公園緑地の観光的活用方策を調査・研究する。

防火・避難規定等の合理化による既存建物活用に資する技術開発(平成28〜32年度)

 政府では、平成27年を地方創生元年とし、人口減少と地域経済縮小の克服に向け、地域の特性に応じた課題解決による安全・安心で心豊かな生活が将来にわたって確保されるようにすることが重要とし、取組を進めることとしている。地方創生の実現に向けて、地域にある歴史的建築物など有用な地域資産である既存建築物を、宿泊施設やレストラン等として有効活用することより、地域活性化や国際観光の振興等につなげることが、地方公共団体やまちづくり等を行う民間事業者等から求められており、こうした取り組みを円滑に進められるよう、環境を整備する必要がある。
 こうした背景を踏まえ、本研究においては、防火・避難規定や用途規制等の合理化・運用円滑化に向けて必要な技術開発を行い、既存建築物の活用の円滑化を図ることを目的とした技術開発を行う。
 都市防災研究室では、このうち、歴史的町並みの保存活用に資するため、地区における火災安全性確保に関する代替措置等の技術開発を行う。

気候変動下の都市における戦略的災害リスク低減手法の開発(平成27〜29年度)

  気候変動、人口減少、高齢化、巨大災害の切迫等を踏まえ、強くしなやかな国民生活の実現を図るため、流域、まち・地域、住民等あらゆるレベルでリスクを軽減する対策について実現可能性を踏まえた検討が必要とされている。
 本研究では、都市における水害を具体例として「統合的浸水リスク評価手法」「低リスク社会構築フレーム」及び「対策の具体的展開手順」を提示することを目的とするものである。

※河川研究部が中心となり、都市研究部も参画。



All Rights Reserved, Copyright (C) 2001, National Institute for Land and Infrastructure Management