事例集

事例番号は、「(対応する確認項目の項目番号)-(枝番号)」の順になっております。



大項目 小項目 事例番号 既往水害で生じた課題事例
施設整備 河川の観測・監視 1-1 ・河川の水位や氾濫の危険に関する情報収集については、監視パトロール班による活動や、テレメータ機器等から行っている。このテレメータ機器は、市街地から下流域にかけては複数個所に設置されているものの、上流域においては設置されておらず、水位情報が入手できない区間がある。
1-2 ・一般公開されている河川水位情報は、一部の河川のみで、他の河川は、豪雨で危険の中、河川巡視や水位を計測する必要がある。また、市民が危険を判断する目安(水位計)がない。
1-3 ・テレメーター水位計が設置されていない小河川では、水位情報の収集ができなかった。また、水位計データの収集にあたり、複数個所のデータを同時に確認することが不十分であった。
2-1 ・中上流部における河川情報が不十分、一部の水位局において、機器の水没等により欠測が生じた。
災害時の通信手段の確保 3-1 ・災害対策本部への電話は、全て市役所代表番号から入電するため、電話が集中している間は話中の状態となり、緊急情報や職員との連絡が取りにくかった。
3-2 ・庁舎の水没や停電、電話の殺到等により、市町村の通信インフラが使用不能となり、機能停止状態に陥った。
4-1 ・役場前で地滑りが発生し、光ケーブルが断線したことにより情報収集ができなくなる。そのため、衛星系に切り替え情報収集を実施したが回線数が1回線しかなく、県庁の各課からの電話が集中し、スムーズな情報収集ができなかった。
4-2 ・停電発生やその他要因により、一部地区では固定電話・携帯電話等の通信機器が使用不能となったため、災害発生初期の情報収集に大きな支障を来たした。
4-3 ・都道府県の河川室よりFAX 送信されたはずの水防関係者向け情報が都道府県の水防情報伝達FAX システムの落雷等による故障により市の下水道室に届いていなかったことが判明した。
4-4 ・NTT 等固定電話回線、民間各社携帯電話・PHS 回線、ケーブルテレビ、インターネット回線が倒木断線や基地局浸水等により不通となり、行政間では、衛星携帯電話・無線のみの通信事情となる。
住民への情報周知手段 5-1 ・住民への避難勧告周知の手法が、広報車や自治会長への電話連絡であったため、確実に伝達ができなかった。 ・避難勧告等の伝達が遅れ、避難行動を開始すべき時には、猶予がない状況となり、適切な行動ができず、遭難や孤立が生じた。"
5-2 ・市町村では、避難勧告等の発令について、防災行政無線などにより各家庭へ伝達が行われたものの、時間100 ミリを超える豪雨と落雷の中、道路も冠水状態で屋外に出ることも危険な状況下であったため、各地区長や消防団等の人を介した戸別訪問ができなかったケースがあった。
5-3 ・市域においては、広く即効性のある防災行政無線放送での周知をメインとしているが、機器の老朽化により、増設等の整備が困難であり、難聴地区が多く生じている。
6-1 ・屋外スピーカーについては、その設置場所が小学校などに限られており、豪雨時では設置場所の周辺にある世帯であっても、雨音や窓を閉め切った場合、聞こえにくい状況となる。また、屋外にいる者も、豪雨時の雨音で、屋外スピーカーの放送内容を十分に聞き取ることは難しい。
6-2 ・戸別受信機は、屋内に設置されているが、豪雨時には、やはり雨音で音が聞き取りにくい状況となった。また、屋外で防災活動をしていた自治会の役員などは、防災行政無線の戸別受信機による放送を聞くことができなかった。
6-3 ・同報系防災行政無線について、屋外拡声子局からの音声等が聞き取れないとの苦情があった。
6-4 ・広報車両により、避難勧告等の広報活動を行ったが、聞き取れないとの苦情があった。
6-5 ・住民の中には豪雨の音などにより、サイレンを聞き逃す人がいたり、サイレンの意味がわからない人もいた。
水防資機材の備蓄 7-1 ・水防資機材に不足があったり、保管場所が分散しているため収集に時間を要した。
7-2 ・市内各地から土のうの要請が入り、届けようとするが、備えていた土のうが足りなくなる。
7-3 ・水中ポンプ(汚水用)については豪雨による浸水が生じてから後(水が引いた後)に必要になり、被害の状況により必要数量が異なる事と、貸出要請が集中し、ポンプ数が絶対的に不足する事態が生じるため即時対応ができない。(即時に5台を追加購入で対応)・ また、個人単位での貸出しとしたため、貸出しの回転数が非常に非効率であった。
8-1 ・備蓄倉庫1 階が浸水し、物資が流出する事態となった。
危機管理業務を行う建物・執務室 9-1 ・本庁舎では防災情報システムが2階、河川監視警報システム端末と非常時専用電話が1階に配置されていたが、1階が浸水したことによって、河川監視警報システム端末や非常時専用電話回線をはじめ、各種OA機器が水没し、使用不能となった。
10-1 ・本庁舎では浸水後間もなく停電した。防災情報システム用の非常用発電機もCATV用の非常用発電機も水没し機能しなかった。
11-1 ・防災担当部局との連携性を重視し、同階の「市長執務室」に本部を設置したが、会議スペースが狭く、情報表示や外部機関連携などに不適な点があった。
11-2 ・住民はテレビで情報を収集しているが、本部にはテレビがなく状況把握が出来ず、本部における情報収集が後手に回った。
11-3 ・多くの職員が災害対応を行うためには、水防本部の部屋は狭く、また、事態が本格化して以降は電話がいわば「鳴りっぱなし」に近い状況となり、本部内も騒然とし、混乱した状況に陥っていたものと推測される。 ・市民等からの電話に対応して指示を行う場所、各種モニターや関係機関からの情報収集を行う場所、思い込みなどを排除した上で冷静に分析し意思決定を行う場所がこの狭隘なスペースに同居しており、避難指示等を冷静に検討できる環境とはいえない。"
効率的な業務遂行 職員の参集 12-1 ・水防関係職員へはメール配信による事前予告があるものの、その他の職員への事前連絡手段がなく、応招できない場合や応招に時間がかかる場合があった。
12-2 ・「連絡網が自宅になく、連絡をとるのが遅れた。」「未登録の電話番号のため応答しない場合があった。」「携帯電話を枕元においていない。」「連絡網が複線化されておらず、伝達に時間がかかった。」など情報伝達がうまくいかないところがあった。
12-3 ・災害時緊急連絡網は作成されていたが連絡網による職員への連絡が徹底できておらず、殺到する住民からの電話への対応で配備連絡が遅れたり、連絡を急ぐあまり定められた連絡網によらず既存の住所録などにより手近なところから連絡するケースがあった。結果的に連絡が届かなかった職員があった。
13-1 ・非常参集記録表が用意できなかった部署もあり、参集した職員の多くは記録できなかった。また、各対策部長は災害対応に追われ、参集状況を取りまとめる余裕がなかった。
危機管理体制の立ち上げ 14-1 ・風水害の場合、河川課が総括する水防体制から危機管理課が総括する災害警戒体制や災害対策本部体制へ総括業務の移行が困難である。
14-2 ・現地災害対策本部を設置したが、役割・機能が明確でなく、災害対策本部(本庁)との連携等も円滑に行うことができなかった
14-3 ・災害対策本部へ移行し開設するにあたって、電話や事務用品、備品類を整える必要があったが、危機管理課及び総務班の職員を中心に輻輳する電話対応の中で行った。
14-4 ・地域防災計画では現地対策本部の設置について記載があるが、設置にあたっての明確な基準がない。
14-5 ・①大雨注意報等の発表時は宿直職員2名だけでの対応としていたが、発災時に、多数の被害報告があり、その対応を迫られることとなった。②災害対策本部の設置準備には、総務課(備品関係)及び河川港湾課(消耗品関係)職員が対応していたが、この度の災害では、総務課にも被災情報が絶え間なく入り、河川港湾課は現場対応で、ほとんどの職員が不在であったため、総務課のみで対応することとなった。
危機管理業務の役割分担 15-1 ・地域防災計画では、各対策部の基本的な職務は規定しているが、具体的な業務の詳細な手順等を定めたマニュアルなどがなかった。参集した職員のほとんどが地域等からの電話対応に追われる状況となった。
15-2 ・今回の豪雨災害は、これまでに経験のない局地的・短時間で災害・被害が広がったため、対処する案件が集中的に発生し、個別の救援等、急を要する「個別の現場対応」(個別の避難誘導・安全確保)を優先したことから、本来並行して対応する「対象範囲を設定し避難勧告等を発令する」検討・発令・情報伝達が後になってしまうなど、初動期における防災活動を円滑に行うことができなかった。
15-3 ・本部長をトップとした班体制の組織となっているが、本部員と班との関連が明確になっていなかった。・それぞれの階層で判断・指示できる体制としては不十分であった。
15-4 ・災害情報が膨大で現場対応の指示等に追われたため、本部員が災害対策本部を不在にすることがあった。
16-1 ・市町村の防災・消防担当職員が、被災現場での救出・救助活動等に対応せざるをえない事態となり、防災対応業務に精通した職員が庁舎に不在となったため、避難勧告等の発令が結果として遅くなったケースがあった。
16-2 ・市町村において、防災・消防担当職員が被災現場で救出・救助活動等に従事していたほか、災害対応のあわただしさから、県(地域振興局)からの電話による注意喚起を受電できないケースがあった。
16-3 ・風水害の場合、道路、河川等の建設部に業務が集中するため、他部門を含めた人員調整が必要となった。震災対策と風水害対策の人員体制を分けて考える必要がある。
16-4 ・班によって担当すべき業務量・人員体制に差があった。
16-5 ・今回の災害では、各班とも業務が多様・長期化し、通常業務も並行する中、少人数対応での厳しい期間が続いた。更に災害救助法・被災者生活再建支援法の適用で、業務が集中する班もあり、所属間の業務量に格差が生じることとなった。
17-1 ・夜間、豪雨の中の作業は、体力消費が著しく、現場対応班の2班体制の構築など、職員交代の準備が必要。
情報の収集・整理 18-1 ・災害対策本部に設置している電話は、全て代表番号を介して入るため話中の状態となり、緊急情報や職員との連絡が取りにくかった。
19-1 ・休日・夜間の市民からの代表電話への問い合わせが自動応答となっていた。一般からの代表電話については、音声案内で守衛の電話番号が知らされる。
20-1 ・職員が災害対応に不慣れな上、災害対応に当たる人員の不足で、殺到する情報を処理しきれなくなった。
20-2 ・防災部門の情報源の大部分が市町村の防災担当課であるため、相手方が忙殺されると県に情報が入らなくなった。
21-1 ・重要な情報が避難指示等の発令を判断する職員に認識されず、適切な対応がとれなかった。 住民から水防本部に直接、「浸水して避難できない」との情報が寄せられている。この情報は水防本部の担当者から消防局へ繋がれ、救助の対応はされたものの、当の水防本部内において避難発令などに結びつく重要な情報としての扱いを受けることなく、膨大な電話や情報の中に埋もれてしまったものと思われる。
21-2 ・電話による市民からの情報への対応は重要で、可能な限り早期に現地調査を実施する必要があるが、人命に関わり救助を要するものから状況の報告まで様々で、対応の優先度及び重要度が異なり対応に苦慮した。
21-3 ・発災前後は、各種情報が増幅し錯綜する。必要な情報の精査が必要である。
22-1 ・浸水で市町村内の交通が寸断され、広報車が動けず、消防団等も地区内を巡回できない状況で、情報収集・伝達共に末端が機能しなくなった。
22-2 ・避難勧告等を判断するための情報に、河川水位や予兆現象の有無があるが、短時間の豪雨のため、急激な水位上昇の把握や、予兆現象把握のためのパトロールなどが困難な状況であり、これらの把握に時間を要した。
情報共有 23-1 ・県は、防災情報システム等で、雨量情報、河川水位情報、土砂災害危険度情報など、様々な気象関係情報を確認することができたが、市町村や地域振興局、防災関係機関等との電話連絡・対応等に追われていたため、市町村に対し、更なる警戒強化と避難勧告等の発令を促すなどの特段の対応を行わなかった。
23-2 ・県の被害情報集約システムへの被害情報入力に関して、避難所設置準備・被害状況現地確認等の災害対応や市民・マスコミ等からの電話応対に追われたことなどから、全市町村が遅滞なく被害情報を入力することができず、入力情報にも漏れ等が見られた。また、システム入力値と電話・FAX等での報告値との整合確認等に時間を割かれる。
23-3 ・一部市町において、災害対応に追われ、県の情報収集手段の一つである防災情報システムの入力が進まず、県として情報収集が円滑に実施できなかった事例がありました。この事例からは、①防災情報システムの項目にこだわりすぎた情報収集の在り方の課題、また、②防災情報システムに依らない情報収集の仕組み(代替手段)が十分に整理されていなかったという課題が明らかになりました。
23-4 ・水位情報に関して水防本部と上流域の河川管理者である県との双方向の情報のやり取りの記録がなく、また、現場の情報が集約される消防局との間においても、十分な情報収集を行えていない。
23-5 ・市の組織である消防局及び消防団においては、河川上流域における氾濫危険性を早期に把握し、住民に対する避難呼びかけや避難誘導を現場判断で実施していることが判明している。一方、これら重要な現場情報が、水防に関する市全体の指揮を統括する水防本部との間で共有されていない。
23-6 ・通信の断絶・孤立化に伴う安否確認作業は、正確な情報に基づく確認が困難な状況であった。当初、市・消防・警察・県等が其々確認した安否情報は、共有化が出来ず、また項目の統一化もされていなかったことから、地区住民や地区担当者に何度も確認する状況となった。
23-7 ・災害情報が災害対策本部や消防本部、それぞれの関係課に別々に入り、情報が輻輳し一元化が十分できていなかった。
23-8 ・被災地の支庁では、10月25日に県や市町村、防災関係機関で構成する現地対策合同本部が設置されるまで、収集した情報を支庁内で共有する体制が整備されておらず住民やマスコミ等からの問い合わせに十分に対応することができなかった。
24-1 ・市内の被害状況や対応状況など、本部会議で示された内容が、部内各班まで情報共有ができなかった。
24-2 ・市民からの問い合わせ(特別警報や避難指示の意味,市民のとるべき行動,避難所開設状況,災害発生場所等)に対して,災害対策本部のコールセンターや消防で的確に説明できなかった。全ての職員の情報共有が必要である。
24-3 ・災害対策本部の決定事項を一般職員に提供していないため、市民への対応に苦慮した。
25-1 ・現場の状況・対応等を記入した災害通報受信票(現場の状況)が多すぎて、個別の対応に追われたため、本部に報告ができないものもあった。                              ・災害通報受信票により関係課職員が現地調査をした後に災害対策本部へ状況報告が行われないものがあり、現地の状況が本部で十分に把握できなかった。                                                                                            ・各種情報をホワイトボードに掲示していたが、新情報を整理していないため、本部内職員が困惑した。
25-2 ・担当職員が現地調査をした後の状況報告が十分でなく、現地の状況把握に時間を要したものがあった。
25-3 ・電話対応等で現場の状況・対応等を記入した聞き取り票が多量にあり、個別の対応に追われた。そのため、本部へ報告し全体で共有できないものもあった。 ・本部内において、各班の個別の対応内容や関連する情報をホワイトボードに掲示し共有を図ったが、情報を更新・整理しきれていないものがあった。"
25-4 ・現場作業優先により、災害対策本部にリアルタイムな状況が伝わりにくい。また、口頭による状況報告では、伝達の限界があり、各種判断の遅延に繋がる。
26-1 ・全庁的に応援職員を依頼したが、応援職員が日替・交代で従事したため、市民対応等へのノウハウの蓄積ができないまま被災対応を行った。
26-2 ・増員によって順次、出動してくる職員は、市内の被害状況や対応状況がわからなかった。
広報・マスコミとの連携 27-1 ・消防局や消防団による避難の呼びかけへの市民の反応が鈍かった例や、避難指示が出された後も、市内中心部には、川の増水の様子を見に来た市民が多数、橋の近くなどにいたことなどが報告されている。避難発令を知った上での行動かどうかの検証は別途必要であるが、市民への伝達手段やマスコミへの情報提供をさらに円滑化すべきである。
27-2 ・被害概要・本部判断決定事項・市対応状況・復旧見込みなど、情報の伝達不足により、住民及び現場対応者に混乱が生じた。
27-3 ・本部から様々な情報発信を行ったが、多すぎて整理が出来ず伝達に混乱が生じた。(災害対策本部設置から約6時間後の時点で、災害対策本部内での災害情報の掲示がなされていなかった。)
27-4 ・災害対応のあわただしさなどから、有効な情報伝達手段であるエリアメールが適時に配信できなかったケースもあった。
27-5 ・避難所へ行けば物資をもらえること、申し込めばボランティアの支援を受けられることを、被災者が知らなかった。 ・被災者に必要な物資(食糧、ゴミ袋等の応急復旧用資材等)、サービス(ボランティアによる支援等)及び情報が十分に提供されず、また、行き渡らなかったために利用できなかった被災者が相当数いた。"
28-1 ・対象市町村では、エリアメールが整備されていたが、どのような場合にどのような情報を配信するかなどの具体的なマニュアルを作成していなかったため、あまり利用されなかった。
28-2 ・HP・市からのメールサービス・L字放送・広報車用の広報文面の作成が遅れ,市民への迅速な避難情報の周知ができなかった。また,情報の内容としては,道路冠水等の被害情報の発信量が少なかった。
28-3 ・全市域,全市民を対象とした避難指示であったため,市民に不安や混乱を与えた。 ・避難指示の意味が伝わらなかった。 ・災害の種類に応じた具体的な避難方法の説明が不足していた。企業の一部も避難指示の理解が不足していた。"
29-1 ・災害対策本部内で担当者を決めて報道対応をしなかったので、行く先々で各マスコミの取材等を受け、災害活動事務に支障が出た。
29-2 ・報道機関の取材への対応が難しく、災害対策本部の業務に支障が出るなどした。 ・市民への広域的な災害広報を有効に行う報道機関に対し、災害対策本部からの情報発信は必ずしも良好とは言えなかった。"
29-3 ・報道機関への情報提供は、重要であるが、市の情報提供体制が、確立されていなかったため、各社(記者)が、それぞれ各現場で取材行為(電話取材含む)を行うこととなり、現場職員の負担となった。
29-4 ・市が喫緊に広報すべき情報の周知手段として、メディア活用が十分ではなかった。
29-5 ・報道対応方法が決められておらず災害活動事務に支障(避難勧告等を県の被害情報集約システムに入力すると、自動的にNHKなど報道機関に伝達されるため、一番緊張し対応に追われている時間に取材の電話が入る。災害情報について、市政情報課がホワイトボードを転記して記者クラブ向けにFAXしたり、災害情報ボックスへの入力を行ったが、ホワイトボードの内容自体が整理できていない状況)
情報の集約・状況分析 30-1 ・県での災害情報の集約方法が未熟で、時間が掛かる上、地図などによる面的把握、大型掲示による情報共有など基本的な情報集約手法の活用に関するノウハウが欠けていた。
30-2 ・情報収集カードの内容をGIS図上に入力し対応にあたったが,パソコン画面上では市内全域の被害状況が把握しづらいため,改善を要する。
31-1 ・本部連絡員を配し、電話連絡等は連絡員に任せ、大局的な検討をするべきであった。
31-2 ・今回の災害対応に関しては、その結果から第1 段階先読みする対策・対応が不十分であった。
避難勧告等の発令 32-1 ・避難勧告等発令基準が明確でなく意志決定に時間を要したため、避難勧告等の発令が迅速かつ的確に行われなかった。
32-2 ・客観的な避難勧告等の発令基準の策定(迅速かつ的確な避難勧告等を発令するには、水位情報などに基づく客観的かつ具体的な基準の策定が必要である)。
32-3 ・避難準備情報・避難勧告・避難指示についての具体的な判断基準(土砂災害降雨危険度や積算雨量等)を定めた土砂災害に関する避難情報発令マニュアルがなかった。
32-4 ・多くの市町村にとって、今回の災害がマニュアル作成後初めての災害であったため、実際のマニュアルの運用について習熟がなされていない状況であった。
33-1 ・土砂災害警戒情報が出された際に,避難勧告の対象となる地域,人口,世帯数の情報把握に時間を要し,避難勧告等を発令するタイミングを逸した。
33-2 ・避難勧告区域の出し方について、一部地域という発表を行い、混乱する地域があった。
33-3 ・ 避難すべき区域の事前設定(事前に風水害や土砂災害の発生を考慮した警戒すべき区域や箇所を設定している市町は少ない。)
33-4 ・避難勧告発令時の対象世帯数対象人数の把握については、住民基本台帳システムを操作する人員が必要となった。
34-1 ・深夜の豪雨と落雷の中、住民が避難行動を執ることは現実的に困難で、避難の際の被災が懸念されたことから、予め定めていた避難勧告等発令基準に従って避難勧告等を発令することがためらわれるような状況であった。
34-2 ・道路冠水・住宅浸水等、状況が悪化してからの避難勧告・指示発令は、避難行動が危険となる。要援護者への配慮も含め、「昼間の発令」や「状況が悪化する前の発令」が重要なポイントとなる。ただし「早めの発令」は、必ずしも避難に繋がらないことから、発令タイミングは、今後の状況予測も含め、地区毎に応じた発令判断が必要となる。
35-1 ・現況流下能力を上回る流量が発生したため、アンダーパスが近くにある場所で左右岸とも越水被害が発生し、越水がアンダーパス箇所に流れ込み湛水した。 ・アンダーパス箇所において、死者1名、行方不明者1名 ・この洪水では本川のみならず複数の支川流域にも短時間に集中豪雨が発生したため、最大流量のピーク時間が重なり、越水被害をもたらした。"
災害時要配慮者への対応 36-1 ・高齢者など住民の中にはパソコンや携帯電話を活用してインターネットにアクセスできない人がおり、インターネットで提供している河川情報等を確認するのが困難であった。
36-2 ・ホームページ等の情報発信は,現在日本語対応のみであるため,外国人には理解できない状況であったことから改善の必要がある。
37-1 ・災害時要援護者に対する避難支援や情報提供が、市町村の情報不足、実際に支援に当たるマンパワー不足等により、上手く実施できなかった。
37-2 ・障害者等の災害時要援護者は積極的に情報を提供されないと、避難情報を入手することができなかった。
37-3 ・一般宅からの通報で二階へ移動したいが同居人が重度身体障害者のため移動が困難な事例があった。浸水状況が切迫していなかったため緊急時は119番通報するようお願いしたが,特別警報や避難指示発令下の援助要請への対応について考える必要がある。
37-4 ・午前7 時頃に土砂災害警戒情報第1号が発表されていたが、降雨危険度を確認したのは、その日の午後であり、確実な情報や危険区域を把握している最中であったため、土砂災害警戒情報を要援護者施設へ伝達していなかった。
職員能力 38-1 ・県と市町村を結ぶ衛星系防災行政無線の装置が、市町村庁舎の停電や職員の習熟不足等により有効に活用されなかった。
38-2 ・防災情報システムでは、気象情報や水位情報の把握等、情報収集機能の活用は進んでいるが、その他の機能をフルに活用できていない。
38-3 ・地域防災計画では、緊急時の伝達手段として、防災無線以外に、行政のメールサービス、地域のケーブルテレビを利用することとなっているが、操作に習熟した職員が被災のため参集出来ない等の理由で操作できず、行政のメールサービス、地域のケーブルテレビでの情報発信は行われなかった。
38-4 ・市町村では、防災対応業務に精通した防災・消防担当職員が、被災現場で救出・救助活動等に対応せざるをえない事態となったため、気象関係情報を確認できる防災情報システムが活用されなかったケースがあった。
38-5 ・日常よくある水防体制においては、危機管理課において、情報収集・情報管理・情報発信等を行っているが、事態が悪化した警戒体制以降に出動してくる職員は、マニュアル等が理解できておらず、対応できなかった。
38-6 ・特に若い職員は、経験不足により、パトロールや交通誘導などの現場対応や資機材の取扱いができない場合があった。
38-7 ・被災地の支庁では衛星系の防災行政情報ネットワークの使用方法を把握しておらず、市町村からの情報収集に活用できなかった。
39-1 ・近年、大規模災害を経験していない本市では、職員も災害対応の経験が不足しており、初期対応に手間取る場面がみられた。
39-2 ・組織として蓄積した様々な経験値は、人事異動によって損なわれる。また、水防本部等は、常設する組織ではなく、災害発生時に、危機管理防災総室を中心として、当番制度により組織されるものであるため、従事する職員のスキルが一定レベル以上確保されない場合や、地理・地形や危険箇所に関する知識が十分ではない場合がある。
業務支援の受け入れ 40-1 ・市町村への職員派遣の体制が予め整備できておらず、限られた情報収集要員の派遣にとどまった。
40-2 ・被害状況やニーズを的確に把握するのが困難。役場機能が不全に陥り、情報の空白地域が生じた場合、支援要請等を如何に情報収集し、迅速に対応することが早期の復旧につながることとなるため、被害状況やニーズをいち早く的確に把握する必要がある。
ボランティアとの連携 41-1 ・一部地域では、ボランティアの需給のアンバランスが生じたことから、ボランティアの需給調整の仕組みを強化する必要がある。
41-2 ・ボランティアセンター運営には多数のスタッフが必要であるため、市職員の派遣を求められたが、初動対応時のため人員計画のめどが立たず、職員派遣がスムーズに行われなかった。
41-3 ・予備知識もなくボランティアセンターの運営に参加した市職員が、仕事内容を把握するのに時間を要した。
41-4 ・ボランティアセンターの開設時に資金計画を立てることが困難であった。
41-5 ・当初、ボランティアセンターの開設場所が適地ではなかったので、効率的な活動が出来なかった。
避難所・避難場所 避難所・避難場所の指定 42-1 ・避難所が浸水するなど、浸水等被害状況を想定した避難所を設定していなかった。また、高齢者等にとっては避難所が遠く感じられ避難が困難であった。
42-2 ・浸水想定区域、土砂災害危険箇所等のハザードの中に位置している避難所は約3割存在しているほか、浸水時に避難所まで歩行等が危険となる避難所も多数存在する。浸水した集会所等があった。
42-3 ・指定避難所への浸水被害(床上以上)が発生した。
避難所の開設・運営 43-1 ・避難所開設担当者が、施設へ迅速に駆けつけられなかった。
43-2 ・道路の通行止めや土砂崩れなどのため、避難所まで行くことができなかったり、避難所の鍵を町職員及び施設管理者しか持っていなかったため、開設に時間を要した施設があった。
43-3 ・避難所開設を待ったので、勧告等発令に時間要した事例があった。
43-4 ・小中学校を避難所として開設するにあたり、具体的な状況が判らないままそれぞれの地区の地区班を招集し開設に向かわせたが、施設管理者(学校長等)との連携が不十分であった。
44-1 ・避難所運営においては、町、自治会長、自主防災組織などは、当面の災害対応に追われたため、連携がとれず、避難者などによる自主運営を行う体制がとれなかった。
44-2 ・24 時間体制なので、職員が交代されるのは、やむを得ないが、尋ねたことに回答が無いままになることもしばしばだった。引き継ぎをしっかりやるか、避難所開設から閉鎖まで責任者を決めるなどの運営をして欲しい。(市民)
44-3 ・避難者の心理は不安定で、市職員は不安感をいだかせるような発言などは慎んで欲しい。生活の場になっているので、十分に気を配って欲しい。(市民)
44-4 ・ペット同伴の避難については、一般避難者との区別がなく、同一空間への避難となった。
45-1 ・避難者が昼夜を問わず避難所を出入りし、避難者名簿の追加や変更が困難であったことに加えて、運営職員の人員不足から運営記録簿などの作成が困難であったため、避難者を正確に把握することができなかった。
45-2 ・児童・生徒の安否確認及び連絡手段が確立していないため、子供の安否確認ができなかった。
避難所の生活環境 46-1 ・避難所は建物本来の目的で作られているため畳などの備品がなく、毛布やタオルなどの備蓄もないため、濡れたまま敷物もない状態でいなくてはならなかった。
46-2 ・浸水により一時、自動車による通行ができなかったため、避難所への食糧等の物資輸送に時間を要した。また、食糧等の配布予定等の連絡が遅かった。
46-3 ・大量に食品を緊急に調達する事前準備が十分ではなかった。
46-4 ・避難者に最低限必要な物資(着替え・タオル、食糧、飲料水等)を遅滞なく提供することができなかった。
47-1 ・避難所の体育館等はクーラーがないため、暑くて眠れなかった。
48-1 ・地域一帯が浸水したため、多数の避難者により避難所が混雑していた。被災者の中には精神障害・認知症など避難所での集団生活に耐えられない人々もいた。
49-1 ・避難所が体育館などであったため、避難者へ情報伝達するための防災行政無線受信機などの設備を設置していなかった。
49-2 ・避難所での情報収集は、重要であるが、体育館などにおいては、TV の設置もなく、避難者にとっては、情報収集が困難な不安な空間となっている。
49-3 ・市から避難所に情報が伝わってこないため、市役所は何をしているのかと思った。 ・自宅付近がどのようになっているのか、今後天候がどうなるか心配で、天気予報やニュースが見たかった。(市民)                                
49-4 ・パソコンなどの情報端末が無く、災害対策本部との連絡手段が限られていることもあり、避難者への情報の提供が十分に出来なかった。
自助・共助 自助力・共助力の強化・支援 50-1 ・住民が避難勧告について、①どのような段階で発令され、②どのように伝達され、③どのような対応をすべきであるかということの、理解が不足していた。
50-2 ・多くの住民は、どこで何が起きているのか、自分がどういう状況にあるのか、自分がどうすればいいのかといったことを理解できないまま、事態の進展に引きずられ、気がついたときは手遅れで、孤立、遭難に至った例が多い。
50-3 ・避難の情報を提供するハザードマップの存在や見方そのものが十分に理解されているとは言えない状況にある。
50-4 ・避難勧告・指示等の発令地区は、防災行政無線放送をはじめ、市・消防・警察等における戸別訪問や広報車両による避難啓発を実施しているが、中々避難率のアップに繋がらず、結果的に浸水等の危険が迫ってからの「救助」となるケースが多発している。
50-5 ・住民より避難支援の要請電話が、市役所・消防に殺到するが、その対応には限界がある。 ※危険が迫ってからの活動は、「避難支援」ではなく、むしろ「救助活動」に近い内容ともなっている。
50-6 ・ハザードマップ(危険位置図)については、県担当課が市町村と共同で作成し、現在までに市町村により住民に配布・公表されているものの、市町村への調査では防災訓練等での活用度は必ずしも高くなく、住民アンケートの結果からも認知度は低いと考えられる。
50-7 ・今回の災害で、避難指示は約2千人を対象に発令され、避難勧告は約12万人を対象に発令されたが、自主避難を含む実避難者数は約700人であり、住民の避難が伴っていなかった。
50-8 ・孤立した被災者が多数にのぼり、救助要請があっても、救命ボートが不足し、適切な救助が実施できなかった。
50-9 ・自宅孤立者等に物資を配布する手段がなく、また、危険で配布できない地区もあった。
51-1 ・地域によっては防災意識に差があり、地域での防災の取り組みが行われていない所や、自主防災組織などの活動が活発でなく、災害に関する十分な知識や経験の蓄積がされず、避難時の行動手順などが整備されていない地域がある。