平成21年7月山口県土砂災害現地調査について
国土技術政策総合研究所 砂防研究室
○調査日時:平成21年7月22〜23日
○調査者:
- 国総研:小山内砂防研究室長、桂研究官
- 土木研究所:内田主任研究員
○行程:
7月22日(水):現地調査
防府市真尾地先 上田南川(老人ホーム周辺の土石流発生箇所)
防府市高井地先 剣川(国道262号線付近の土石流発生箇所)
7月23日(木):ヘリ調査
○調査所見概要
★真尾地先・上田南川(→写真)
- 流出物は基本的に強風化花崗岩の石礫とマサ、および流木であった。
- 土石流本体の巨礫は谷出口の農道付近までに概ね停止しており、老人ホームに到達して窓から氾濫したものはほとんどが中礫〜マサであり、土石流の後続流部分であると考えられる。
- 谷出口から上流に600m程度を踏査したが、全区間にわたりφ=2m程度の石礫を含む大量の土砂が堆積していた。この区間の渓床勾配は3〜10度程度であった。
★国道262号付近・剣川(→写真)
- 渓流内に多数の崩壊・土石流が見られ、上流側にはφ=1m程度以上の石礫が大量に堆積していた。また、マサ土の堆積も大量に見られた。
- 今後、細粒部分は経常的に流出してくるものと思われる。
★ヘリ調査(→写真)
- 上田南川・剣川を含む50km2程度の範囲に山腹崩壊・土石流が集中している。
- いずれも、渓流内に不安定土砂の堆積が認められる。
- 砂防えん堤が入っている渓流では、土砂捕捉・調節効果が一定程度発揮され、被害を軽減しているが、上流からの土砂供給規模が非常に大きいため、下流まで土砂流出している渓流も多くある。