国土交通省 国土技術政策総合研究所
TOP 外壁内の耐久性の確保

木造住宅を建てる前に確認しておきたい
7つのポイント

4.外壁内の耐久性の確保

住宅の耐久性を確保するには
外壁等の中に空気が通り抜ける「通気層」というのが凄く大切なんです

けんた
しょうこ

「通気層」って聞いたことが無いけど、どの外壁にもあるの?
あと、通気層にはどんな役割や効果があるの?

1)通気層の有無と役割

一般的なサイディングによる外壁は厚さ15mm程度の空間となる通気層を確保していますが、ラスモルタル外壁は通気層が無い直張り構法によるものもありますので注意して下さい。通気構法は次に示す通り3つの役割を担っています。

1.通気層に浸入した雨水を流下させ通気層下部の給気口から屋外へ排出させる
2.壁内の水蒸気を屋外に排出させる
3.夏期の日射により暖められた外壁の熱を屋外へ排出させる

通気層
参考資料:モルタル外壁を地震と劣化から守るための7つのQ&A

一方、通気層の無いモルタル外壁の直張り構法は、このような通気構法の役割を担うことが出来ないので
モルタル外壁も通気構法を採用することを強く推奨します

けんた
しょうこ

サイディングって外装材のこと?どんな種類があるの?

外装には、主なものとして湿式のモルタル等と乾式のサイディング等があり
タイル張りは乾式と湿式の両方があります。サイディングには、窯業系サイディング、金属系サイディング、樹脂系サイディング、木質系サイディング等があります
外装材を選んだ場合、その下地となる通気胴縁や通気層の仕様も異なります
この通気層の仕様により木造住宅全体の耐久性に影響を及ぼすことが実験で確認されています

けんた

2)通気層の仕様による通気と浸入水の状況

一般的に外装材は、厚さ15mm程度の木材や通気留付金物等を介して面材下地や躯体に留付けており、それにより浮いた他の空間が通気層になります。通気層を構築する場合、下地となる「縦胴縁仕様」、「横胴縁仕様」、「通気留付金具仕様」があり、縦胴縁仕様は動画に示す通り、通気(模擬的にスチームを使用)がスムーズに流れやすく、また、浸入した雨水も滞留しにくい納まりとなっています。通気留付金具仕様も同様に雨水が滞留しにくく、通気も確保される仕様となります。
横張りサイディングを採用する場合は、縦胴縁仕様または通気留付金具仕様になります。縦張りサイディングを採用する場合は、横胴縁仕様になりますが、この場合、通気層内の通気が良好であり、かつ、雨水が滞留しにくい通気留付金具仕様を選択することも出来ます。

通気状況の目視化試験

浸入雨水の
流下状態の目視化試験

2階建て木造住宅実験棟の外壁を改修して、外装部分に透明板を張り、左の煙による通気状態の目視化試験では煙が見えやすいように下地面に黒い紙を張り、右の通気層への浸入雨水の流下状態を目視化する試験では、水に触れると変色するピンクの感水紙を使用して、模擬的に試験を実施した。

しょうこ

サイディングを採用する場合は
通気および浸入した雨水の滞留に十分注意するということね!わかったわ!

ここから、ちょっと専門的になりますが、住宅を建てている時も注意が必要になります
本来、これから示すことは施工者が注意すべきことですが
残念ながら不適切な状態で施工している事例があります

けんた

3)通気胴縁の配置に注意

縦胴縁仕様を選択しても、通気胴縁の配置が不適切な場合は充分に通気されないことがあります。通気層の通気量を充分に確保するためには、胴縁の配置と通気層の厚さが重要となります。特に雨水浸入事故の多い窓まわりは、雨水が滞留しないようにすると共に、充分に通気させて乾燥させるため、サッシと通気胴縁には十分な隙間を空ける必要があります。通気胴縁とサッシの間に隙間がないと通気層に浸入した雨水が滞留するばかりでなく、通気がされないため、窓まわりから雨水浸入するリスクが高まります。残念ながら、通気胴縁とサッシの間に隙間が設けられていない施工も多いので、このことを検査員に確認してもらうか、住まい手が直接確認することを推奨します。具体的には、胴縁がサッシフィンと重ならないようにし、かつ、窓全体を胴縁で密閉しないように隙間を設けて下さい。

通気胴縁の配置
しょうこ

わかったわ!壁の中や窓のまわりは、浸入した雨水や湿気が滞留しないよう
充分に隙間が確保される仕様になっていることの確認を、検査員にお願いしておくわ!

もう一つ通気を確保するため、注意してもらいたいことがあります

けんた

4)透湿防水シートの弛みや捲れに注意

耐久性上において重要となる通気層の厚さは、一般的に15mm程度となりますが、その通気層の室内側には透湿防水シートが張られています。透湿防水シートが弛んでいたり捲れていたりすると通気量が著しく減少したり、最悪、閉塞したりする事例が数多くあります。このような場合は、外壁の通気量が減ったり、下地材まで雨水が浸入したりして、外壁や窓が劣化する可能性が高くなりますので、透湿防水シートの弛みや捲れが生じている部分に防水テープ等を使用して弛みや捲れがないように施工することが重要となります。特に、外壁の上下端部となる土台水切りや小屋裏内の透湿防水シートの端部は捲れやすいので、防水テープを貼ることを推奨します。

しょうこ

透湿防水シートの弛みや捲れがあると通気量が減って、外壁の耐久性に影響するのね
防水テープが貼られているか検査員に確認してもらうわ!

通気層上端のたるみ