国土交通省 国土技術政策総合研究所
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木造住宅を建てる前に確認しておきたい
7つのポイント

2.住宅を選定する時に候補となる住宅の基本性能

住宅の性能を計るものさしとして、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により規定されている
『住宅性能表示制度』の評価の項目は、大きく分けて10項目ありますが、必須項目として
「1.構造の安定に関すること」「3.劣化の軽減に関すること」「4.維持管理・更新に関すること」「5.温熱環境・エネルギー消費量に関すること」
の4分野があります

引用:「新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド」、(一社)住宅性能評価・表示協会

まず、構造の安定に関する『耐震等級』は、地震に対して
柱・梁等の構造躯体の倒壊のしにくさを3つの等級で区分しています

けんた

例1:構造の安定に関すること
【耐震等級】(構造躯体の倒壊等防止)
→ 地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさ

等級3
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.5倍の力に対して倒壊・崩壊等しない程度
等級2
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊等しない程度
等級1
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)に対して倒壊・崩壊等しない程度
しょうこ

「耐震等級」って、どのような基準で区分されているの?

等級1は建築基準法レベル、即ち最低限、厳守しなければならないレベルです
等級2は基準法の1.25倍、等級3は基準法の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊しない程度です

けんた
しょうこ

等級3は、実際の地震に対してどの程度強いのか教えて下さい!

2016年4月、震度7が2回観測された熊本地震における木造建築物の地震被害の調査結果によりますと 建築基準法レベルの耐震等級1による建築物の「軽微・小破・中破」は33.6%に対して、等級3による建築物の「軽微・小破・中破」は12.5%と激減しています。
また、耐震等級1の「大破」は4%、「倒壊」が2.3%に対して、耐震等級3の建築物は「大破」および「倒壊」がありませんでした。従って、地震時の被害を少なくするのでしたら、最高等級となる耐震等級3が推奨されます。

住宅性能表制度創設以降の木造建築物の被害状況
引用:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント、国土交通省 住宅局
けんた
しょうこ

新しく家を建てても、柱や土台等がすぐ劣化したら
多額の補修費も必要になるから長持ちする住宅を建てたいけど、どうしたら良いの?

これも『住宅性能表示制度』『劣化対策等級』で木造住宅の耐久性のレベルが規定されています
等級1は建築基準法による最低レベル、等級2は2世代(おおむね50~60年)まで
大規模な改修工事を必要としないよう対策されている仕様
等級3は3世代(おおむね75~90年)まで対策されている仕様となっています!

けんた

例2:劣化の軽減に関すること
劣化対策等級

等級3
通常想定される自然条件及び維持管理の条件の下で3世代(おおむね75~90年)まで大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策が講じられている
等級2
通常想定される自然条件及び維持管理の条件の下で2世代(おおむね50~60年)まで大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策が講じられている
等級1
建築基準法に定める対策が講じられている

木造住宅の各種の性能は、『住宅性能表示制度』の他、以下の技術情報が参考になります。

しょうこ

夏は涼しく、冬は暖かい、快適な断熱性の高い住まいがほしい!
最近、光熱費が高騰しているので、省エネ性も必須ね!

高断熱、高気密の住宅は、単に省エネルギー性が高いだけではなく
夏の熱中症、冬のヒートショックを未然に防ぎ、健康的で快適に過ごすことができます
熱中症は、住宅内が最も発生しやすくなっています。ヒートショックとは、暖かい部屋と寒い部屋との温度差による急激な血圧変動が原因で、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす健康リスクのことです
これまで断熱性等に関する性能等級は等級4が最高等級でしたが、2022年4月より等級5が施行、2022年10月より等級6と7が施行されており、現在、断熱等性能等級7が最高等級となっています。等級が高いほど、断熱性、省エネ性、快適性、健康面で優位となります。断熱性能等級は、気密性について対象としていませんが、気密性の指標となるC値(相当隙間面積)の測定は、実際に建てられた建物を対象として専門の気密測定器を使って測定します。C値は低い値ほど気密性が高く、保温性の向上や隙間風による寒さの緩和に大きな効果があります。また、内部結露の防止や適切な換気計画のために、一定レベルの気密性能の確保は必要不可欠となります

けんた

例3:温熱環境・エネルギー消費量に関する性能
【断熱等性能等級】⇒
→ この等級は、外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度を示しています

等級7
熱損失等のより著しい削減のための対策が講じられていること
2022年10月1日施行
等級6
熱損失等の著しい削減のための対策が講じられていること
2022年10月1日施行
等級5
熱損失等のより大きな削減のための対策が講じられていること
2022年4月1日施行
等級4
熱損失等の大きな削減のための対策が講じられていること
1999年制定 / 通称「次世代省エネ基準」
等級3
熱損失等の一定程度の削減のための対策が講じられていること
1992年制定 / 通称「新省エネ基準」
等級2
熱損失の小さな削減のための対策が講じられていること
1980年制定
等級1
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2025年4月(予定)から、全ての新築住宅・非住宅に等級4であった省エネ基準の適合が義務付けられます。断熱等性能等級は「地域の区分」「外皮平均熱貫流率」「平均日射熱取得率」により規定されています。2025年4月以降は、現在の等級4が最低等級になる予定です。
住宅全体の断熱性能の指標となる「外皮平均熱還流率[UA値]」は、数値が小さいほど断熱性能が高く、日射の遮蔽性能の指標となる「冷房期の平均日射熱取得率[ηAC]」(イータエーシー)は、数値が小さいほど遮蔽性能が高くなります。また、「暖房期の平均日射熱取得率[ηAH]」は冬の日射取得の指標であり、数値が大きいほど日射による暖房エネルギーの削減効果が期待できます。

けんた