国土交通省 国土技術政策総合研究所
TOP 雨漏り防止対策

木造住宅を建てる前に確認しておきたい
7つのポイント

3.雨漏り防止対策

しょうこ

近所のお友達のお家が雨もりして、大変な状況みたいなの!
雨もりしにくい住宅を建てたいと思っているけど、どのようなことを注意したらいいかしら?

住宅の瑕疵(欠陥)の中で最も多いのが雨漏り関係で、全体の9割以上になっています。
因みに新築住宅を供給する住宅事業者は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(略称:住宅品確法)により、住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の設計ミスや施工ミスによる瑕疵(欠陥)に関して、10年間の保証責任(瑕疵担保責任)を負っています(結露による事故は、この法令の対象外)
しかし、構造部分は内外装に包まれており劣化状況が判りにくいため、10年を超えて雨漏りが発覚することもあり、改修費を負担したり、改修工事により生活に支障をきたすこともあるので、事前の十分な検討が必要になります

けんた
しょうこ

住まいの形と耐久性って関係あるの?
小さい頃から屋根の出っ張りが少ない南欧風の一軒家に憧れているの!

住まい手が造り手に設計を依頼する際の重要な注意事項として
外壁への雨の掛かりを少なくし、住宅の形状を複雑にしないことです

けんた

外壁面から屋根の先端までの軒の出とけらばの出を十分に確保するのは雨漏りを防止する上で次のような効果があります

1.外壁面や窓への雨掛かりが少なくなり、雨水浸入事故のリスクを減らし耐久性の向上に貢献します
2.夏の日射の侵入を防ぎ省エネルギーに役立ちます

雨水浸入を防止する部分の事故の中で約1/4が、サッシまわりの事故であることが検査機関から報告されており、壁面および窓を流下する量を低減するためにも、軒の出およびけらばの出を十分に確保することは、耐久性を向上させるためには極めて重要になります。

軒の出とけらばの出
引用:国総研資料 第975号、第Ⅱ章 家造りガイドライン、9P
けんた
しょうこ

あら、難しそうな図が出てきたわ!説明してもらってもいい?

これは、東海大学名誉教授の石川廣三先生による研究成果です。2004年の東京において、外壁から出っ張っている屋根の深さ(軒の出の寸法)と、外壁への雨の掛かりやすさとの関係を降雨量、風向、風速によりシミュレーションにて計算し、壁面の雨量が1年間で3mm/h以上となる時間、即ち雨の掛かりやすさを現わした図です。青の部分が濃いほど雨が掛かりやすいことを示しています。一番右側は、外壁からの軒の出が何れの方向も15cmしかなく、外壁が最も雨に濡れやすく、雨漏りのリスクが高くなる形状となります。

軒の出寸法による雨がかり分布の相違
引用:国総研資料 第975号 第Ⅴ章 雨水浸入リスクの評価方法、9P
けんた
しょうこ

住宅って高額で何回も建てられないから、長持ちする住宅がいいわ!
壁の中が腐ったりしないようにするには、どうしたらいいの?

木造住宅の寿命を長くするには、水や湿気が溜まった状態にしないことが最も重要となります。
特に木材や合板等は、いつも含水率がおおよそ20%未満になるようにすると劣化しにくくなります。
その為の対策として、住宅の壁全体を空気が流れるようにして乾燥させることが重要となります。

具体的な対策としては、外壁の中に厚さ15mm程度の隙間に空気が流れる層、即ち「通気層」を設けることが重要となります。このような専門的なことは、造り手が適切に施工すれば良いのですが、残念ながら適切に施工されない事例が多いので、施工時の確認が重要となります。
ちょっと面倒ですが、耐久性を確保する上で重要なことなので知っておいて下さい!

通気層
けんた